見出し画像

【同人誌を作ろう!】WEB上での販売方法検討(BOOTH中心に虎の穴/メロンブックス)

この記事では、2022年1月、初めて同人誌(漫画)を発行した私(ゆや)が、同人誌のWEB上での販売方法を検討した際に学んだ内容をまとめています。

私自身は、BOOTHの自宅から発送、と、匿名配送を経験しました。
その上で感じた所感も合わせて記載しています。

初心者向けです!
誰かの参考になると嬉しいです^^

自家通販と委託販売

まず、大まかな販売方法の分類を知りましょう。
大きくは、【自家通販】と【委託販売】の2種類に分けられます。※ご存知の方はスルーいただいて大丈夫です。

【自家通販】商品の在庫管理・梱包・発送を自身で行う販売方法。購入者との連絡も直接行う。
【委託販売】商品の在庫管理・梱包・発送を委託業者にお願いする販売方法。購入者との連絡は委託業者が行う。

上記を読んでどのようなイメージを持たれますか?
【自家通販】は、「配送先ごとに好みでオマケやお手紙をつけることができそうだけど・・・」「全部自分で対応するの、大変そう」「住所がバレたら嫌だな」などでしょうか。

【委託販売】は、「イベントによっては特集が組まれて多くの人の目につきそうだけど・・・」「業者さんに依頼するの、大変そう」「手数料が結構取られそう」などでしょうか。

上記はまさにその通りで、どちらもメリット・デメリットがあります。
ご自身のサークルの販売規模や、実現したいことに合わせて販売方法を選びましょう。

一般的な販売チャネル

【自家通販】【委託販売】についてイメージを持っていただいたところで、続いてはゆやが個人的に調べて検討の土台に上がった販売チャネルを見ていきます。個人の調べですので前提、これが全てではないと思うのですが、他のサークルさんの販売方法を見るに下記3つのサイトがオーソドックスそうでした。

  1. 【自家通販】BOOTH 
    ┗ ①自宅から発送
    ┗ ②匿名配送
    ┗ ③倉庫サービス(配送代行)

  2. 【委託販売】とらのあな

  3. 【委託販売】メロンブックス/フロマージュ

1は、BOOTHという【自家通販】向けサイトです。
しかし、③については在庫管理・梱包・発送をBOOTHの倉庫が代行してくれるサービスですので、【委託販売】との中間に存在しています。

2、3はご存知の通り、同人誌の【委託販売】を請け負っている代表的な企業のサイトです。(初めて知りましたが、事業的には「虎の穴事業」「フロマージュ事業」というようです。なんだかいいですね)

では早速、それぞれの販売チャネルの特徴を見ていきましょう!

1)BOOTH

◆基本情報
販売サイト:BOOTH(https://booth.pm
出品方法:
①pixivアカウントでログイン(持っていない場合は新規登録が必要)
②ショップページの作成
③販売したい商品ごとに紹介ページを作成
④販売開始日当日に商品ページを公開して販売開始!

サイトの構成
トップページはフォローしているショップを中心とした新着商品、また、購入者個人の傾向に合わせた他ショップの作品が確認できます。
イベントのまとめページも存在しますが、特集が組まれていない場合は購入者が自力でショップページを探し出す必要があります。(タグ検索やショップページへ飛ぶなどを駆使)
私の今回のイベントは特集組まれていませんでした。しくしく・・・

購入者は金額の上乗せが可能
この商品にもっとお金を払いたい・・・!そんな思いが叶えられる。BOOTHには「boost」と呼ばれる、いわゆるチップをつけるような機能がついています。詳細な説明はこちら:https://booth.pixiv.help/hc/ja/articles/230690927-BOOST-%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88-%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B-

ショップページは、自由度が高くデザイン可能
ショップページは出品者が個人個人でヘッダーやテーマカラー、背景画像が自由に設定でき、拘りのあるページを作成することができます。また、商品紹介文も段落分けや埋め込みコンテンツ(※)を指定することができ、自由度が高めです。

※埋め込みコンテンツ:対応サービス: VRoid Hub, Vimeo, YouTube, SoundCloud, Bandcamp, Google Maps, SlideShare, Sketchfab, ニコニコ動画(『動画情報とサムネイル埋め込みコード』のみ)

https://booth.pm/
ゆやの通販ページはこんな感じです 可愛い♡(うるさい)

本体価格・送料は商品ごとに設定
商品ごとに本体価格と送料を自由に設定できます。
自分のショップで複数商品が購入された場合は、一番高い送料が適用されます。

販売開始タイミング
自身で店舗・商品どちらも公開設定にすることで、販売が開始されます。記載内容は商品名や紹介文、値段含め、販売中でもいつでもリアルタイム反映で変更することができます。


