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ちはやふるマラソンありがとう

みなさんこんにちは。いかがお過ごしですか。雪が降ったり雨が降ったりしていた2月9日にニュースが出ました。

ふわっとしていた人生に「ここまでだよ」と印をつけられたような気持ちがしました。自分で決めたことですが、「おそらく100歳まで自分は生きる」と自分の中で思っていることと、「100歳が寿命だと世界に公表され、みんなの認識の中で100歳までの人となること」は全くの別物なのだと感じる瞬間でした。

動揺。

動揺しました。

そしてそれは、このニュースを受け取った方にも少なからず伝播したような気がします。気がつけば15年も続けていた連載。15年となると、「人生の大半を一緒にすごした」という人もいておかしくないのです。

発売カウントダウンイラストも描きました

今回48巻発売に合わせて、【マガポケのアプリで47巻まで無料公開します、48時間だけだけどね】という施策もなされました。

49巻で終わるよ、という情報と合わせて、47巻まで無料で読めるよ、という情報。その投げられた石の波紋がどんなふうな水面の模様になるのか、この三日間私はずっと見ていました。なにせこんな大きな規模の施策を実行することは、おそらく人生で最初で最後です。15年の連載を終えることも、47巻分の漫画を無料で公開することも、そう何度もできることではない・・・。

ものすごくたくさんのいろんな人の気持ちを見ました。

ずっと読み続けていたので無料施策があまり関係ない方、
一度も読んだことなかったけど、これを機に読み始めた方、
一番多かったのが、「途中まで読んでいたけど離脱してしまっていた。またもう一回読んでみようと無料にチャレンジしてみた」という方でした。

途中で読んでもらえなくなるのは、ひとえに私の能力・努力不足。
そして15年という時間の大きさだったと思います。

小学生は社会人になり、漫画を貸してくれていた友達とも離れ、実家で一緒に買って読んでいた兄弟とも離れ、長編連載漫画の所有権は家庭内で誰にあるのか問題もあり、「実家に置いたまま」という人も多いことでしょう。

みなさんの日常の流れの早さに、ずっと高校生でいる千早たちの日々が遠くなってしまうのだと思います。それは皆さんの前進であり成長であり変化であり、もう全然仕方がない。唇を噛み締めながら「20巻くらいまでは読んでたんだけど」という声を聞いていました。

楽天のお買い物マラソンとは違うんだぜ

だけどこの48時間のちはやふるマラソンで、多くの方が再び千早たちのいる世界に戻ってきてくれたことを感じました。

「読んだらやっぱりおもしろかった」

そういう感想をたくさんもらいました。

さらっと書きましたが、これすごいことです。

「読んだらやっぱりおもしろかった」

48巻まで出てる漫画はほぼ富士山です。踏破にかかる時間、かかる体力と気力、かかる金額は今回0円にできたけど、決してコストはゼロじゃない。

読んでもらう」ことがとてもとても難しいのです。
そこを今回超えて、時間と熱意をかけて読んで「おもしろかった」といってくれる人がいた。たくさんいた。

もう一度あなたと手を繋げた、という実感がものすごくありました。

みなさんの人生に、もう一度触れられたことが、今とても嬉しいです。

ニュースにして貰って、拡散してもらって、たくさん「じゃあ読もうかな」と思ってもらって、
水面に波紋が広がっていく様を見ている間の私に起こっている変化をお伝えするとするならば、「寄せてくる波紋をプールに溜め込んでいる」状態でした。

たくさんの人ともう一度手がつなげたこの実感がわたしにくれるのは、決してプレッシャーではなく「楽しみにしているから頑張って」というポジティブなエネルギーです。

「49巻で終わるらしい」と知ってしまった皆さん、もしかしたら「もう原稿は全部書き終わっていて、雑誌に載るのを待つだけなんじゃないかな」と思っていらっしゃるかもしれないんですが、

全然描いてません。
49巻に入る部分の半分以上、描くのこれからです。

この三日で私がもらったみなさんからの感想は、ものを作る人間が喉から手が出るほど欲しいものでした。
ありがたくて涙が出ます。

ちはやふるマラソンは「漫画をこの機会に多くの人に読んでもらおう」、という出版社の施策ではありましたが、これはもう一歩進んだ「反響をエネルギーに、漫画家にもっともっと集中して頑張ってもらおう」という施策だったのではないかと感じています。

48巻も発売しています。BE LOVE3月号では242首まで掲載されています。そして私は、この次のBE LOVE4月号(3月1日発売)に載る243首をこそ、多くの皆さんに読んでもらいたい。リアルタイムで物語が生まれて膨らんで収束していく瞬間に、一緒に到達してもらいたい。

欲張りな私の最大の願いをここに書いておきます。
みなさんのふとした言葉も、全部うれしいです。栄養にしています。
最後まで頑張ります。

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