見出し画像

一歩間違えかけた世界

そういえば23歳の私はどんなだったろうと思い出してみたんだけど

免許取って慣れない車で狭い道
向かいから車が来たからちょっとバックしたら
後ろから鳴らされたクラクション
慌てて前進
そのまま前進
狭い道をおっかなびっくりとろとろ走る私に
後ろから鳴らし続けるクラクション


遅くてせかされてるのだと思った私
スピードあげて
といっても狭い道だから
せいぜい20K/h→30K/hくらいだったと思うけど
私の精一杯で
そのくねくね道を急いで走った
十数メートルか数十メートル

目的地はその道沿いの公的な建物の駐車場
無事駐車して
道から外れたからもう安心
と思ったのも束の間…

コンコン


ドアをノックするいかつい若者♂
何ですかと窓を開けると
「ぶつけただろ」と一言
「え?!」思わず後ろを振り返る私
運転席から見えるわけないやいやい

なるほどクラクションで追いかけてたのはそういうわけだったのか
でも一切感じなかったですよ
音も衝撃も…
戸惑っていたところに現れたるは救世主


「どうかしましたか」と
その駐車場の警備員さん
混乱顔のいたいけな?私
どう見てもその若者がからんでるの図
追及をやめ苦々しい顔で去ってく男

目的地がそこでなければ
(近くて、ちゃんとしてて、ちゃんとしてる人がいる所)
どうなっていたことか

なお、私の車に傷は一切見当たらず
言いがかりだったのか
本当に当たっていたのか
結局分からずじまい

その時は
ナンバー覚えられて
住所つきとめられて
追い掛け回されたらどうしようと
しばらく怖かった…

けれど今ふと思うに
状況的には
当てた(かもしれない)後に、
クラクション鳴らされても停まらず
それどころか
スピードアップしてるって
完全に当て逃げ扱いされるのでは


でもほんとにその人が当てられてたら
他の誰かに見とがめられて
そのまま去るはずないだろうから
やっぱり胡散臭い人だったのかなと思うけど
知らなかったと言っても
信じてもらえなかったかもしれないし
目的地が遠かったら
慣れない運転でほんとの事故を起こしてたかもしれない


当時は🔰ゆえのわけの分からぬ怖さもあったが
今はもっと違う恐ろしさの側面が見えてくる

ちっちゃい私が
父のおさがりの大きめの普通車を運転して
無人カーといじられてた頃
(外から私が見えないということは
そんだけ私の見えてる世界も狭い)

己の技術や考えの未熟さを
運がカバーしてくれただけ


23歳
もう学生じゃなかった
世間的には社会人だけど
見通しの甘さも戸惑いも全部ひっくるめて
自覚ないっていう自覚すらなかった


一歩間違えればの一歩は
思ったより身近に  


あった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?