マガジンのカバー画像

あり得ない日常

66
フィクション続きもの
運営しているクリエイター

#物語

続けますか?|パラレル短編創作

1 学生を卒業して幾年月、もうすぐ年度替わりという事もあって年末とはまた違った慌ただしさを感じる。 田舎ならまだ少し違うのだろうか。 ラッシュ時は乗り遅れることをあまり心配する必要のない路線の駅近に住む身としては、寝に帰っているようなものだけとはいえ、便利なもので気に入っている。 休みの平日にはたまに足を延ばして、大きな駅の本屋に立ち寄るのが最近の楽しみになっている。 旅行になんて、思えばいつ行っただろうか。 男の独り身だから、時間を気にせずふらっと出かければいい

有料
300

あり得ない日常#4

 もう桜は散ってしまったが、これから夏を迎える時期というのもあって、そこらじゅうの植物の緑色が日を重ねるごとに鮮やかに見える気がする。  日焼けをしたくない、というのもあるのだが、普段はあまり外を出歩こうとは思わない。子供の頃よりもさらに日差しが強くなった気がする。  根っからのインドア派のわたしには少々つらい時期がやってくる。  昔は、休日という概念があったらしく、それ以外は基本的に生活のためにお金を稼ぐべく、ほとんどの人生を雇用契約で拘束されていたらしい。  今ほ

有料
100