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『キッスがしたい!』#テレ東ドラマシナリオ

【テーマ作品】

『MajiでKissする5秒前』

【あらすじ】

超奥手な彼氏・三木大輔(24)とそんな彼氏に翻弄される彼女・森本美嘉(24)が初めてのキスをするまでのドラマ。 

今日は3回目のデート。奥手な三木もようやく美嘉にキスをすることを決意してデートに挑む。実は三木にとって美嘉は初めての彼女。いつも以上に緊張してぎこちないデートをする二人。

デート終盤も終盤に差し掛かり、絶好のキスチャンスが訪れる。三木は震える手で美嘉に顎クイをしてキスを試みるが、あと一歩のところで踏みとどまってしまう。

最後の一歩が踏み出せない三木に、散々焦らされた美嘉から強引にキスをする。

SideAでは三木の心情を、SideBでは美嘉の心情を描きました。※SideAだけでも楽しめる内容になっています。


【人物】

三木大輔(24)サラリーマン
森本美嘉(24)大輔の彼女
原康二(24)大輔の同僚

居酒屋の店員

その他

【SideA】

○遊園地・ベンチ(夜)
バレンタインを意識したイルミネーション。デート中のカップルが目立つ遊園地。
会話も途切れ途切れ、ぎこちない距離感で並んで歩く三木大輔(24)と森本美嘉(24)。美嘉がわざとらしく三木の小指に自分の手を当てて、手を繋ぎたいアピールをしているが、三木は上の空で全く気がついていない。
T『初キッスまであと10分』
三木M「今日こそは必ず、絶対に。僕は彼女とキッスをする。キスではないキッスだ。やっぱり柔らかいのかなあ、本当に甘酸っぱいのかなあ。今日こそは絶対に絶対に絶対に…」
美嘉「(ため息)大輔くん。大輔くん?」
三木「な、何!?」
美嘉「私、お手洗いに行って来るね」
三木「じゃあここで待ってる」
三木、ベンチに座り美嘉が戻って来るのを待つ。
三木、おもむろにスマホを取り出し、カメラで自分のキス顔を確認している。
近くのベンチに座っていたカップルが三木の姿を見て噂をしている。
三木、ごまかすように咳払いをしてスマホをしまう。
周りのイチャついているカップルを見ながら、
三木M「あんなこと出来んのか、俺。いや、無理だよ。いやでも…良いよなあ」
頭を抱えている三木の元に美嘉が戻って来る。
美嘉「ごめんね、待たせちゃって」
三木「ううん、全然大丈夫」
美嘉「寒いね」
美嘉、手を擦り合わせている。
美嘉「こんなに冷たくなっちゃった」
美嘉、大輔に手を差し出しもう一度
アピールをするが大輔は全く気がつかない。
三木「そうだよね!ごめんごめん!気がつかなくて。なんかあったかい飲み物買って来る!これ巻いて待ってて!」
三木、自分のマフラーを美嘉の首にグルグル巻きにして売店に向かって走っていく。
美嘉「そういう事じゃ無いんだけどな…」
三木、売店に向かいながら振り返り、自分のマフラーを巻いた美嘉の姿を見て
三木M「やば!!超可愛いやつじゃん!」
何度も振り返って
三木M「え!?え!?…何回見ても可愛い…え!?俺の彼女、可愛い!!!」
美嘉、三木と目があって手を振る。
三木もそれに応えるように大きく手を振っていると、前方にある柱に勢いよくぶつかる。
三木「痛っっ!」
美嘉、その様子に思わず立ち上がって心配する。三木、大丈夫というように手をヒラヒラを振って立ち上がる。

◯同・売店(夜)
キッチンカータイプの小さな売店。
列に並びメニューを見ていると原康二(24)からのメッセージを受信する。
T『初キッスまであと5分』
原『どう?初チュー出来た?』
三木『まだ』
原『俺のアドバイス通りやれば大丈夫だって』
三木「みんながみんなお前みたいに出来ると思うなよ」
三木、寒そうに待っている美嘉の様子を見つめる。

