マナの代わりに
MTGには「マナ」という概念がある。
マナとは呪文カードをプレイする際に消費されるリソースである。ゲーム開始時にプレイヤーが支払えるマナの量はごく僅かだがターンが進行するにつれて支払えるマナの量は増えていき、支払えるマナの量が多くなれば多くなるほどプレイヤーは強力な呪文をプレイできるようになる。
そして世に存在する他のTCGもTCGの元祖であるMTGに倣ってマナないしそれに準じた概念を持っていることが多い。デュエル・マスターズはその典型的な例であろう。
一方で遊戯王OCGにはマナに相当する概念がない。あるとしてもせいぜい1ターンに1度の召喚権と上級・最上級モンスターを呼び出す際に要求されるリリース(生け贄)コストがある程度である。そのため遊戯王OCGは「世界で最も販売枚数の多いTCG」でありながら異質なTCGとして特異な進化を遂げていった。
MTGをモチーフとしたTCGを再現したゲームであり、打ち消し呪文の再現である(と自分が勝手に思っている)《神の宣告》のようなカードまであるにも関わらず見事にマナの概念だけが抜け落ちていたために今となっては最早全く別物のTCGになっているというのはなんとも興味深い話である。
ではそんな遊戯王でどうやってMTGのカードを再現すればいいのだろうか?MTGではクリーチャーを召喚するためにはそのカードに記されたコストに等しいマナを支払う必要がある。遊戯王においてモンスターカードに記された何かの数字に等しいコストを支払って召喚する方法なんて……そんなものは……いや、あるではないか。
儀式召喚
「儀式召喚」とは、レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、手札やフィールドからモンスターをリリースする事で儀式モンスターを呼び出す召喚法の一種である。
この召喚法であればMTGの「召喚」っぽさもエルドラージの冒涜的な要素も満たせるぞ!という事で今回儀式召喚カテゴリ「エルドラージ」の制作に着手し、このたび完成に至った次第である。
カードの紹介についてであるが、全てのカードを説明していると時間がかかり過ぎるため、詳細な説明は直後の《引き裂かれし永劫、エムラクール》のみ行うものとし、以降は基本的に元のMTGのテキストと今回の遊戯王版のテキストを並べるだけのものとする。(飽きた)
《引き裂かれし永劫、エムラクール》
>ATK5000/DEF5000
遊戯王における素のステータスの最大値。エムラクールなら役者不足ということもないだろう。
>このカード名はルール上「エルドラージ」カードとして扱う。
元のカード名は変えたくなかったのでルール上「エルドラージ」カードとして扱う事で「エルドラージ・アンシーリング」の効果の適用を受けられるようにした。
>闇属性
>このカードの属性はルール上闇属性としては扱わない。
要するにどの属性としても扱わないという事。無色の再現。
>自分は「引き裂かれし永劫、エムラクール」を自分メインフェイズ2に1度しか特殊召喚できず、②の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
ただでさえ召喚酔いが無い遊戯王OCGでターンスキップ効果は危険と判断し「引き裂かれし永劫、エムラクール」のみ特殊召喚可能なタイミングとターンスキップ効果の発動回数を限定した。また、先行1ターン目からのターンスキップを防ぐ目的もある。(遊戯王OCGの先行1ターン目にメインフェイズ2は無い。)
>①このカードの儀式召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
打ち消されない能力の再現。儀式召喚という魔法カードの効果による召喚法との兼ね合いでこのような効果になった。
>②自分が「エルドラージ」儀式魔法カードを発動した時、その発動にチェーンして手札のこのカードを相手に見せて発動できる。次の相手ターンをスキップする。この効果を適用したターン、自分は「引き裂かれし永劫、エムラクール」しか特殊召喚できない。
「引き裂かれし永劫、エムラクール」を正規の手順で召喚する際の醍醐味にあたる能力。儀式魔法の発動に直接手札からチェーンして誘発することで誘発型能力を再現した。発動に直接チェーンする必要があるため手札にエルドラージを複数抱えていても全て一斉に効果が誘発するという事はない。1度の発動につき1体まで。
>飛行能力は?
諦めた。
>③このカードは、このカードの属性と異なる属性を持つ相手モンスターの効果の対象にならない。
自身を闇属性として扱わない効果と相まって事実上全てのモンスター効果に対しての対象耐性としてはたらく。
>④このカードの攻撃宣言時に発動する。相手は自身のフィールドのカードを6枚まで可能な限り選んで墓地へ送らなければならない。
滅殺6。
>⑤このカードが墓地へ送られた場合に発動する。自分の墓地のカードを全てデッキに戻す。
自身の墓地アドバンテージを全否定する効果。墓地アドバンテージを活用しまくる現代遊戯王においてはやはりデメリットの部分が大きいか。儀式魔法「エルドラージ・アンシーリング」に発動後墓地へ送られない効果を与えたのもこの効果をケアするためである。
《真実の解体者、コジレック》
《無限に廻るもの、ウラモグ》
《約束された終末、エムラクール》
《大いなる歪み、コジレック》
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
・あとがき
自分で作っておいてこんなこと言うのもあれだけど、
遊戯王のテキスト長え~~~~~~~~~~~~~