第一回 白エルドラージでルールスを倒したい話(理論実習)

1.はじめに

これから、白エルドラージならルールスデッキに勝てるんじゃないかという夢の話をします。yuzです。

  もちろんルールスというのは、夢の巣のルールス/Lurrus of the dream-denのことです。夢から覚めたほうがいい、こんなエアプ勢に近い奴がが書いた記事なんか見るべきじゃない・・・

 そうかもしれません。しかし、白エルドラージが苦手なのはMUDであって、storm系のデッキにはコスト増加スペルの影響があり、アメジストのとげ/Thorn of Amethystを失ってもその輝きは消えていないと確信しています。

今日はこのデッキをどのように取り扱うか、ルーリングを含めた理論の面から考察してみようと思います。

2.ルールスの歴史

 このカードはスタンダードからヴィンテージまでアーキタイプをあっという間に席巻してしまい、イゼット速報の既報によれば、2020年5月2日のMagic Onlineで開催されたVintage challengeのtop8は相棒が採用されており、すべてがルールスを採用していたとのこと。

 かくいう私も、MUDの凋落を目の当たりにしてしまい、手が滑ってUnderground seaTundraを入手してしまったのですが、 一方で、このメカニズムは強すぎるという声もあり、制限カードをすっ飛ばして禁止カードにせよという意見すらあります。(そもそもルールスを相棒で使う限りは、このカードは1枚しかデッキに入りえません)

 さて、相棒にルールスを採用したデッキは、MTG goldfishによれば5月9日時点で4つのタイプに分類できます。
 1つ目は、逆説的な結果/Paradoxical Outcomeを採用したPO stormか闇の請願/Dark Petitionを採用したTPSの流れをくむBUW stormタイプ。2つ目は、死の国からの脱出/Underworld Breachを採用したUR stormタイプ。3つ目は、Czech pileの流れをくみ、BUGカラーでタルモゴイフ/Tarmogyfや死儀礼のシャーマン/Deathrite sharmanを採用したビートダウン寄りのもの。4つ目はURカラーではあるものの、苦悶の触手/Tendrils of Agonyのかわりにスプライトのドラゴン/Sprite Dragonを搭載したPO stormの亜種です。

 数の順に並べましたが、3つ目のビートダウン寄りのものはともかくとして、Storm系のデッキにちょっとだけ強いのが白エルドラージです。まず、このタイプを相手にする前提で話を進めていきましょう。

3.ルールスの問題点

・事実上「公開された1枚の手札」として機能すること
・Black Lotusによって場に出ること
・そのBlack Lotusを含む墓地のパーマネントを再利用できること

 悪魔の教示者/Demonic Tutorと吸血の教示者/Vampiric TutorでBlack Lotusはサーチしてもよいため、初手にこの3枚(厳密には、吸血の教示者/Vampiric Tutorの場合、1枚ドローのためにもう1枚必要)があればルールスが動き出します。

 ちなみに、計算上Black Lotusが初手にある確率はだいたい11%です。悪魔の教示者とmoxenとUnderground Sea(とそれを引けるフェッチランド)が初手で三枚そろう確率がいいとこ3%です。マリガンを考慮していないので、引く確率はもう少し高くなります。つまり、はやいうちから相手がルールスを撃てるようになる可能性は高いと考えるべきでしょう。

4.対策を考える前に敵を知れ

 ルールスを場に出させないようにしたいなら、もっとも楽な方法はカウンターすることです。しかし、この記事は白エルドラージの記事なのでカウンターの話は忘れましょう。

 ルールスを場に出させないためには、手札以外から呪文を唱えさせなければよいのです。たとえば、墓地やライブラリーからのキャストを禁止するカードに墓堀りの檻/Grafdigger's Cageがあります。

Grafdigger's Cage / 墓掘りの檻 (1)
アーティファクト
墓地やライブラリーにあるクリーチャー・カードは戦場に出ることができない。
プレイヤーは墓地やライブラリーから呪文を唱えられない。

 しかし、墓堀りの檻/Grafdigger's Cageでルールスを封じられるようには到底思えません。なぜなら、「相棒」であるルールスがゲーム外領域からとなえられているからです。要するに、相棒/Companionのルール上の規定を知っておく必要があるということです。

 総合ルール20200417.1によると、相棒をどこから唱えるかについて次のように定義されています。

702.138a
相棒は、ゲームの外部で機能するキーワード能力である。「相棒―[条件]/Companion - [条件]」という形式で書かれる。ゲームを開始する前に、ゲームの外部から自分が所有していて自分の初期デッキが条件を満たしている相棒 能力を持つカード1枚を公開してもよい(rule 103.1b 参照)。そうしたなら、そのゲームの間1回、あなたはそのカードをゲームの外部からプレイできる。(※ 強調筆者)

