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かっこよさと経験値が原動力

人生におけるキーワードやテーマはありますか?

今回のインタビューの相手は、元消防士。一回きりの人生、多くの経験を積みたいと、消防士を退職し、約半年間かけて日本一周、そして道中で知り合った方々とアメリカ横断を経験。いまは地元沖縄で、今後に向けての充電と準備期間を過ごしている。退職後約半年が経過したいま、当時を振り返りながら、これからについても話をしてもらいました。

ーー自己紹介をお願いします


沖縄生まれ沖縄育ち。専門学校卒業後、8年間東京消防庁に勤務。退職後は、約4ヶ月半かけて車で日本一周。その後、1ヶ月半かけてアメリカをロサンゼルスからニューヨークまで横断。現在は、沖縄に戻り、マリンスタッフとして、地元に貢献しています。

アメリカ横断中 ベルロック


ーー日本一周しようとしたきっかけはありますか


パッと思いつくことはないんだけど(笑)。他の人がやらないようなことをやってみたい、という考えがもともと強かったのかな。あとは、いつか海外に住んでみたいっていう気持ちがあった中でいうと、外国人に日本がどういうところと聞かれたときにちゃんと説明ができるようしたかった。それと、自分自身も日本を知りたいという気持ちがあって、自分の目で確かめるために日本一周しようと決めました。
ただ日本一周自体は、すごく満足のいくものだったんですけど、準備段階で特に車の準備が一番大変でした(笑)。
日本一周にでる半年前くらいから車の改造準備をしはじめていたんですけど、出発まで2ヶ月切っても4割くらいしかできていなくて。知り合いに手伝ってもらいながら、出発の直前に仕上がりました。

キャピングカー制作段階①
キャンピングカー制作段階②
右の画像は完成した時のもの


ーー海外に住む前に日本を知り尽くすと言っていましたが、海外に住んでみたいって思い始めたきっかけとかありますか


日本人だから日本にずっと住み続けるっていう概念があまりなくて、一回きりの人生、海外に住むという経験を選んでもいいんじゃないかなと、思っていて。二、三ヶ月海外に行ったけど、それだけじゃ海外で生活したと言い切れるのかわからないって思うこともあったので。
あとは、海外で生活する中で、まず第一に英語を習得したいという気持ちが。これから先、どうしていくかはまだ決めてないのですが、英語を取得することができれば、日本にいながらもいま以上の経験をすることが出来る気がしていて、海外に住んでみたいと思いました。
率直にいうと、みんなと同じようなことをしてても、面白くないなと思うことが多くて。みんなと比べようという考え方は好きではないんですけど、自分がやってみたいことの中で、どうせやるならみんながやらないことの方を選びたいなという好奇心が勝っているのかもしれないです。

アメリカ横断ゴール地点のNY


ーー消防を退職することと日本一周をすることどちらから先に決めましたか


正直どっちが先だったか、あんまり覚えていないです。たぶん海外で生活したい、というのが最初だったのかなと思います。消防をやめて、地元に戻ることを決めた時に、沖縄まで車を持って帰らないといけないっていうのも頭に浮かんで。その途中過程で日本一周して、沖縄に車も持って帰れば面白いだろうなという考えでした。

ーー率直に聞きます。消防士を辞めたこと、後悔してますか


すごく難しいですけど、後悔してるかしてないかで言ったら後悔はしてないです。退職する人も周りに多くて、退職前や退職後すぐに転職活動に進むのが当たり前かと思うんですけど、僕の場合は違って、退職してすぐ日本一周をして、アメリカ横断して。そういう意味で言うと、自分がやりたいと思うことに時間を使うことができたから、満足度が高い期間を過ごすことができたという気持ちの方が大きいです。消防の仕事そのもの自体が嫌いだったわけでもないので、戻りたいか戻りたくないかってなったら、戻るという選択肢も0ではないのかなと思うし。やっぱりあの職業が好きだったなと思う瞬間もあって、向いてたなと思います。

消防勤務時代


ーーそもそも消防に入ろうと思ったきっかけを教えてください


「かっこいい」っていうのが一番です(笑)。
東京消防庁を選んだ理由としては、2つあります。
1つ目は、本命は沖縄消防だったんですけど、落ちた。
2つ目は、沖縄の専門学校時代の同期のほとんどが、海上保安官になることを目指すんですけど、みんなで一緒に頑張ろうという流れにあまり魅力を感じられなくて。もちろん、学生時代を一緒に過ごした仲間たちと沖縄に関わりながら仕事ができることはいいことだなと思うんですけど。それよりは、みんなに地元を託して、別のところでチャレンジしてみたいなと思ったからです。今考えると、消防と海上保安ってそもそも協力し合うものだから勝負事ではないんですけど、当時はそう思うこともありました。

