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#245 生成AI議論の現在地を学ぼう! 〜AI戦略会議の概観把握 その1〜

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

生成AI、LLM(Large Language Model)、マルチモーダルAI、ハルシネーションなど、AIに関するキーワードを日常的に聞く機会が増えてきましたね。

私はIT系の大企業に勤務していることもあり、社内では続々と生成AI関連の取り組みや提案・商品化・実装を推進する部署が近年一気に組成されて比較的身近に感じているものの、今のプロジェクトが生成AIど真ん中なことをしているかと問われれば、そうではありません。

しかし、世界中の国でこれだけの勢いで一気に生成AI投資が加熱し、様々な分野で生成AI活用の議論が盛んになっているのは、多くの人がそれだけ生成AIが持つ未来の可能性に期待しているということです。
総務省が2024年7月に公表した情報通信白書によると、世界の生成AI市場の市場規模は、2022年の400億ドルから2032年の1.3兆ドル(=200兆円超え)と10年間で約33倍になっています。日本全体の2022年のGDPが約4.2兆ドルであったことを考慮するとその3割以上を占める市場規模試算となっており、今年も入れてあと3回オリンピックが開かれた頃には、そんな世界がやってくると予測されています。

令和6年度版 情報通信白書(令和6年7月 総務省)

これだけスピードが速いと、私と同じように本業ど真ん中でAIと関わっていない多くの人にとっては、ChatGPTやAIが組み込まれたサービスは使ったことがあるけど(このnoteでも比較的早い段階からAIアシスタント機能が実装されていますね)、国の協議会などではどういう論点が議論になっているのか、分からないのではないでしょうか。

とはいえ、この業界で仕事をしていれば、この先早いタイミングで必ずAIと向き合わないといけない場面がやってくるでしょうし、逆に今のプロジェクトど真ん中でAI活用の議論まで進めていない現状は、個人のキャリア選択上もチャンスしかないと考えています。

そこで、私はそれまで深く関わっていない分野に初めてアクセスするときには、政府のレポートや、関連図書を10冊くらい一気に読んで体系的にまとめてみる、というところからスタートすることが多いです。AI、特に生成AIに関しても、これから不定期に何となく自分なりに掴んだ概観や考えたことについて、頭の整理がてら記していきたいと思います。

はじめに見ていきたいのが、内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局 AI担当が事務局となって推進している「AI戦略会議」の議論状況です。
2023年5月に第1回戦略会議が開催され、2024年4月には「AI事業者ガイドライン」の報告、2024年5月には第9回戦略会議まで議論が進んでいるところにも、この分野のスピードの速さが窺えます。

自身の頭を整理しながら、本業においても現状のレール上では当面出てこないAIに関する何らかのプロジェクトを立ち上げるところまで行けたら良いと考えてますので、どういうところから理解していけば良いのか、ちょっと考えてみました。

巻き込むフェーズでは、Howから始めないことが大切

第1回〜第9回戦略会議の付議資料を一気に流し読みしてみたところ、まずは、AIがどういうものかを理解して、何のためにAIが必要なのか、を関係者が何となく腑に落ちるステップを丁寧に進めていくのが肝要と感じました。

AIって何でもできるよね、こういう活用可能性があるかも!あ、これもできるかも?を入り口にしてしまうと、ブレスト段階では楽しい反面、なかなか決定の軸や何をすべきか?を考えるための判断材料を固めていくところが難しそうだな、と。

TEDトークで有名なサイモン・シネック氏の「Start with Why(Whyから始めよ)」の通り、これはAIに限った話ではないのですが、まだ日常的に生成AI関連のサービスを利用していない人が多いからこそ、「生成AIを使ってみないと本当にヤバい」みたいなリアリティある危機感ってなかなか持ちにくいと思うのです。

日本のあらゆる業務で、人的供給制約の進行で現状のやり方のままではサービスそのものの継続が難しいことは明らかなのに、これまでのやり方でギリギリ成立してしまっている世界では、「変化したくない」現場感情が強く働きすぎて、気付かぬうちにPoint of No returnを超えてしまう、ということが発生するのは容易に想像できます。
だから、冷静に過去と現状をデータで分析して、明らかにこのままのやり方では成立しなくなることを共通認識として持つことから組み立てないと、何となくフワッとしたワークショップ止まりで終わってしまわないようにすることが大切ですね。

Howの事例では、直近の第9回戦略会議の付議資料の中に「進化する日本でのAIの利活用」という資料が掲載されており、あらゆる産業における利活用事例が紹介されています。個人的には、電通のTUNA SCOPEという「マグロの尾の断面から瞬時に品質を判定するAI」に惹かれたところでした。

実は、これまた本業ど真ん中とは別の活動で、数年前に「漁業のDX」に関する新規ビジネスを検討していたことがあり、その際に「漁師の勘と経験に寄らない漁場の選定」サービスが面白いと感じ、漁業関係者やすでにサービスを持っている会社にインタビューを行い、社内向けに企画書を書いたりしていました。

当時は、とはいえ腕利き漁師が暗黙知的に持っている「経験と勘」をデータ化するところには大きなハードルがあると感じていましたが、すでに電通のような大企業においても、このようなサービスが出てきていることを考えると、生成AIのポテンシャルをヒシヒシと感じます。

個人レベルでは、Howから始めることが大切

関係者を巻き込んでいくフェーズでは、Why→What→Howと丁寧に対象業界における課題設定から共通認識を構築していくプロセスが大切な一方で、個人レベルでは、いきなりHowから始めるのが大切だと思っています。

というのも、やはり毎日自分で色々新しいものを触ってみる中で、生成AIが持つ真の良さをリアリティ持って感じることができ、それが全ての想像力の源泉になると考えているからです。

昨日まで札幌出張に行っており、はじめて現地のプロジェクトメンバーとの対面での議論の場を持ち、仕事環境を見てきましたが、「札幌には○○人のメンバーがいる」とか「札幌はこういう環境である」という話を聞いたり関連資料を読んでも、やはり想像力には限界があるし、その想像には具体性と奥行きがないですよね。

冒頭で述べたような、キャリア戦略上でいかに生成AI活用や提案の実績を早めに持つことが大事!と思っていても、それ自体が楽しくなければ続けられないと思います。
「やらないといけないからやる」よりも常に強いのは「楽しいからやっている」で、楽しさをリアリティ持って感じとるには、とにかく使ってみることが大切ですね。

自分はchatGPTは、アイデアの壁打ちなどではそこそこ使っていますが、他にも面白いものが色々と出てきているので、遊ぶ感覚で利用頻度を上げて行こうと思います!

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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