【結城友奈は勇者である考察】勇者であるシリーズにおける暦・カレンダー
こんばんは。来覇(くるは)と申します。
今回は勇者であるシリーズにおける暦やカレンダーについて見ていきます。
勇者であるシリーズは西暦の時代から始まり、神世紀は300年以上と幅広い年代が舞台となっていますが、実際に作中の出来事が何月何日に起こったのか、と言う点については明らかになっていないことが多いです。
そうした中でも、背景の黒板やカレンダーなどを通して日付と曜日が示されているシーンがいくつか見受けられ、作中の年月日を知ることができます。
今回はこれらの日付と曜日、祝日の日付を通して勇者であるシリーズのカレンダーは現実のカレンダーのどの西暦年に当たるのかを推測していきます。
※注意
今回考察していくうえで、勇者であるシリーズの主な舞台となる神世紀においても、暦は現実と同じ太陽暦(グレゴリオ暦)を採用したままであり、祝日は現実の「国民の祝日」を用いていることを前提として考察を進めていきます。
1.乃木若葉は勇者である
まず、現実と同じ西暦が舞台となる「乃木若葉は勇者である」から考えていきます。
「乃木若葉は勇者である」は概ね、2015年7月30日に起こった七・三〇天災から、暦を神世紀に改める直前の2019年末までの期間を描いた作品となります。
小説「乃木若葉は勇者である」では2015年7月30日にバーテックスが世界中に出現し人類を蹂躙したことや、2019年1月1日に勇者がバーテックスとどのように戦うかを披露する演武を行うなど、日付を表す描写は随所に見られます。
しかし、小説内では日付と曜日が同時に出てくる箇所はなく、日付と曜日の関係性を知ることはできません。
「乃木若葉は勇者である」での日付と曜日が確定できるのは「結城友奈は勇者である -大満開の章-」5話での場面です。
ここでは勇者が初陣で見事バーテックスを撃破したという活躍が新聞で報じられており、その日付は9月15日土曜日となっています。
西暦勇者の初陣は2018年9月であることは小説内でも描写されているため、この新聞は2018年9月15日土曜日の新聞であると考えられます。
ここで、現実におけるカレンダーを見てみると2018年9月15日は土曜日となっており、現実のカレンダーと「乃木若葉は勇者である」世界でのカレンダーは一致していることがわかります。
以上の描写から、西暦の時代を描いた「乃木若葉は勇者である」では、現実の2018年カレンダーをモデルとしていることが考えられます。
余談となりますが、この2018年モデルで考えていくと、夏休みが終わり新学期1日目が始まった9月1日が土曜日ということになります。
丸亀城にある学校は西暦勇者5人に巫女のひなたを加えた6人しかいない学校なので通常の中学校と同様ではないでしょうが、夏休み明けの土曜日から学校の授業がある大変な時間割の中で日々を過ごしていることがわかりますね。
2.結城友奈は勇者である -結城友奈の章-
次に、神世紀300年が舞台となる「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」について考えていきます。
こちらはほかの年代と比べても日付と曜日が揃って登場することが多く、ある程度正確に日付と曜日の関係性を考えていくことができます。
まず最初に日付と曜日が出てきたのは1話の教室での場面となります。
1枚目の画像では文字が小さく判読が難しいですが黒板に4月25日月曜日であることが示されています。2枚目の画像は1枚目の翌日の描写となっており、26日火曜日であることがはっきりと見てとれます。
これらの描写から神世紀300年において4月25日は月曜日、4月26日は火曜日であることがわかります。
閏年などを考慮しないのであれば、この曜日と日付を起点に考えていくことで神世紀300年4月だけでなく、神世紀におけるあらゆる日付と曜日の関係性を順番に考えていくことができます。
例えば、神世紀300年6月20日の曜日を考える場合、4月25日月曜日からちょうど8週間後に当たるため、6月20日は月曜日であると予想することができます。
この後も、3話において三好夏凜の家にあったカレンダーや6話において病院にあったカレンダーなどで日付と曜日の関係性を知ることができます。
1枚目の画像は三好夏凜の誕生日の場面なので6月のカレンダーであり、2枚目の画像は7月のカレンダーとなります。
これらの描写でも、日付と曜日の関係性は4月のカレンダーから矛盾なくつながっているため、カレンダーがただ背景として飾られているのではなく、ある一年という設定が決められていて、それを元にカレンダーとして示されていることがわかります。
ここで一度、神世紀300年が西暦で表すと何年になるのかを考えてみます。
「乃木若葉は勇者である」および「結城友奈は勇者である 勇者史外典」の描写より、西暦2019年の翌年、本来なら西暦2020年の年が神世紀元年となっていることがわかっています。
そのため、単純計算で神世紀300年は西暦2319年となる年であると考えられます。
こちらが2319年6月のカレンダーとなりますが、三好夏凜の家にあったカレンダーとは日付と曜日の関係性が異なります。
そのため、神世紀300年が単純に西暦2319年のカレンダーをモデルとしているわけではないことがわかります。
ここから、さらに神世紀300年のモデルとなっているカレンダーを探るために重要となってくるのが祝日の描写になります。
この場面での、9月のカレンダーでは19日と22日が祝日の表記になっています。
現代日本において9月の祝日は「敬老の日」と「秋分の日」の2つがあります。
「敬老の日」は2002年まで毎年9月15日でしたが、2003年からは9月の第3月曜日と定められています。
そのため、この場面では19日月曜日の祝日が「敬老の日」であると考えられます。
