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バッハ シンフォニア第10番【解説】 BWV796(演奏動画付き)

八分休符からシンコペーションで始まる主題は喜びの表情をもつ。少しずつ変化させた主題、転回技法を使った間奏で色合いが刻々と変わっていく。楽譜上、とてもシンプルなつくりをしているが、手の動きとしてはフーガを弾きこなす高度な技術が必要。


主題

八分休符からシンコペーションで始まる主題は2小節間の喜びに満ちています。減増音程は出てきません。素直に音階が運ばれていきます。

左手は典型的な通奏低音の伴奏です。1度、4度、5度の和声の移り変わりを支えています。短く切ってしまうと、和声不在の時間ができてしまうので、長めに演奏します。

この曲の主題は必ずしも、八分休符とシンコペーションで始まっているわけではありません。それぞれの弾き分けをして微妙な性格の違いを出します。


間奏

間奏は主題の後半部分を使ってゼクエンツを繰り返し、提示部を繋げています。

提示部と間奏が交互に表れる、とてもシンプルなつくりをしています。しかし・・


フーガの弾き分け

シンプルな音階を右手から左手に美しく渡さないといけないのですが、バスの移動がかなり大きいので大変です。

あと、手がもう一本ほしいというよりも、鍵盤がもう一段ほしいというような場面もあります。タイとスタッカートが混在している時です。

これは鍵盤が二段に別れていれば難しくないのですが、実際ピアノで弾くときは、タイの間にスタッカートを弾いて、そのままタイに戻さないといけないのです。楽譜に書くと、こうなります↓

しかも、この場合は音の高さが逆転してしまうので指先で出す繊細な音色のコントロールが必要です。


構成

第一提示部(主調・ト長調)1~8小節
間奏9~10小節
第二提示部(平行調・ホ短調)11~14小節
間奏15~19小節
第三提示部(属平行調・ロ短調)20~21小節
間奏22~25小節
第四提示部(主調・ト長調)26~27小節
間奏28~30小節
終結部31~33小節


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