見出し画像

【読み物】ケーブルについて

概要

中国製の非常に安いケーブルが普及してきた影響もあり、最近では気軽にリケーブルを楽しめるようになっています。
中には造りの粗悪なものや、6~8Nなど超高純度の銅線を使用しているという謳い文句も散見されますが、それであっても音の変化が好みやイヤホンに合えばよいケーブルということだと思っています。安く楽しめることを否定するわけではありませんし、ワタシ自身も同じ考えです。

Yuz*Re:Cableについて

ワタシが作成したケーブルのブランドです。
あくまで個人で作成したものですので、大量生産によるコストメリットはありません。中国製のものに比べればかなりの高額になっています。
基本的には材料費+工賃くらいで作っていますが、それでも10,000円以内で作成するのは現実的に難しいですね。

作製のコンセプトは「元のイヤホンの音を大切にする」「使いやすく長く使える」「特殊な技術を使わない」の三点です。

元のイヤホンの音色を変えたくないのですね。試聴して気に入って購入したイヤホンの音色をケーブルで台無しにしたくないという気持ちです。では何が変わるのか。低音が強くなるとか、高音が出るとかわかりやすい音の変化ではなく、音の広がり方、余韻の表現などの音場感や、繊細感などの聴いてみると違いはすぐに解るんだけど、言葉にするのが難しい部分ですね。
微妙にかゆいところに届かないところに少し手を伸ばす感覚に似ています。

使いにくいケーブルってビヨンビヨンしててイヤホンのおさまりが悪くなったりすぐ引っかかったり、音に集中できないんですよね。
そうならないために、線材や編み方に拘って作成しています。長く使うためにも修理しやすいように、レジンで固めたり接着剤を使用したりするのは必要最小限にしています。プラグやコネクターのカバーも接着剤やチューブで覆ってしまわないのは、断線や故障時にすぐ直せるように開けられるようにしています。

うちで作っているケーブルに特殊な技術はなんも使っていません。何とか処理とかなんとか加工とか全くしません。
線材を切り出して、編み込んで、はんだで接合して、カバーをかぶせて完成。これだけです。特殊な加工の技術料なんかは全く考えていません。
奇をてらわず、その基本的な作業をどこまで丁寧にやるかのほうが大切だと考えています。

線材について

昨年(2023年)末に、目標であったオーダーのオリジナル線材を作成しました。今年発売した「絢」の線材ですね。今後はこの線材をうちのスタンダードにしようと考えています。
オーダーするにあたっては、導体の材質と本数に重きを置いて検討しました。
その際、導体の純度にコストを割くよりも、銀めっき加工と本数&拠り方にコストをかけました。信号の大半は導体の表面を流れるので、そこがスムーズに流れるよう銀めっき加工を施し、導体の本数を通常の撚線よりも増やして表面積を稼ぎました。偏りなく流れるように断面の真円性にも拘り、撚線の拠り方の提案をしてもらいました。
ここまで細かくオーダー対応していただくにはやはり国内のメーカーに協力を依頼しました。コストはその分高くなりましたが、思っていた通りの音を出してくれる線材が完成して内心ほっとしています。

今後の作成について

そうして線材も完成し、新製品の構成が決まった後に「トープラ販売の廃業」というとんでもないニュースが入ってきました。速報を見たときは「噓でしょ…」ってなりましたね。
もう一度トープラ販売に頼らない部品構成を考え直さなければならなくなりました。その段階で絢Ver.1.0~1.5が生まれました。
本来作りたかった構成は本記事につけられている画像の絢-Originの構成でしたが、プラグと比べてコネクターまで無垢にしてしまうと、頻繁に抜き差しして本体のコネクター部分を痛めるという本末転倒な製品になるため、Ver.1.0の構成に落ち着いたという経緯です。Ver.は違えど音は出来る限り同じに作っていますので、その点はご安心ください。

現時点で安定供給出来て、品質を確保できているプラグとコネクターを選定完了しましたので、Ver.表記のない「絢」として、近日お披露目できると思います。

今後は基本的に絢の線材を中心とした商品を作製してまいりますが、従来のラインナップ品のオーダーも対応いたします。
その他、RCAケーブルやXLRケーブルなどもオーダー製作しておりますので、ご検討の際はどうぞよろしくお願いいたします(PR)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?