◆配送方法

①自宅から発送
郵便・スマートレター・クリックポストなど、自宅から直接購入者へ商品を発送する配送方法です。送料は出品者が負担しますが、商品ごとに送料を設定することで購入者に送料を支払ってもらうことができます。(売り上げの一部として出品者に入ります)

配送先の記載に必要なため、出品者は購入者の住所・名前・電話番号情報をマイページから確認できます。また、配送の際は送り元住所を記載する必要があるため、商品到着時に購入者へ、出品側の住所・名前・電話番号が必然的に公開されます。
配送するための封筒や箱は出品者側で準備します。

サービス利用料 = (商品価格+送料) × 5.6% + 22円

例えば「販売価格500円+送料180円(スマートレター)」の場合
購入者支払額:680円
BOOTH利用料:680×0.056+22=38.08+22=61円(小数点以下切上)
出品者の手元に入る金額:680−61=619円
上記金額から、配送代を引いた金額:619-180=439円


②匿名配送
https://booth.pm/anshin_booth_pack_guide
「あんしんBOOTHパック」という、BOOTHがヤマト運輸と連携して提供している匿名配送サービスを利用した配送方法です。

出品者は、ネコポス・宅急便コンパクト・宅急便の3種類から配送方法を選ぶことができます。送料は出品者ではなく、BOOTHが負担します。出品者は商品ごとに送料を設定し、購入者は購入時に指定された送料を支払います。この時購入者が支払った送料はBOOTHへ送られるため、出品者の売り上げにはなりません(当然ですが)。

また、配送に必要な封筒や箱は出品者側で準備します。
ヤマトの営業所への持ち込みまたは、ファミリーマートで配送できますが、後者の場合一度に頼める量は基本的に5通までです。(迷惑をかけないように!)

サービス利用料 = (商品価格+送料) × 5.6% + 22円

例えば「販売価格500円+送料370円(ネコポス※一番安いもの)の場合
購入者支払額:870円
BOOTH利用料:870×0.056+22=48.72+22=71円(小数点以下切上)
出品者の手元に入る金額:870-71-370(配送料)=429円

①②の配送方法の場合は、上記それぞれの金額に封筒代などがかかってきます。(ですが①の場合はスマートレターなど、封筒購入代=配送代として支払える配送方法を選べます。)割としっかりした封筒を選ぶなら、1通あたり40円くらいが相場と思われます。

その場合封筒代を差し引いた金額:429-40=389円


③倉庫サービス(配送代行)
https://booth.pm/warehouse_guide
出品者がBOOTHの倉庫へ商品を配送後、倉庫が購入者へ商品を送る配送方法です。倉庫側で梱包もしてくれます(ですが、梱包してから送ると納品が早まるようです)。

ゆうパケット(400円)宅配便(730円)のいずれかで発送されます。基本的には自宅で検品したのちBOOTH倉庫へ配送し、倉庫に商品が届いてから入荷までもおよそ7〜10営業日(土日祝を除く)がかかるため、余裕を持った準備が必要です。

また、倉庫在庫数に対する売上数が一定の割合を満たさなかった場合倉庫保管料がかかってきます。詳細は公式サイトをご確認ください。

サービス利用料 = 商品価格 × 5.6% + 22円 + 26円

例えば「販売価格500円+送料400円(ゆうパケット)の場合
購入者支払額:900円
BOOTHへ渡す金額:500×0.056+22+26=28+22+26=76円(小数点以下切上)
BOOTHから販売者の手元に入る金額:500-76(配送料)=424円

この配送方法の場合は、自宅から倉庫へ商品を送るための配送料も発生します。印刷会社さんから直接倉庫に送ればかからないのかもしれませんが、ゆやはその方法を検討していないのでそれが実現できるのかどうか分かりません。すみません。(ご自身でお調べください)


◆BOOTHの各配送方法について、所感

ポイント1:自宅から発送・匿名配送では封筒代に注意しよう!
おわかりのとおり自宅から発送・匿名配送においては、送料が安いものの方が利益率が高くなります。(送料分もBOOTHへ支払う利用料の計算に入るため)

この時利益率を担保するためのポイントは「封筒代がどのくらいかかるか」です。

A5サイズの書籍でしたらスマートレターという封筒代=送料の配送方法があ
るので封筒代は0円ですが、A4になると送料の安いクリックポスト(全国一律198円)でも箱を用意する必要があります。調べた感じクリックポスト向けの箱の相場は30~40円/1通あたりくらいかなと思いました。(結構高い!)皆さんも見てみてください。

商品のサイズ・量・封筒・配送方法、それぞれの種類にもよりますが、場合によっては倉庫に委託してしまった方が意外と利益率が高くなることもありそうです。

1000円の商品を販売した場合、という事例も公式サイトに載っていました。
封筒代が考慮に入っていませんでしたがご参考までに。とはいえそれを考慮に入れても、下記を見る限り自宅から発送が一番利益率を担保できそうだなーと思います。
https://booth.pm/guide


ポイント2:販売個数によっては倉庫サービスが圧倒的に楽!
こちらは私の体験談として声を大にして言いたいのですが、販売個数によっては・・・BOOTHは配送を委託した方が、絶対に楽!!!!本当に!!!!

