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ひみつの「月夜の桜」イラストメイキング

今年最後の大きなイラストになったのはこちらでした。あ、でもまだあと三週間あるのでもう1枚くらい描きたいですが、今のところは。

私が持ってるアルシュ紙の一番大きいものは、縦48センチ横61センチ。ものすごく丈夫でものすごく信頼してる大好きな紙です。お布団にしたいくらい!と思ったけど、それはやっぱりちがうな。

水をたくさん使う絵のためにあるような、染み込むのに毛羽立ちのない見事な紙。わたしの「紙様」。

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「月夜に、薄い桜の花びらを透過して月の光を感じる」というイラストを描きたくて、白く残したい部分をマスキングインクで塗っていきます。

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「月に照らされて、漂う空気さえ光る」と言うようなことも表現したくて、ラップを丸めてマスキングインクをつけて、ポンポンと不確実なマスキングをしていきます。不確実な効果を強く信じて。

弱い紙だと、このマスキングを剥がすときに下地も剥がれたりするんですが、紙様アルシュ紙は全然大丈夫。この「大丈夫」と思いながら描けるのが、ものすごく大事です。

そして、

動画を見てもらえれば大体のところはわかるのですが、わかりにくいところはここ。↓

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台所洗剤を少し垂らした紫色の色水を、ストローでぶくぶく吹いて、

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大きいスプーンで泡が消えないようにすくって、絵に載せていきます。

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紫と水色の絵の具でやりました。乾くのを待ったら、こんなふうに不思議な模様として残ります。とっても面白いので、アナログ派のみなさんぜひやってみてください!

台所洗剤は結構入れたほうがよくて、50CCの色水に私は5滴くらいいれました。泡がすぐ消えないようにです。

あと、ストローを半分に切ってブクブクさせたんですが、ストローを切ってはいけません。顔に泡がぱちぱちついて、紫のそばかすができます。ダメknow-howをここに記しておきます。

洗剤って、紙に残って大丈夫かな?と私も思っていたんですが、全然平気。乾いた上からまた絵の具で色を載せても、弾いたりすることなく「普通の紙」でした。

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透明感と色の厚みを出すために、もう一度桜をマスキング。

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桜以外の部分にまた青紫を塗り重ねて、マスキングを取ったらこうなります。

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マスキング全部取りました。人物の肌の色が淡くて、まだ足りません。

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肌の色を足していき、着物の柄を書き込んでいきます。肌の色のベースは透明水彩で着色していますが、足すときにはコピックで。これまではドクターマーチンを使ってましたが、退色してしまう怖さ。「大丈夫じゃない」気持ちで大きな絵を描くことができなくて、コピックに最近は頑張ってもらっています。

透明水彩の上にコピックで描くのは馴染むことができて大丈夫なんですが(コピックすごい)、コピックで先に書いてから透明水彩で塗ると変なことになるのでお勧めしません。

透明水彩の出番が全部終わった後に、コピックです。要注意です。

ここまでで三日位ずっと書いているんですが、ずっと一人でずっと楽しいです。ずっと描いていたいです。

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ずっと描いていたいのに、この辺でもう仕上げなければなりません。髪の毛やまつ毛にホワイトを入れて、完成です。

でもまた描きたいな。次は何を描こうかな。

このイラストはBE LOVE2月号(2020年12月28日発売)に掲載予定!切り離せるようになっていて、イラストのすごろくが後ろについてくるんですって。お正月にぜひ遊んでもらいたいです。

資料写真をいろんな季節、いろんな場所で撮って、「いつかこの美しさを描こう」と思っているけど、実際描けるものはそう多くなくて、人生は短いなあと思わずにいられません。

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