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わたしたちはにている

法事で料理の手伝い。

大きな鍋に一口大の具材。じゃがいも、里芋、人参に筍、大根、蓮根、牛蒡、椎茸、蒟蒻、豆腐、昆布、鶏肉、そしてピーナッツ。
節操のない取合せだけど、地元で集まりがあると必ず出される「にごみ」。

長崎は大村の郷土料理。いわゆる煮物で、具材がコロコロ小さくてピーナッツが入ってる。とにかく量を作らないといけないから準備はなかなか大変だけど、煮込みに入ったらあとはぐつぐつ。

「私、らっかしょ苦手」
妹はピーナッツのことをらっかしょと呼ぶ。祖母の影響だ。

「"いこみき"って知ってる?」

そう言いつつ、冷蔵庫に貼ったホワイトボードに書いてみる。
「已己巳己」
「何これ、どういう意味?」
「似てるってこと」

「にごみと筑前煮はいこみき。
 でもね、似てるってことは同じじゃなくて別物ってこと」

「そうだね。んで?」

「その違いが、正にらっかしょ」

「なんと」

「そう邪険にしなさんな」

まぁ、私も昔は嫌いだったけどね。

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