具体的な数字は伏せますが、今回ゆやはとんでもない量を自宅から発送・匿名配送をしました(二刀流で行った)。自宅から発送分は封筒に宛先を書いて、送り元を書いて。匿名配送分は注文番号を控えて、ファミポートで購入NOごとにバーコードを印刷してレジに持っていってそれぞれの封筒に送り状を貼って。どちらも発送漏れがないかをリストで何度も確認して・・・。ほんっと〜〜〜〜うに、辛かった!!!!

ので、発行部数を想像いただいて「全部自分で発送できるだろうな♪」という自信と余裕があるようでしたら自宅から発送・匿名配送をお勧めできますが、個人的には70冊あたりの発行部数から、委託したら?と声をかけてあげたいです。(作業中、自分が辛くなってきたライン。多分人によってはもっと早く限界がきます)

とはいえ、売れ残ったりしてしまうと今度は倉庫保管量の懸念が出てきます。倉庫へ預けるなら、売り切ることができそうな部数を委託した方が良いかもしれません。

また、倉庫サービスを選べるのは前述の通り、余裕を持った納品ができる方に限ります。ゆやは全く余裕がなかったので無理でした。この先も無理な気がします。

BOOTHの説明は、以上です。
続いては【委託販売】とらのあなと、メロンブックス/フロマージュの説明です。
ゆやは今回のイベントでは余裕がなくてこちらを検討しきれなかったのですが、委託したい!と思った身としては次回(あるなら)、割と真面目に検討したいものではあります。

2)とらのあな

◆基本情報
販売サイト:とらのあな(https://www.toranoana.jp/
出品方法:
①新規サークル登録(出品者)
②新刊登録(出品者)
③発注連絡(虎の穴)
④納期返信(出品者)
⑤発注確定連絡(虎の穴)
⑥納品(出品者)
⑦検品・製品化(虎の穴)
⑧販売開始(虎の穴)

サイトの構成
サイト自体がジャンルやイベント・キャラクターごとなど、様々なセグメントで特集やカテゴライズがなされており検索にかかりやすそうな作り。

卸値から本体価格の設定ができる
商品登録時、卸値(その商品が売れた時、自分のもとにいくら入ってきて欲しいか)から販売価格を指定できるので、価格設定が迷いなく行えます。その他の入力項目も特に難しいことはなさそうです。(アップロードできる画像サイズに制限があることくらい?)

保管料・保管期間
保管料は特にかかりませんが、保管期間は販売指定日から併売は3ヶ月間、専売6ヶ月間。(例:1月1日に入荷・販売開始の場合、1月1日〜3月31日までが委託期間になります。)
期間超過後は、住所指定返本・10円買取・廃棄のいずれかから選べます。

自サークルのページ
サークルページはそのサークルの作品一覧と、関わりのある作家やジャンルが表示されるのみで、BOOTHのようにオリジナル性のあるページを作ることはできません。

販売開始タイミング
販売指定日に基づいて、自動的に販売開始。
(上記を指定しないと、検品完了次第販売開始される)

掛け率
70%
※委託販売の場合の数値。
※買切り(虎の穴に全て買い取ってもらうパターン)の場合は60%。

例えば「販売価格500円」委託販売の場合
購入者支払額:500円+特定の送料(虎の穴が指定)
虎の穴へ渡す金額:500×0.3=150円
出品者の手元に入る金額:500-150=350円


3)メロンブックス/フロマージュ

◆基本情報
販売サイト:
メロンブックス(https://www.melonbooks.co.jp/
フロマージュ(https://www.melonbooks.co.jp/fromagee/
※メロンブックスは男性向け、フロマージュは女性向けのサイトです。

出品方法:
①サークル登録(出品者)
②アカウント情報登録、振り込み口座登録(出品者)
③新刊登録(出品者)
④5日以内に取り扱いについて返信(メロンブックス)
⑥納品(出品者)
⑦検品・製品化(メロンブックス)
⑧販売開始(メロンブックス)

基本的には、虎の穴と同じフローでした。

予定価格/確定価格のいずれかで新刊登録ができる
新刊登録の段階では予定価格での登録ができます。ただし、価格確定後に同社の同人課への連絡が必要です。

保管料・委託期間
保管料は特にかかりませんが、保管期間は併売専売問わず入荷月翌月〜6ヶ月。(例:1月に入荷・販売開始の場合、1月が「入荷月」、2月~7月末までが委託期間になります。)
虎の穴より長め!