 「ゲームの外部」を参照するカードの代名詞はオデッセイブロックの中にあった「ジャッジメント」の「願い/Wish」サイクルです。例えば、かつてウィッシュボード戦略の一翼を担った燃え立つ願い/Burning Wishはこんな具合でした。

Burning Wish / 燃え立つ願い (1)(赤)
ソーサリー
あなたは、ゲームの外部にあるあなたがオーナーであるソーサリー・カード1枚を選び、そのカードを公開し、あなたの手札に加えてもよい。燃え立つ願いを追放する。(※ 強調筆者)

 最近では、エルドラインの王権の当事者カードである、願いのフェイ/Fae of Wishesを出来事としてキャストしたとき、あるいは、制限カードになってしまった大いなる創造者カーン/Karn, the Great Creatorなど、ゲーム外領域を参照するカードは十数枚を数えるのみです。


この十数枚のほとんどの効果は「ゲーム外領域から、手札に加える」です。
例外はこの一枚だけです。

Spawnsire of Ulamog / ウラモグの種父 (10)
クリーチャー — エルドラージ(Eldrazi)
滅殺1(このクリーチャーが攻撃するたび、防御プレイヤーはパーマネントを1つ生け贄に捧げる。)
(4):無色の0/1のエルドラージ(Eldrazi)・落とし子(Spawn)クリーチャー・トークンを2体生成する。それらは「このクリーチャーを生け贄に捧げる:(◇)を加える。」を持つ。
(20):望む枚数の、ゲームの外部にあるあなたがオーナーであるエルドラージ・カードを、それらのマナ・コストを支払うことなく唱える。
7/11
(※ 強調筆者)

20マナをひねり出してようやく「ゲームの外部にあるクリーチャー呪文を唱える」ことができるのです。端的に言ってしまえば、「ゲーム外領域から呪文を直接唱える」こと自体をマジックが殆ど経験してこなかったのです。

そう、これから当たり前になるのですj。マジックはこれから「ゲーム外領域から直接呪文を唱えてもよい」という常識を経験をするのです。その常識がいいものなのか、悪いものなのかはわかりません。しかし、WotCはそれをやると決めたのです。そして、それを封じるカードもイコリアの中に用意しました。それはドラニスの判事/Drannith Magistrateです。

Drannith Magistrate / ドラニスの判事 (1)(白)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
対戦相手は自分の手札以外から呪文を唱えられない。
1/3

Oath系デッキに対する封じ込める僧侶/Containing Priestの奇襲性に比べると劣りますが、CMC2マナで色拘束も少なく優秀です。しかも白エルドラージにとって何よりの福音があります、クリーチャータイプが人間であることです。以前の記事で記載した通り、白エルドラージデッキは「人間とエルドラージの部族デッキ」ですから、このクリーチャータイプによって魂の洞窟/Cavern of Soulsの恩恵にあずかれます。このことを踏まえ、次のようなデッキを考えました。

5. 実際の白エルドラージでの構築例

MAINBOARD
[Creatures] 26
2 封じ込める僧侶/Containment Priest
2 変位エルドラージ/Eldrazi Displacer
3 ドラニスの判事/Drannith Magistrate
3 輝きの乗り手/Glowrider
4 ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker
4 現実を砕くもの/Reality Smasher
4 スレイベンの守護者 サリア/Thalia, Guardian of Thraben
4 難題の予見者/Thought-Knot Seer

[Artifacts] 11
1 Black Lotus
1 虚空の杯/Chalice of the Void
1 魔力の櫃/Mana Crypt
1 Mox Emerald
1 Mox Jet
1 Mox Pearl
1 Mox Ruby
1 Mox Sapphire
1 太陽の指輪/Sol Ring
1 アメジストの棘/Thorn of Amethyst
1 三なる宝球/Trinisphere

[Lands] 13
4 古の墳墓/Ancient Tomb
4 魂の洞窟/Cavern of Souls
4 エルドラージの寺院/Eldrazi Temple
2 カラカス/Karakas
4 平原/Plains
1 露天鉱床/Strip Mine
4 不毛の大地/Wasteland

 さて、本日はここまでです。あくまでここはルールを確認し、困った猫を塞ぐにはどうしたらよいか――「理論上こうである」というところまでです。次は実際にデッキを組んで動かしてみたら、またここで会いましょう。


 それでは、健康に気を付けて!

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