心が映すもの

見る……とは、心が見るのだなと……。

いま、目にしているものは、心にあるものを見つめているものなのだなと……。

目を閉じれば、或いは目を開けていても、心の思うままに、世界を見ることができるのだと。

ぼんやりとしていてもいいし、よく思い出せなくてもいいし、そもそも、好きなように思えばいいんだなと。

なぜそれを見たいのかというと、それには、不思議なほど理由がなくて、それこそ心の思うままに見たいだけなんだけれど。

見ている自分と、見つめている世界は、心を通して一つになっているんだなーと、うっすらと、ぼんやりと、おもったり……。

自分の意識とやらを、細かくして、隙なくものを見なくても、あちら側から心を通して、光が沢山届いていて、溢れるばかりの細やかさで、世界の美しさを伝えてくれるのだなーと。

或いは、そこに無いものさえ、見ることができるだろうと。確実に失われたと思ったものも、心を通して見えているに違いないのだから。存在なんて、それくらい、柔らかものなんだろうと、感じられてならない。

真っ直ぐで凛としていながらに、微笑みを浮かべているそれが、自分の心にも届いていて、自分自身も、同時に見出しているという不思議。世界というものの有り様を、もっと自由にしてもいいのだなと、春の日に思うのでありました。