期間超過後は、返品、廃棄、アウトレット(専売作品/1冊20円、併売作品/1冊10円で買取り)、保管のいずれかから選べます。
専売の場合は、買取が虎の穴より10円高い。

自サークルのページ
サークルページはサークル名、ペンネームなど最低限の情報のみで構成されており、BOOTHのようにオリジナル性のあるページを作ることはできません。(虎の穴と同じ感じ)

販売開始タイミング
販売指定日に基づいて、自動的に販売開始。
(上記を指定しないと、検品完了次第販売開始される)
(とらのあなと同じ)

掛け率
70% ※専売・併売問わず

例えば「販売価格500円」の場合
購入者支払額:500円+特定の送料(虎の穴が指定)
メロンブックスへ渡す金額:500×0.3=150円
出品者の手元に入る金額:500-150=350円

◆虎の穴、メロンブックスを調べて、所感

掛け率30%は確かに高めですが、発行部数がある程度あるサークルにとって、梱包から発送まで全てを対応してくれるのは工数削減で本当にありがたいです。調べながら、ゆやは「これだけでいいの?!」と衝撃的でした。

また、サイトの検索動線も多岐にわたって用意されているため、より多くの人に自分の作品が露出しそうですし、部数が余剰した場合も廃棄や買取など多様な処理方法を選択できるため、自由度が高めなのもGOODポイントです。

個人的には虎の穴さんとメロンブックスさんで大きな違いは見つかりませんでした。主催者さんによっては「特定の委託業者でイベント対象書籍を購入した方に、おまけグッズをつけます!」などの企画を行なっていたりするので、そういったものに合わせて委託業者を選ぶのも良いのではと思いました。


経験を踏まえた上での所感

私は今回のイベントで、BOOTHの「自宅から発送」「匿名配送」の2種類を対応しました。そして個人的に推奨したいことは

・販売件数が多いなら、委託した方が安心
・販売件数と商品の種類が少ないなら、自家通販がいいかも

上記の2つです。

販売件数が多いなら、委託した方が安心
これは何度も記載している通り発行部数によります!沢山の量を配送する場合は、やはり、怖い面が大きかったです。

まず、「本当に全員に発送したのか?」がとても怖くなります。匿名配送ならまだ追跡サービスがあるのですが、郵便やスマートレターなどは相手に無事届いたかどうか、確認する術がありません。

そして次に「本当に中身は合っていたか?」が怖くなってきます。
今回私は本を2種類発行したので、入れ違いがないかどうかは何度も確認する羽目になりました。

そして、スマートレターは宛先を書く作業、匿名配送はコンビニで送り状を発行する作業。ここに時間がかかりすぎて気が狂いそうになりました。記憶があまりないのですが、ほぼ丸々1日配送作業していました。

最後に、やはり個人情報の観点。
個人情報を取り扱う責任は、かなり重かったです。
(自分の住所もできるだけ伏せた方がいいですしね!)

販売件数と商品の種類が少ないなら、【自家通販】
一方で【自家通販】のいいところは、購入者と直接連絡が取れるところなのですよね。私も「買ってくれてありがとうございます!」と言えますし、場合によっては購入された方が感想を下さったりして。人と繋がっているというか、そういう温かみを感じました。

また、自分で梱包して個人個人へ配送するので、おまけをつけたりできることも、やろうと思えば出来るな〜と。この点も人によっては、メリットではないでしょうか。

【委託販売】だと、なんというか書店に並んでいる本のような。
購入者と販売者がすごく遠い距離にいるような。そんな感覚を抱きます。

そして何より【自家通販】は【委託販売】よりも利益率が高い。
とらのあなさんとメロンブックスさんに至っては掛け率3割ですから、特に同人活動初心者でどのくらい売れるかわからない・発行部数が少なめで原価が高いみたいな方は、もしかすると利益が出しにくいかもしれません。

そのような理由から、販売予定件数と商品の数が少ない方についてはまずはBOOTHなどの【自家通販】にして、配送方法レベルで検討をするのが良いのではと、個人的には思いました!(※あくまで個人の意見です)

ちなみに・・・めちゃくちゃ大変だったけど、私も初回はBOOTHで良かったなと思っています。購入いただいた皆さんと沢山交流をして、「売ってる!」という体感ができたので^^


それぞれメリットとデメリットがありました。
発行予定部数とご自身のキャパと相談しながら、皆様が良い選択肢を選べますように。

何か参考になりましたら幸いです。


2022年1月23日






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?