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DITA Dream XLS 所持機

概要

もう5年近くも前に発売されたイヤホンで、現在は生産終了となっています。なので、入手手段は中古品を買うしかありません。もしかしたらどこかにデッドストックがあるのかもしれませんが、期待薄ですね。
チタン筐体に10㎜のダイナミックドライバ1基という非常にシンプルな構成にもかかわらず、発売当初の価格は約28万円というハイエンド。
現在では10万円そこそこで中古が出ていますので、当時手の届かなかったワタシも入手できたという経緯です。

音について

DITAのダニー代表が発売当時のインタビューで「ダイナミック型ドライバーの質を追求することこそが、オーディオブランドとして最優先で取り組むべきことだ」と言っていた通り、ダイナミックらしいすべての帯域において自然な音が特徴です。特に音の遠近感にリアリティがありますね。
まずは低音域から見ていくと、安物の重低音ウリにしている低音ホンなんかは比べるまでもなく、非常に締まったタイトな低音で、そのタイトさにわずかに自然な余韻があり、量感のないカスカスな低音にならないようになっています。
中音域は優しくなめらか。BA機にもなめらかな中音を奏でてくれる良機もありますが、それとはタイプの違うなめらかさ、「自然さ」と言ったほうがしっくりくるかもしれません。人の声がすっと入ってくる。そんな感覚。
ピアノの弦を打って広がる音の表現なんかはほんと秀逸。
高音域は大人しめ。強く刺激的に抜けていく感覚ではなく、中低音域の音を引き立てるような繊細な高音域。出てないわけではないです、主張を抑えてポイントを押さえて確実に効いてくるそんな高音です。
音場感は素晴らしい、圧巻の一言。
音場が広い、狭いという次元で語るのは野暮っぽいですね。
実際広いです。広い中で一つ一つの音が適切な範囲で音の始まりから消えるまで広がります。「音の遠さ」を感じられる数少ないイヤホンです。

総評

素晴らしいイヤホンです。
基本性能は非常に高くまとまっており、欠点らしい欠点がない。そのうえで、唯一無二の個性を持っている数少ない名機だと思います。
ケチをつけるところといえば、形状が結構独特なので、耳に合わない人は合いません…残念というかこれはどのイヤホンでもそうなんですけどね。
最新フラグシップのPERPETUAも好きですが、どっちも持ってもいいくらい個性が立っています。
ハイエンド乱立、ゴミハイエンドだらけの現状機種を追い求める前に、いったん2019年あたりのハイエンド全盛期の本機なんかをまず聞いてみて、ハイエンドとはこういうものなんだって思ってもらえればと考えます。

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