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過去の新曲課題曲を振り返る

8月14日(日)のセミファイナルまでもうすぐ。セミファイナルで演奏される今年の新曲課題曲は、明日8月9日(火)に作曲家の方のお名前と作品名が発表される予定です。その前に、過去の新曲課題曲を振り返ってみたいと思います。

新曲課題曲とは?

セミファイナルの課題は、45~55分のソロリサイタルです。次の2つの課題を必ず含むことが求められます。

(1)ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの任意のソナタから1つ以上の楽章
(2)ピティナが委嘱した日本人作曲家による新曲(4分程度)

この(2)が今日話題にしたい、新曲課題曲です。新曲課題曲の楽譜は、3次予選終了後、セミファイナリストとして決まった出演者に初めて配布されます。そして約二週間後のセミファイナルまでに、自身の解釈でその魅力を伝える演奏をすることが求められるのです。

過去の新曲課題曲はどんな感じだったのか?過去3年の課題曲をご紹介します。

2021年「翡翠(かわせみ)の時」

2021年の課題曲は、山中惇史氏の「翡翠(かわせみ)の時」。

静かな森とせせらぎの中で、翡翠と出会った時の印象を、コンテスタント達の純粋な姿に重ねて作曲されたそうです。
ここでは、進藤 実優さん(2021年特級 銀賞)の演奏をご紹介します。

静かなほとりの風景と翡翠の一瞬のきらめくような存在感が表現されているようです。

2020年「沙羅の樹の 花ひらく夜に うぐいすは」

2021年は、神山奈々氏の「沙羅の樹の 花ひらく夜に うぐいすは」。
2年続けて、鳥をテーマにした曲だったのですね。

ここでは尾城 杏奈さん(2020年特級グランプリ)の演奏をご紹介します。

暗い夜のざらっとした質感の中に、羽音が聴こえてくるようです。

2019年「Portrait of “B” “Dem Andenken eines Komponisten” for piano solo」

2019年は、田中翔一朗氏「Portrait of “B” “Dem Andenken eines Komponisten” for piano solo」。
タイトルはドイツ語ですが、「“B”の肖像〜ある作曲家の追憶(ピアノ独奏のための)~」といった感じですね。”B”とはいったい誰なのか、気になります。
ここでは亀井聖矢さん(2019特級グランプリ)の演奏をご紹介します。

2020年の「沙羅の樹の 花ひらく夜に うぐいすは」も、音を出さない打鍵をしながら別の旋律を弾くという奏法から始まっています。散文的なのに、全体でみると一つの心象風景が見えてくるような不思議な曲だな、と感じました。

なお、この新曲課題曲についてのみ視奏が許されていますが、尾城さんも亀井さんも暗譜で弾ききれらていますね。必ずしも視奏よりも暗譜が優れているということではありませんが、新曲を2週間足らずで暗譜してリサイタルで演奏する、その凄みも鑑賞のポイントかも知れません。

プレイリストのご紹介

こちらでは一部の演奏しかご紹介できませんでしたが、こちらのプレイリストで過去のセミファイナルの演奏を聴くことができます。

今年の新曲課題曲に思いを馳せながら、ぜひプレイリストも聴いてみてくださいね。

ピティナ特級 セミファイナル

日時:8月14日(日)午前の部10:30開演 午後の部14:45開演(予定)
会場:第一生命ホール

セミファイナリストの二次・三次予選ダイジェストはこちらから!


(画像提供:ピティナ)