次に「秋分の日」については一定の日付が決まっておらず、毎年国立天文台が天文観測により規定することとなっています。
概ね、9月22日~9月24日のいずれかになり、ある程度の法則性があるため未来の「秋分の日」を割り出すことも可能です。
そして、犬吠埼樹の部屋にあったカレンダーでは9月22日木曜日が祝日となっています。
以上の情報からさらに神世紀300年のモデルとなるカレンダーを絞り込んでいきます。
まず、先ほども提示した西暦2319年は9月21日日曜日が秋分の日となるため、この面からみても神世紀300年が2319年モデルという説は否定されます。
そのため、9月22日が木曜日かつ秋分の日が22日となる西暦年を考えてみます。
それがこちらになります。
2016年、2044年、2061年、2072年、
2078年、2089年、2140年、2168年、
2185年、2196年、2264年、2292年
「秋分の日」は太陽の動きにより決まることから未来になればなるほど誤差が大きくなり日付を予測することが困難となるため、今回はざっくりと2000年から2300年までの期間で挙げました。
2000年から2300年という範囲に限れば、「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」はこの12通りのいずれかのカレンダーをモデルとしている可能性があります。
ただ、「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」ではこれ以上の描写がないため、残念ながら作中の描写だけで絞り込めるのはここまでとなります。
3.結城友奈は勇者である -大満開の章-
続いて、「結城友奈は勇者である -大満開の章-」について考えていきます。
「結城友奈は勇者である -大満開の章-」では神世紀300年を中心として進んでいき、西暦時代の回想をはさみながら終盤は神世紀301年、またその4年後の神世紀305年が舞台となっていきます。
ここで注目したいのは神世紀301年における日付と曜日の関係性の描写です。
この場面は天の神を撃退し、結城友奈が祟りから解放された後であり、直前で犬吠埼樹が「来たる新年度4月からの活動について…」というセリフがあることや雛人形の絵が描かれていることから3月のカレンダーであることが予想されます。
3月19日が日曜日となっており、先ほど「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」で示した日付と曜日の関係性とも矛盾なくつながっているため、神世紀301年のカレンダーは神世紀300年の翌年のカレンダーとして示されていることがわかります。
そしてカレンダーをよく見ると3月20日月曜日が祝日表記になっていることがわかります。
3月にある祝日といえば「春分の日」となります。
「春分の日」も先程説明した「秋分の日」と同様に毎年国立天文台が天文観測により規定しています。
そのため、春分の日は概ね3月19日~3月22日のいずれかの日にちとなります。
ここで先程と同じように3月20日が月曜日かつ「春分の日」となる西暦年を挙げていきます。
それがこちらになります。
2000年、2017年、2028年、2034年、2045年、2056年、2062年、2073年、2079年、2084年、2090年、2124年、2141年、2152年、2158年、2169年、2180年、2186年、2197年、2248年、2265年、2276年、2293年
太字で示した部分が、「秋分の日」が9月22日木曜日となる西暦年の翌年となる西暦年になります。
調べた範囲内では、9月22日木曜日が「秋分の日」となる西暦年の翌年は必ず「春分の日」が3月20日月曜日となるようで、ここでも作中神世紀をモデルとしているカレンダーは現実における2000年から2300年までで12通りという結論は変わりませんでした。
4.結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-
続いて神世紀298年が舞台となる「鷲尾須美は勇者である」および「結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-」について考えていきます。
小説「鷲尾須美は勇者である」では曜日描写どころか、勇者御記に記されている日付以外は日付描写すらも全くと言っていいほど無いため、小説から日付と曜日の関係性を考えるのは難しいと思われます。
「結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-」でも曜日の描写はほとんどなく、おそらく唯一描写されているのがこの場面となります。
これは、遠足の前日で三ノ輪銀が自宅で準備をしている場面となりますが、背景に小さくカレンダーが描かれています。
小説「鷲尾須美は勇者である」の描写より遠足は7月に行われたはずなので、7月のカレンダーであると考えると、7月31日が木曜日になること、第3月曜日が祝日であることがかろうじて判読できます。
7月の第3月曜日は「海の日」となっているため、このカレンダーは7月のもので間違いなさそうです。
ここで、7月31日が木曜日となる場合を考えると、概ね「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」の2年前のカレンダーがあてはまることになります。
※閏年を考慮すると西暦2078年の2年前のみ、7月31日が金曜日になるのでこの時点で候補から除外できます。
「結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-」は「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」から2年前の神世紀298年が舞台となっているため、背景の小さなカレンダーを見るだけでもこの2作品が2年の差があることがわかるようになっています。