◯(回想)居酒屋
サラリーマンで溢れる安い居酒屋。
会社帰りの三木と原が向かい合って呑んでいる。
原「え!?まだチューしてないの!?」
三木「だってまだ2回しかデートしてないし」
原「はあ?もう大人なんだからさ、チューくらい付き合ってなくてもするっしょ?」
三木「そっちの方がはあ?だわ」
原「待ってると思うよ、美嘉ちゃん」
三木「そうかなあ」
原「てかさ、もしかしてお前、美嘉ちゃんが初めての彼女?」
三木「…悪いかよ」
原「しょうがないなあ、教えてやるよ」
三木「何を?」
原「チューの仕方」
三木「お前のは参考にならないからいい」
原「本当にいいの?」
三木「…教えて」
原「ください?」
三木「教えてください」
原、三木の隣に無理やり座って
原「まず、こう隣に座るだろ」
三木「うん」
原「で、自然な感じで肩を抱き寄せて」
三木「うん」
原「で、顎クイをしてこっちを向かせて」
三木「う、うん」
原「顔を傾けてチュー」
最悪のタイミングで店員がやって来る
店員「ナンコツ唐揚げで、」
衝撃的な光景にお皿を落としてしまう。
店員「失礼しましたー!」
店員、急いで厨房に戻っていく。
三木「席に戻れよ」
原、三木の反応を面白がりながら席に戻る。
原「これで完璧だから」
三木「無理だよ」
原「何言ってんだよ、チューしたいんだろ」
三木「したい」
原「ならさ、」
三木「(大きなため息)」
原「健闘を祈る!」
三木、グラスに残っているお酒を一気にあおる。

◯遊園地・ベンチ(夜)
美嘉の元に飲み物を持った三木が戻って来る。
T『初キッスまであと3分』
三木「ココアとミルクティーどっちがいい?」
美嘉「大輔くんは?」
三木「遠慮しないで、好きな方選んで」
美嘉「じゃあ、ココアがいいな」
三木「どうぞ」
ベンチに座らず立ったままの三木。
美嘉「…座らないの?」
三木「いや、その、あのー」
美嘉「ベンチ汚くないよ?」
三木「そういう訳じゃないんだけど」
美嘉「私の隣に座るのが嫌?」
三木「いやいやいやいや、滅相もございません」
美嘉「…?じゃあ座ったら?」
三木「う、うん」
三木、到底恋人とは思えない距離感でベンチに座る。
T『初キッスまであと2分』
美嘉「…遠くない?」
三木「そんなことないよ」
美嘉「遠いよね?」
三木「そうかなあ?」
美嘉、三木との距離を詰める。
三木「ひぇ!」
三木、美嘉から離れる。
美嘉「今、逃げたよね?」
三木「逃げてない逃げてない」
さらに距離を詰める美嘉と思わず立ち上がってしまう三木。
美嘉「逃げてるじゃん」
三木「ごめん」
三木、大人しく美嘉の隣に座る。
三木「ちょっと、ドキドキしちゃって」
緊張している二人。
三木、ぎこちなく美嘉に肩に手を回す。
T『初キッスまであと1分』
美嘉「え?」
三木、美嘉の反応に思わず手を離す。
三木「あ!ごめん!嫌だったよね」
美嘉「…別に嫌じゃない…から」
三木「(唾を飲み込む)」
三木、ぎこちなく肩に手を回し抱きよせて、ためらいながら顎クイをする。
見つめ合う二人。
三木、あまりの緊張に耐えられなくなってしまい、美嘉から離れる。
三木M「はあああああ!もうダメだ!ダメだダメだ!」
美嘉、三木の顔を両手で挟んで自分の方に向けて、
三木「え?」
美嘉「意気地なし!」
美嘉、三木にゆっくりと顔を近づける。
三木M「え!ちょ、待って嘘、嘘、嘘!」
三木、ぎゅっと目を瞑る。
三木N「初めてのキッスまで7、6、5」

(了)


【SideB】

○遊園地・ベンチ(夜)
バレンタインを意識したイルミネー
ション。デート中のカップルが目立つ遊園地。
会話も途切れ途切れ、ぎこちない距離感で並んで歩く三木大輔(24)と森本美嘉(24)。美嘉がわざとらしく三木の小指に自分の手を当てて、手を繋ぎたいアピールをしているが、三木は上の空で全く気がついていない。
T『初キスまであと10分』
美嘉M「ダメだ、全然気づいてくれないし」
美嘉「(ため息)大輔くん。大輔くん?」
三木「な、何!?」
美嘉「私、お手洗いに行って来るね」
三木「じゃあここで待ってる」
美嘉、三木を残しトイレに向かう。

◯同・女子トイレ(夜)
美嘉、鏡の前で化粧を直している。
リップを塗りながら、
美嘉「今日もしてくれないのかなあ。準備は完璧なのに」
化粧道具をしまって、髪型を整える。
美嘉「(ため息)今日は手も繋いでくれないし」
カバンの中から携帯を出し『奥手彼氏 手を繋ぐ方法』と検索する。
美嘉「さり気なく、でも強引に…なるほど」

