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バッハ シンフォニア第2番【解説】 BWV788

減7の音程を含む厳しさを持つ主題。前半はバス+上2声によるトリオ・ソナタの形式に始まるが後半から主題は姿を消し、ゼクエンツ風の小さな4つの動機による即興の技法に切り替わる。とうとう主題は二度と現れることなく、全く新しい素材によって曲は締めくくられる。


主題

この曲の主題は次の通りです。

減7度の非常に厳しい表情を忘れないように気をつけましょう。冒頭の左手は、典型的な通奏低音による伴奏になっています。
音階部分も含めて主題の後半部分はインベンションの4番の主題と全く重なります。

メロディー以外の要素→拍子、調性、対旋律の形、音価が違うので全く同じことを意味しているとは思いませんが、着想は共通しているところがあるという見方をしても良いと思います。

主題は13小節目を最後に、曲の終わり(32小節)まで二度と出てくることはありません。


即興を形作る4つの動機

間奏部分と、展開部分が大部分を占めるのですが、その即興的な音楽は4つの動機から成っています。
動機a、動機b、動機c、

そして動機aを変奏させたような形、動機dです。
途中の経由している音も同じです。

出発点と終着点は動機aと同じです。しかし、途中の線が違うところを経由しています。さながら上野駅と大宮駅を繋ぐ電車で、途中駅の赤羽駅は共通しているけども、違うルートで走る線路のようです。要するに・・似ていますが別物です。見える景色もスピードも全然違います。

(例えの画像が譜例よりも大きくなってしまいました・・。)

そして、この動機dを3つ連続させた3オクターブを超える転落部分がこの曲の一番の悲劇的な場面です。

この恐ろしいほどの悲劇と共に、最後のピカルディ終止に向かう上行音型によってコントラストが一層深まります。


4つの異なったパーツを組み合わせて積み上げていく様子はさながら、テトリスを思い出しますが、あくまでこういったドラマを展開しているところに注目をしたいです。

そして、逆説的ですが、そのドラマを「正しく」汲み取る為にはロジカルな分析が必須だと思います。
当時、演奏家と作曲家は分業化していなかったので、バッハの意図としては、質の高い作曲技法を身につけてほしいということでした。


構成

第一提示部(主調・ハ短調)1~4小節
間奏5~8.5小節
第二提示部(属調・ト短調)8.5~13.5小節
間奏13.5~18小節
展開部分1(下属調・へ短調)19~22.5小節
展開部分2(平行調・変ホ長調)22.5~27小節
終結部(主調・ハ短調)28~32小節


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