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特級公式レポート:3次予選第二グループ

休憩を挟んで、第二グループの演奏です。

4.草間 紀和さん

草間紀和さんのショパン ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11から第一楽章です。草間さんは2次予選で、バッハ、ショパン、スクリャービンと、時代・作曲家の違いによる音をくっきりと弾き分けているのに、共通して高貴な、草間さん独自の響きが感じられる演奏を聴かせてくださいました。伴奏は江夏真理奈先生です。

草間 紀和さん

草間さん特有の、「高貴」と言いたくなる雰囲気が遺憾無く発揮されたショパン。江夏真理奈先生との呼吸合わせも、音のバランスも見事。誰もが知っているこの名曲と草間さんだけの心のつながりを、たっぷりと歌い上げるような演奏でした。

5.笠井 萌さん

笠井さんの二次予選の演奏で初めて聴いた、シマノフスキ「マスク」 より 、「道化のタントリス」と「ドンファンのセレナード」。お話を読み聞かせてもらっているような気持ちになりました。聴き手の心に、今のどう演奏が響いているのか、細やかに注意を払うことのできる演奏家なのだな、と感じました。恩田佳奈先生の伴奏で、ラヴェル:ピアノ協奏曲、第1楽章・第3楽章です。

笠井 萌さん

ころころと転がる光のような音の粒、可愛く楽しく、時に急に退廃的になる、私の思っていたラヴェル の協奏曲のイメージを体現してくれたような演奏でした。要所要所も小気味よく、オケパートと調子を合わせながら進みます。二次予選の演奏でも感じたように、絵本の世界が広がるようです。ティンカーベルが魔法の杖をふるって、動物たちが楽器を弾き、踊り始める・・。息もつかせぬ3楽章が終わった時には、画面の前で思わず拍手をしました。

6. 鶴原 壮一郎さん

二次予選で演奏されたリスト「詩的で宗教的な調べ」 S.173 より 第1曲「祈り」での、チェロのような深い低音の響きが印象的でした。その鶴原さんが、このラヴェル ピアノ協奏曲をどう弾かれるのか、大変楽しみにしていました。梅村知世先生の伴奏で、ラヴェル:ピアノ協奏曲、第1楽章・第3楽章です。

鶴原 壮一郎さん

鶴原さんのラヴェル は、「私が思ってもいなかった」ラヴェル でした。予想の斜め上から切り込んで来る、最初のグリッサンド。その後も、斬新なのに「私、これを求めていたのかも!」と思わせてくれる表現が続きます。ジャズやブルースを感じさせる部分は、セクシーでちょっと悪い夜の男のイメージ・・。ふらふらと着いて行ってしまいそう。そのまま夜の街に誘われ、クライマックスが終わった時、シャボン玉が弾けるようにはっと我に返ったのでした。

レポートは、第三グループに続きます!

出演者の情報、演奏の動画などは下記のページよりご覧ください。

(画像提供:ピティナ)