ここまで考えてきて、神世紀における日付と曜日の関係性は設定面だけでなく作中のカレンダー描写でも「結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-」から2年後に「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」、そしてその翌年に「結城友奈は勇者である -大満開の章-」となっていることがわかり、年代の設定が背景の細かい描写にまで示されていることがわかります。
ただ、作中の描写から絞れるのは2000年から2300年の間だけでも11通り、さらに範囲を増やせばさらに選択肢は増えていくことになり、たったひとつのモデル年代を導き出すのは困難という結論になりました。
5.芙蓉友奈は勇者である
最後に、神世紀29年を舞台とする「芙蓉友奈は勇者である」の曜日と日付の関係性を考えていきます。
「芙蓉友奈は勇者である」は勇者であるシリーズの中では珍しく小説内に日付と曜日が登場する部分があります。
この描写より、神世紀29年7月2日が金曜日であることがわかります。
神世紀29年は「乃木若葉は勇者である」の舞台である西暦2015年~2019年と、「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」の舞台である神世紀300年の中間に位置しているため、両面から日付と曜日の関係性を考えていきます。
まず西暦から考えていくと、神世紀29年は西暦2019年の29年後に位置することになるため、西暦2048年のカレンダーと一致しているはずです。
しかし、実際の西暦2048年カレンダーを見てみると7月2日が木曜日となっており、作中の描写と合いません。
次に神世紀300年から考えていくと、神世紀29年は神世紀300年の271年前に位置することになります。
すでに判明している神世紀300年のモデルとなる西暦年の候補11通りから271年前の西暦年を以下に示しました。
1745年、1773年、1790年、1801年、
1818年、1869年、1897年、
1914年、1925年、1993年、2021年
この中から7月2日が金曜日となっている西暦年だけを抜き出すと以下のようになります。
1745年、1773年、1790年、1869年、
1897年、1993年、2021年
これまで11通りだったのが7通りにまで減らせました。
以上の事柄から、神世紀29年、298年、300年、301年はつながりのある暦として描写されていますが、西暦と神世紀のカレンダーの連続性を考えると暦がずれてしまうことがわかります。
西暦から神世紀に移り変わる際に暦法を変更したのか、曜日を調整したのか…。
神世紀になる直前に大赦を掌握した上里ひなたが何らかの意図をもって変更を加えたのかもしれませんね。
6.結論
最終的な結論として、勇者であるシリーズに登場する日付や曜日の描写を通して現実のカレンダーに当てはめる今回の試みは、完璧にある西暦年をモデルとしている、という答えを出すことはできませんでした。
今回で分かったことは、
「乃木若葉は勇者である」は作中の描写と同じく西暦2018年のカレンダーがモデルとなっていること。
「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」は2000年から2300年の間の範囲に限れば、2016年、2044年、2061年、2140年、2168年、2264年、2292年の7通りのいずれかをモデルとしているだろうこと。
「芙蓉友奈は勇者である」は「結城友奈は勇者である -結城友奈の章-」から271年前となる 1745年、1773年、1790年、1869年、1897年、1993年、2021年のいずれかをモデルとしているだろうこと。
ということになります。
現在の描写ではただ一つの西暦年に絞ることはできていませんが、今後も勇者であるシリーズが続いていく中で新しい描写が出れば、神世紀をモデルとしているカレンダーを描写上から一つに導きだすこともできるのではないかと考えています。
7.最後に
いかがだったでしょうか。
今回、勇者であるシリーズの作中描写から日付と曜日の関係性を追っていった中で驚いたのが、300年以上もの年月を描いている作品で、背景の細かなカレンダーや黒板の描写からほぼ矛盾なく連続した日付と曜日の関係性が導き出せたことです。
これは、カレンダーがただの背景の飾りとして置かれているのではなくしっかりとした設定が決められたうえで、「この場面の年代では日付と曜日の関係性はこのようになるから、このカレンダーを置こう」といったように描写されているのだと思いました。
まさに背景の細かい描写にも気を配る、勇者であるシリーズスタッフの作品へのこだわりと愛を感じました。
今回の考察では、あくまで暦と祝日は現実と同じものであると考えていたり、「春分の日」と「秋分の日」の日付を将来の予測日で考えていたりと、様々な前提条件や曖昧な情報から考えたものとなりますので実際に勇者であるシリーズで設定されているモデルとは大きくずれが生じている可能性があります。
暦を太陽暦ではなく、太陰暦などのほかの暦で考えたり、「春分の日」や「秋分の日」を天文学的により正確に導き出すとまた違った結論が見えてくるかもしれません。
また、私自身勇者であるシリーズの日付や曜日描写をすべて網羅して確認できているわけではないと思うので、違った観点から別の結論にたどり着いた方や、今回の記事の中で拾いきれなかった作中の日付曜日描写に気づいた方は是非コメントなどで教えていただきたいと思います。
それでは今回は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?