【とりどきとは】プレスに行く正しいタイミングはいつか

今回は「プレスに行く正しいタイミングはいつか」というテーマで話していきます。

現代のサッカーチームは、相手からボールを奪うことに焦点をおいて構築されているように個人的には見えます。
ボール日保持のプレー、特にプレスが、ビルドアップなどのボール保持のプレーよりも重要視されているということです。
フォワードからディフェンスまで、運動量があり、走れて、球際に強い選手が起用されている印象はありませんか?
日本代表でも特に中盤のボランチ、トップ下で、昔でいう遠藤、中村憲剛、中村俊輔のようなテクニックで勝負するタイプ、いわゆるファンタジスタの選手はかなり減ってきていると思います。
現代のプレス全盛の時代に合わせて、よりフィジカルが重要視された結果だと考えます。
ではプレスにおいて、そもそもプレスとはなんなのか。
プレスにおいて重要なことは何かを今回は解説していきます。
プレスにおける「とりどきとは何か」「いつとりどきになるのか」を知っていただくのが、この記事のゴールになります。
では解説していきます。

◎とりどきとは

◯プレスとは何か

ここでいうプレスとは何かを定義しておきます。
プレスとは、「チーム全体でボールをとりに行くこと」です。
ここでは一人一人がボールをとりに出ていくのは、プレスと言いません。
プレッシャーにいくと定義しておきます。
プレスで大事なことはいくつもありますが、その中でもいつとりにでていくかが重要です。
そのいつの部分に着目して今回は話していきます。

●とりどきとは何か

とりどきとは、全体が相手にプレスにいくタイミングのことです。
ブロックを組んでいる状態から、いつとりに出ていくかの、いつがどの時なのかということです。

繰り返しますが、プレスはチーム全体でボールをとりにいくことです。
一人がいきなりとりにいっても周りがついてこなければ(連動しなければ)、ボールはとれません。
そのためどのタイミングでいくのかをチーム全体で共有しておくのが大事です。

●なぜとりどきを決める必要があるか

◯とりに行く時と行かない時を使い分けるため

ボールを奪うには、とりに行く時と、とりに行かない時を使い分けないといけません。
理由は2つあります。

  • ボールをとりにずっと追いかけ回すのは、体力的に難しいから

  • 周りとの意図、とりにいくタイミングがずれれば、使われたくないスペースを使われるから

ブロックを組むことで、スペースの制限はしやすくなります。
中のパスコースをしめることで、ボールはブロックの外か背後へでやすいです。
ただ繰り返しになりますが、スペースがボールを持つことはありません。
相手に行く時を作らないとボールをとれません。
ボールを奪いに行けば、どこかのスペースを空け、空けたスペースを使われて前進される可能性があります。
そのためとりに行くタイミングを合わせることが重要です。

◯相手に寄せ切るには、時間がかかるため

ある程度の予測を持ち、ボールが出る前にポジションをとり、相手にプレッシャーにいかないと寄せ切るところまでいきません。
なぜなら一人一人の判断が早く、寄せ切る前に次の選手に出されてしまうからです。
パスが出た後受けてに渡った時に、寄せにいくのでは遅いです。

◎いつがとりどきになるか

●パスコースを限定した時

ボールを持つ相手に寄せにいくことで、コースを限定することができます。
プレッシャーにいく選手のルートと、背中側にはパスがでにくいです。
その他のスペースへのプレーに選択肢を限定できます。

ここでいう選択肢が限られるというのは、パスするのか、ドリブルするのかといったどのプレーをするのか、またどこへパス、ドリブルするのかという、どこへどのプレーをするかの選択が限られるということです。
選択肢が限られれば、ボールのでる場所が限られ予測でき、プレスに行きやすくなります。
選択肢が限られなければ、どこにボールがでるのかわからないため、プレスに行きにくいです。

●顔が下がった時、正対がとけた時

顔が下がった時
プレッシャーを受ければ自然と顔が下がり、近くの選手にしか出せなくなります。
遠くにけるには顔を上げ、ステップを踏む必要があるため、プレッシャーをうければ遠くに蹴りにくくなります。

正体がとけた時
正対とは、サッカー用語としては主に「相手と真正面から向き合っている状態」を指します。
ただここでは、ボールを持った選手がフリーで前を向いた時のことを指します。

ボール保持者の顔が上がり、また正対ができている時は、ボールがどこへでも出せてしまいます。
この状態では、プレスに行きにくいです。
なぜならどこへ出てくるかわからないからです。


冒頭で「ある程度の予測を持ち、ボールが出てくる前にポジションを取り相手に寄せていく」ことが重要と話しました。
そのためにはボール保持者に制限をかけて、パスコースを限定しないといけません。
顔が上がっている、正体ができている時は、制限がかかっていませんが、ボールを持った選手にプレッシャーをかければ制限をかけることができます。

●後ろ向きの選手にボールが入った時

ゴールに対して後ろ向きの選手にボールが入った時は、プレスに行くタイミングになります。
後ろ向きであれば、ディフェンスラインの背後といったゴール方向にボールは出ず、ボール周辺に限られるからです。

特にアンカーやボランチの脇にポジションを取る選手に入った時です。
ボールを受けた選手に寄せに行き、周りはボールを中心にぎゅっと圧縮し、こぼれ球を拾ったり、近くの相手に寄せにいけるポジションをとる必要があります。

●バックパス、横パスが入った時

ボールが下がったり、横に出た時も奪いにいくべきタイミングです。
ボールの移動中に突然コースが変わることはありません。
以下のタイミングでは、チームとしてプレッシャーに出ていくかを明確にしておく必要があります。

  • センターバック、ゴールキーパーへバックパスしたタイミング

  • ディフェンスラインで横パスをつないでいるタイミング

あくまで横や後ろに出た時のタイミングです。
縦パスを入れられターンされたり、前向きの選手を作られたり、背後に出された場合はとりに行くタイミングではありません。

◎とりどきを全て完璧なタイミングでこなすのは難しい

とりどきは、全てをこのタイミングでと決め切り完璧にこなすのは難しいです。
サッカー自体が、不規則なスポーツだからです。
相手の特徴、利き足、相手・味方の立ち位置、ボールを止めた位置、試合状況などあらゆる変数によってサッカーの判断は決まってきます。
今回焦点をあてたプレスだけでなく、そのほかのプレー全てそうです。
サッカーにはある場面を切り取った「A」という場面があったとしても、その「A」と全く同じ場面はほとんどありません。
ですが似たような場面はあると思います。
その似たような場面があった時に、チームとしてどのようにプレーするかを持っておくことが、チームを作る上でやるべきことだと思っています。
目指す方向性がなければ、行き当たりばったりになります。
そうすれば選手は何をすればいいかわからないです。
チームとしても積み上げがないのでレベルアップしていきません。

そのチームの目指す方向性こそが原則です。
今回は「プレスに行く正しいタイミングはいつか」について話をしてきました。
とりどきになった時に、全体がプレスにいけているのかを見れることで、あなたのサッカーの視点が広がると思います。

まとめ

・ボールを奪いに行かない場面から、奪いに行くタイミングのことをとりどきという
・ボールが移動する前に、ある程度予測を持ってポジションをとったり、相手に寄せにいかないとボールを奪えない。
・とりどきになるのは
①パスコースを限定した時
②顔が下がった時、正対がとけた時
③後ろ向きの選手にボールが入った時
④バックパス、横パスが入った時
・プレスに限らずサッカーのプレーを全て決まりきったタイミングで行うのは難しい。
ただしチームとしての基準(正解)、一人一人の目線をそろえてレベルアップしていくために原則を持つことは必要。

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