◯同・ベンチ(夜)
美嘉、三木が待つベンチに戻る。
美嘉「ごめんね、待たせちゃって」
三木「ううん、全然大丈夫」
美嘉M「さり気なく、さり気なく、さり気なく、」
美嘉「寒いね」
美嘉、手を擦り合わせている。
美嘉M「強引に、強引に、強引に、」
美嘉「こんなに冷たくなっちゃった」
美嘉、大輔に手を差し出しもう一度
アピールをするが大輔は全く気がつかない。
三木「そうだよね!ごめんごめん!気がつかなくて。なんかあったかい飲み物買って来る!これ巻いて待ってて!」
三木、自分のマフラーを美嘉の首にグルグル巻きにして売店に向かって走っていく。
美嘉「そういう事じゃ無いんだけどな…ここまで奥手で鈍感とは」
三木、売店に向かいながら何度も振り返り、美嘉の姿を見ている。
美嘉「なんか、嬉しそう」
美嘉、三木と目があって手を振る。
三木もそれに応えるように大きく手を振っている。
美嘉「可愛い」
三木、前方にある柱に勢いよくぶつかる。
美嘉「あっっ!」
美嘉、その様子に思わず立ち上がって心配する。三木、大丈夫というように手をヒラヒラを振って立ち上がる。
美嘉「あはは、何してんの」
美嘉、売店に向かう三木を見送る。
T『初キスまであと5分』
携帯で『奥手彼氏 キスをする方法』と検索する。
美嘉「さり気なく、でも強引に…さっきもこれだったよね?」
『奥手彼氏 好きと言ってもらう方法』と検索する。
美嘉「さり気なく、でも強引に…こればっかりじゃん」
美嘉の元に飲み物を持った三木が戻って来る。
T『初キスまであと3分』
三木「ココアとミルクティーどっちがいい?」
美嘉「大輔くんは?」
三木「遠慮しないで、好きな方選んで」
美嘉「じゃあ、ココアがいいな」
三木「どうぞ」
ベンチに座らず立ったままの三木。
美嘉M「な、何故座らないの大輔くん…付き合ってるんだよね、私たち。大丈夫だよね???」
美嘉「…座らないの?」
三木「いや、その、あのー」
美嘉「服汚れたくないとか?」
三木「そういう訳じゃないんだけど」
美嘉「私の隣に座るのが嫌?」
三木「いやいやいやいや、滅相もございません」
美嘉「…?じゃあ座ったら?」
三木「う、うん」
三木、恋人とは思えない距離感でベンチに座る。
美嘉M「ええええ!?その距離感は他人じゃん。どんだけ奥手なのよ!」
T『初キスまであと2分』
美嘉「…遠くない?」
三木「そんなことないよ」
美嘉「遠いよね?」
三木「そうかなあ?」
美嘉M「仕方ない、ここは私が。よし!」
美嘉、三木との距離を詰める。
三木「ひぇ!」
三木、美嘉から離れる。
美嘉「今、逃げたよね?」
三木「逃げてない逃げてない」
美嘉M「さり気なく強引に、さり気なく強引に」
さらに距離を詰める美嘉と思わず立ち上がってしまう三木。
美嘉「逃げてるじゃん」
三木「ごめん」
三木、大人しく美嘉の隣に座る。
三木「ちょっと、ドキドキしちゃって」
美嘉M「え、今、ドキドキしてるって言ったよね?どうしよう、こっから先どうしたらいいいの?」
緊張している二人。
三木、ぎこちなく美嘉に肩に手を回す。
T『初キスまであと1分』
美嘉「え?」
美嘉M「大輔くん、そう来ますか」
三木、美嘉の反応に思わず手を離す。
三木「あ!ごめん!嫌だったよね」
美嘉M「そんなわけないじゃん!やばいやばい、リアクション間違った、このチャンス、逃すわけには!」
美嘉「…別に嫌じゃないよ」
三木「(唾を飲み込む)」
三木、ぎこちなく肩に手を回し抱きよせて、ためらいながら顎クイをする。
美嘉M「はあ〜〜〜!奥手〜〜!」
見つめ合う二人。
三木、あまりの緊張に耐えられなくなってしまい、美嘉から離れる。
美嘉M「おい!大輔!なぜだ、なぜやめる!あ〜もう!手がかかるなあ!」
美嘉、三木の顔を両手で挟んで自分の方に向けて、
三木「え?」
美嘉「意気地なし!」
美嘉、三木にゆっくりと顔を近づける。
三木、ぎゅっと目を瞑る。
美嘉N「初めてのキスまで7、6、5」

(了)

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