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アミノ酸液肥の潅水って本当に効果的なの?

2023/06/22 facebook
サンビオティック

みなさん、こんにちは!
先日、アミノ酸液肥の潅水って本当に効果的なの?という疑問を投げかけるSNS投稿を目にしました。

なぜなら、アミノ酸は、土中で微生物に分解され消費されて、または酸化されて、アンモニアや硝酸に置き換わってしまう(無機か)から、化成肥料をやるのと変わらないんじゃないか。もっと言えば、わざわざ値段の高いアミノ酸を使う意味がどのくらいあるんだろうか。

そういう疑問だと思うんですね。

とても面白い話題だなと思って拝見したのですが、私はアミノ酸の潅水には、化成液肥よりも大きな効果とメリットがあると考えています。

昨日投稿した、ミニバラの病気が、化成液肥によって引き起こされた(誘発された)ことは、「窒素」が原因と書きましたが、これは化成窒素だから、ダイレクトにそういうデメリットがあるという意味です。もし与えた液肥がアミノ酸であったなら、違う結果が出ていても全くおかしくはないんですね。

それにしても、上記の疑問はとても的を射た疑問点なので、私なりに、その点を解明してみたいと思います。

まず、信頼しうる公的な試験を引き合いに出した方が良いと思います。たとえば、このような試験があります。

「みかんの苗木にアミノ酸をやったら、化成よりも早く大きく育つのか?」

長崎県の果樹試験場で行われたこの試験は、とても興味深いものです。

[成果情報名]アミノ酸・有機酸強化濃縮液株元施用によるウンシュウミカン「長崎果研させぼ1号」苗木定植後の生育促進
https://www.pref.nagasaki.jp/e-nourin/nougi/theme/result/R1seika-jouhou/shidou/S-01-26.pdf

この試験では、対象区は化成肥料で育て、試験区には片倉コープアグリ社の「ソイルサプリエキス」という、アミノ酸・有機酸濃縮液を200倍希釈で3回(5~8月)与えたそうです。

施用した「窒素量」は、どちらも同じ。

結果は、わずか3回アミノ酸を潅水しただけで、葉数の増加、樹幹の拡大と、根の増大に明らかな有意差がありました。

素晴らしい実験だと思います。

願えば叶うと言いますが、人の願いが植物に届いたかどうかという、そういうことは抜きにすると、アミノ酸・有機酸濃縮液が、非常に効果を発揮したと考えるのが妥当です。

アミノ酸は、同じ窒素量で比較したとき、化成肥料よりも大きな効果、パワーを持っていると言えますね。

この植物由来の「ソイルサプリエキス」という商品も素晴らしいと思うのですが、実際にすごいのは、アミノ酸の効果!なんですね。

実は、サンビオティック資材で言うと、糖力アップで同様の効果があります。だから、カンキツの早期樹幹形成には、5~9月の菌力アップと糖力アップの潅水をお勧めしているわけです。ここに、有機酸であるイーオスを加えていくとさらに良いですね。

さて当初の問題は、なぜアミノ酸は考えているよりも効果があるのか、ということではないでしょうか。

冒頭に書いたように、タンパク質やアミノ酸は、土壌施用後すぐに微生物に食べられてしまいます。食べやすいアミノ酸、たとえばグルタミン酸や5-ALAのようなものなら、数時間で微生物に取り込まれてしまうと考えられます。理論的には、その後、アンモニアや硝酸に変化するとされています。

それであれば、化成肥料とアミノ酸には効果の差はあまりないはずなんですよね。それなのに、上記の実験結果では有意な差がありましたから、そこには、見逃しているメカニズムがあるのではないかということを感じます。

私が重視しているのは、やはり微生物の働きです。つまり、確かにタンパク質やアミノ酸をまず微生物が食べてしまうのですが、その微生物が排出した「代謝物」にもまた、多くのタンパク質やアミノ酸が含まれていますよね。

そして、もう一つ重要なことは、私たちが考えているより微生物の寿命は遙かに短いと言うことです。多くの土壌微生物の寿命(世代交代)は、数時間~数日と言われています。すべての土壌微生物の平均寿命は、なんと2~3時間と推定されているほど、微生物の命は短いのです。

そうすると、死んだ微生物の体も、タンパク質やアミノ酸のカプセルのようなものでしょう。

一度与えたタンパク質やアミノ酸は、大量の微生物の増殖を促し、その微生物の体を出たり入ったり、生まれたり死んだりしながら、根の周りで高速回転しているのです。

ですから、アミノ酸液肥を潅水したら、根の周りにアミノ酸の供給量はしばらく続くということです。微生物が健全に活動できる環境であれば、アミノ酸がすぐに無機化されて無くなってしまうと言うことはありません。

根は、アミノ酸を吸収できますから、そのアミノ酸を直接吸収すれば、それはエネルギーが高いのですから、当然、化成肥料よりも効果的なのは納得が出来ますね。

季節にもよりますが、アミノ酸液肥の潅水効果は1週間~2週間程度と考えています。

これからのカンキツや果樹の苗木の早期樹幹拡大はもちろん、成木園の発根促進、疲労回復には、アミノ酸や有機酸がお勧めですね。

また、昨日の投稿同様に、これからの時期のイチゴなどの野菜苗の健康な生育や、トマトやゴーヤ、キュウリの着果負担軽減と発根促進のためにも、良質な有機物の施用とアミノ酸・有機酸の活用は、重要な管理技術となります。

猛暑で光合成そのものや、糖類の蓄積が難しい季節だからこそ、化成窒素(無機窒素)よりも、有機窒素(アミノ酸)をお勧めします。

(参考)

「糖力アップ」・・・魚を酵素分解して低分子アミノ酸化したものに、海藻エキスと黒糖を配合しています。菌力アップと混用して潅水すると非常に効果的です。

「イーオス」・・・酢酸15%液。市販の酢酸より約3倍高濃度でコストパフォーマンスに優れます。酢酸は、有機酸の中でも植物との相性が良く、根の活力を高めたり、耐病性を向上させます。

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