災害以外にも、園児への消防署の案内なども行う


ーー日本一周した中で一番記憶にあること教えてください


ぱっと頭に浮かぶのは、北海道。中でも釧路、知床、根室、稚内は、すごく印象深く残っているかと思います。
沖縄出身という点でいうと、北海道自体が日本の最北端と最南端で真逆の世界で、同じ日本でも土地や気候の違いが異世界に感じたという印象の深さがありました。目の前にキツネや鹿とか、野生動物が自然と暮らしていて、人間と生活をともにしていて、季節の移り変わりを植物だけでなく、動物と一緒に体感できる場所だなと思ったからですかね。東京や沖縄では目にしないような動物を間近でみれたことは、いい経験でした。

自然を感じた北海道


ーーなぜ、旅を続けていくのか


答えになっているか、というのかわからないですけど、旅を続けていくことで、自分の目で見て感じる。海外で生活することで語学を習得し、自身の原動力にしていきたいから、ですかね。
あとは対応力や協調性を身につけることができるからです。日本一周は、自分一人だったので、進むスピードも目的地も自己決定していきました。ただアメリカ横断に関しては、一緒に旅をする仲間がいたので、日本一周と比べると自由が少なかったり、意見が合わなかったりすることもあって、それぞれが不満を持ちながらも話し合いをして、みんなで解決して行く段階が個人的には楽しかったです。この感覚が持てたのも、日本一周そしてアメリカ横断と経験したからだろうなと思います。

この先海外に住んで日本に帰ってきた時に、どんなことをしたいかというのはわからないんですけど、語学力が少しでも上がっていれば、選択肢の幅は広がるんだろうなという感覚が。実際日本全体的にもだと思うんですけど、沖縄もインバウンド効果を目にすることが増えているなと。すごく単純ですけど、英語が話せたらかっこいいじゃないですか(笑)。
そんな単純な理由でいいから、やってみようかなと思っています。

純粋に、旅していく中での多くの人々と出会い、自分自身の可能性や選択肢が広がっていくことが楽しく、経験になると思うからです。
実際に、日本一周をしていなければ、アメリカ横断には行きつかなかった可能性もあったかなと。

ーー旅をしようかと悩んでいる人へメッセージをお願いします

やらないよりもやることをおすすめします。自身の価値観を広げることや、今後の武器にもできるかなと。あとは、旅先でしか味わえないこと、体験できないこともたくさんあるはずで、いまと一年後で同じ景色を見ても、受け捉え方は違うと思うんですよ。
仕事を手放し、旅をしたことが正解だったか間違いだったかは、今もきっとこれから先もわからないと思うけど、いまこのタイミングで旅してよかったなと思えてるし、後悔はしていないです。悩んでいるなら、時間も体力も有限なので、やりたい時に好きなように行動していいのかなと思います。

映画:フォレスト・ガンプ ロケ地


ーーこれからどうしていきたい


日々考えていますが、まだ決めきれていないです。ただやっぱり、海外に住みたいということが一番大きいかな。
まずはその夢を叶えるために、資金を集める。やってみたいことを中心に、いまできることを一つずつ実現していっている、という段階です。
その場の勢いで決断することが多かったので、計画的に物事を進められるように、いきたい国を選んでいるところです。ただ、これまで旅をしていても、計画的にいかないことの方が多いので、その場の決断の大切さも感じていますが。
日本一周のときのキャンピングカーのように、直前まで出来上がっていないと焦りも生まれるので、そういう焦りはなくしていきたいなと思っています(笑)。

準備がうまくいかずに停滞したことも


ただやってみたいことが本当にたくさんあるので、まずは自分の気持ちに素直に動いていきながら、これからゆっくり決めていけたらいいかなと思っています。


ありがとうございました。


編集後記


実は彼が日本一周中、旅に同行させてもらったことも


ちょうど彼が日本一周に出たタイミングは、わたしにとって仕事がとても辛かった時期。そんな時にここで待ってるから次のやすみに来たら、と提案してくれたこともあり実際にいくこともありました。
その時には深掘りできなかったことをこのインタビューを通して、聞くことができてとても嬉しかったです。
また彼が旅を続けていく中で、原動力になるキーワードがあるって素敵だなと思い、わたし自身のキーワードはなんだろうと、振り返ることができた時間でした。

彼の「かっこいい」から生まれる行動力と決断、そして旅を続けていく中で得ていくこれからの「経験」に、注目していきたいです。また海外から戻った時には、ぜひ話を聞かせてもらいたいと思います。

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