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バッハ シンフォニア第4番【解説】 BWV790

元々シンフォニアの前身、ファンタジアでは2番の位置付けだった。シンフォニア1番が全音階的旋律が使われていたのに対し、この曲は半音階的旋律が随所に使われている。ニ短調のもつ、厳しさ、深刻な性格が半音進行と不協和音も相まって、色濃く表れている。


半音階的書法

半音階で下行進行する形が所々に出てきますが、代表的な箇所は12、13小節目と最後の22、23小節目です。

半音階で下行することで、苦しみを表現しています。


主題は上昇したがっているが・・

半音階による下行が特徴的な曲ですが、反して主題はなんとか上に昇ろうとしている形になっています。

この相反するものとの葛藤が緊張感を生み、ただひたすらに崩れ落ちるだけではなく、なんとか苦難の中から救いを求めているといった雰囲気が出ます。

また、主題がまだ言い終わる前に応答主題が出てきています。ストレッタのようなつくりで始まっています。


和音を持ち越さない提示部

第一提示部、第二提示部、第三提示部の冒頭は16分休符が入っているので前の音を残さずにそれぞれの調性をハッキリと明示して入ります。

この時の左手は重々しい足取りを表しています。

終結部に出てくる主題では倚音(いおん)が残っているので、少し混沌とした感じから出てくることになります。最後の4小節は臨時記号も増えて、いよいよ十字架にかけられる最後のキリストの姿を想わせます。


構成

第一提示部(主調・ニ短調)1~4小節
間奏5~8小節
第ニ提示部(平行調・へ長調)8~11小節
間奏11~13小節
第三提示部(属調・イ短調)13~18小節
間奏18~19小節
終結部(主調・ニ短調)20~23小節

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