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「いちばんしあわせだった思い出で自分を満たすんだ」

「ハリーポッター」が大好きです。DVDは全て持っているというのに、テレビで放送されたら必ず見てしまいます。
なんなら有料チャンネルでも見ます。
(基本プラン的な見放題契約中なので)

そして毎回、何かしらの台詞が響くのです。

『いちばんしあわせだった思い出で自分を満たすんだ』
これは「エクスペクト・パトローナム」という呪文で守護霊を呼び出すために必要なことは何と問われて、ルーピン先生が言った台詞。

実は自己評価がちょっとアレなので、すぐに落ち込む傾向がありまして。
「どうせ私なんて」
と思わないように努めているけれど、ちょっとした隙をついて、うっかりそのセリフを脳内で呟いてしまう。
立ち直る方法や、忘れる方法などはたくさん身につけたので、引き摺ることはないのですけどね。

ハリーのように守護霊を呼び出して、守ってもらう魔法は使えないけれど、一番しあわせだった思い出で自分を満たす努力って素敵だなって。

いちばんしあわせだった思い出と考えて浮かんだシーン。

初めて出産した日の夜。
授乳をするために看護師さんに連れられて、明かりの落とした新生児室まで、他のお母さんたちとぞろぞろと、薄暗い廊下を歩いていた真夜中の風景。
かなり遠くまで赤ちゃんの泣き声が響いていて。
あの病院は親子同室ではなくて、きっかり3時間ごとに母親たちが集団で、新生児室まで授乳に行くシステムで、だからほとんどの赤ちゃんが、お腹を減らして声をからして泣いていた。

出産した当日は、一度だけ我が子を抱かせてもらったあとは、母親の回復とやらのため、夜中まで会いにいくことができなかった。
ゆっくり体などを休めている場合じゃないの。
早く会わせてーとずっと思っていた。

新生児室に入ると、けたたましい泣き声が響いていて。
それぞれ自分の名前が書かれた新生児用の透明のベビーベッドに近づいていく。
私も自分のフルネームが書かれたベッドへと近づいて行った。
「ママだよ」と声をかけ、唇を震わせてずっと泣いていた我が子の頭の下にそっと手を入れて、抱きあげる。
「ママだよ」
そう言いながらぎゅっと抱きしめると、大声で泣いていたのに、一瞬しゃくりあげて黙った。そしてふぅうんと、泣き疲れたようなため息をつき、まだ見えないはずの目を開けるしぐさをして、私のほうを見た。

あの時の気持ちは言葉にはできない。
胸がいっぱいで、全身全霊愛おしいという感情で満たされていた。

それが一番しあわせだった思い出かもしれない。

その後にも、たくさんのしあわせな時間を過ごしてきたのだけれど。
やっぱりあの瞬間のしあわせを超えることはないかもしれないな。

うん。それだけで今もしあわせに満たされた。

ちなみに次の子からは、生まれた直後から親子同室の病院を選びました(笑)

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