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#016 FOCA OPLEX 1:3.5 f=3.5cm
ルヴァロア光学精機(O.P.L社)
FOCA(フォカ)は、フランスのパリ郊外にあるルヴァロア光学精機社(Oputique et Precision de Lavallois(O.P.L.)社)によるカメラブランドで、ライカを彷彿とさせるレンジファインダーカメラを製造しました。
ルヴァロア光学精機社は1919年にフランス貴族によって創立され、第一次大戦、第二次大戦と軍需光学機器や医療機器を製造していたそうです。第一次大戦ではドイツに接収されたため、ドイツ向けの光学機器を製造。
1945年の大戦終結と共に開放され、民生用カメラの製造を開始します。
1964年12月にはベルチオ光学機械社と合併し、SOPEM(Société d'Optique, Précision Electronique et Mécanique )、のちSOPELEM(Société d'Optique Précision Electronique et Mécanique )となっています。
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1938年より設計が始まり、初期のものは36mm径のスクリューマウントのPFシリーズから作られました。PFとは「petit format」の意味だそうで、当時は小型だった135フィルム(ライカ判)を使用します。
ドイツ接収時代の反発かライカやコンタックスと全く異なる操作系を有したカメラとなりました。
■36mm径スクリューマウント レンジファインダー機
・FOCA PF2(ツースター)1945年 B,1/25-1/1000 スローシャッターなし 標準レンズのみ距離計連動
・FOCA 1(ワンスター) 1946年発売 ※35mmレンズ付広角専用機 B,1/25-1/500 スローシャッターなし シャッターロックなし
・FOCA PF2B 1947年発売 B-1/1000 スローシャッター搭載
・FOCA PF1 1948年発売 ※35mmレンズ付広角専用機 B-1/500 シャッターロック付
・FOCA PTT 1948年発売 ※35mmレンズ付広角専用機
・FOCA PF3(スリースター)1952年発売 スローシャッター搭載 B-1/1000
・FOCA Standard(スタンダール)1953年発売 B,1/25-1/500 スローシャッターなし シャッターロック付
・FOCA PF3L 1959年発売 B-1/1000
・交換レンズ(確認できているもののみ)
OPLAR(オプラー) 1:3.5 f=3.5cm 3群4枚
OPLEX(オプレックス) 1:3.5 f=3.5cm 3群4枚
OPLAR(オプラー) 1:1.9 f=5cm 5群6枚
OPLAREX(オプラレックス) 1:1.9 f=5cm 4群6枚
OPLAR(オプラー) 1:2.8 f=5cm 3群4枚
OPLAR(オプラー) 1:3.5 f=5cm 3群4枚
OPLAR(オプラー) 1:3.5 f=9cm 3群4枚
OPLAR(オプラー) 1:3.5 f=5cm 3群4枚
OPLAR(オプラー) 1:3.5 f=9cm 3群4枚
TELEOPLAR(テレオプラー) 1:4.5 f=13.5cm 2群4枚
■バヨネットマウント レンジファインダー機(1949年〜)
FOCA Universal 1949年 ツースターベースのバヨネット版
FOCA Universal R 1955年 巻上げがレバー式に
FOCA Universal RC 1962年 ファインダー改良
・交換レンズ(確認できているもののみ)
OPLAR(オプラー) 1:6.3 f=2.8cm 2群6枚
OPLAR(オプラー) 1:4.5 f=2.8cm 4群6枚
OPLEX(オプレックス) 1:4.5 f=2.8cm 4群6枚
OPLAR(オプラー) 1:3.5 f=3.5cm 3群4枚
OPLEX(オプレックス) 1:3.5 f=3.5cm 3群4枚
OPLAR(オプラー) 1:2.8 f=5cm 3群4枚
OPLEX(オプレックス) 1:2.8 f=5cm 3群4枚
OPLAREX(オプラレックス) 1:1.9 f=5cm 5群6枚
OPLAR(オプラー) 1:3.5 f=9cm 3群4枚
OPLAREX(オプラレックス) 1:3.5 f=9cm 3群4枚
TELEOPLAR(テレオプラー) 1:4.5 f=13.5cm 2群4枚
TELEOPLAR(テレオプラー) 1:6.3 f=20cm 2群4枚
FOCAはライカを意識したスペックではありますが、ドイツ製品のそれとは違う独特の美しさを湛えるデザインで、操作系もライカとは全く違ったものとなっています。
なんと言っても、シャッタースピードダイヤルを回すことでチャージを行うため、「巻き上げ用のダイヤルがない」という点が、デザインを一層美しくしていると思います。
■レンズ固定式 SPORTシリーズ(wikipediaより引用)
・Foca Sport(フォカスポー 、1955年発売)/Foca Sport I(フォカスポーI) - レンズはNeoplar(ネオプラー )4.5cmF3.5固定。1957年フォカスポーII発売に伴い改名された。
・Foca Sport IC (フォカスポーIC 、1957年発売) - セレン光電池式露出計を内蔵した。
・Foca Sport II(フォカスポーII、1957年発売) - 距離計連動。レンズはOplar Color(オプラーカラー )4.5cmF2.8またはOplex Color オプレックスカラー)4.5cmF2.8固定。
・Foca Sport IL( フォカスポーIL 、1958年発売) - フォカスポーIをレバー巻き上げとした。1960年にレンズがNeoplar(ネオプラー)4.5cmF2.8に変更されている。
・Foca Sport IB(フォカスポーIB 、1959年発売) - ファインダーがブライトフレームファインダーとなった。露出計は搭載しない。レンズはNeoplar (ネオプラー)4.5cmF2.8固定。
・Foca Sport ID(フォカスポーID 、1959年発売) - ファインダーがブライトフレームファインダーとなった。非連動露出計を搭載する。レンズはNeoplar(ネオプラー)4.5cmF2.8固定。
・フォカマチック(Focamatic 、1961年発売) - セレン光電池式露出計似よる自動露出が可能。ブライトフレームファインダー。レンズはNeoplar(ネオプラー)4.5cmF2.8固定。
・Foca Sport CF(フォカスポーCF 、1962年発売) - 連動セレン光電池式露出計で、表示値はファインダー内でも確認できる。
・Foca Sport IIF(フォカスポーIIF 、1962年発売)
■一眼レフ
独自の光軸を持った奇天烈一眼レフ。
頭にペンタプリズムがありません。
・FOCAFLEX Ⅰ型 1959年発売
レンズ固定式(Oplar-Color 1:2.8 f=5cm 3群4枚)
B、1~1/250秒
・FOCAFLEX Automatic 1962年発売
・FOCAFLEXⅡ型
レンズのミラーレス化
フランスのレンズといえば「P.ANGENIEUX PARIS(アンジェニュー)」や「SOM BERTHIOT(サンベルチオ)」など、ムービー用レンズまでを手がける2社に加え、FOCAは35mm判スチルカメラのみに徹しています。
FOCAのレンズはコーティングが弱いのか、ガラスが弱いのか、現在見かけるものはどれも状態があまり良くありません。
今回のFOCA OPLEX 1:3.5 f=3.5cmも御多分に洩れず、前玉に細かい傷が多数あります。元々柔らかい描写と言われているレンズに傷が相まって、かなりソフトな映像を作り出します。
このレンズは距離計の無い「FOCA PF-1」に装着されていたレンズで、焦点距離35mmという、当時としては珍しい広角レンズです。
「PF-1」は前述の「Universal」と異なり、36mm径のスクリューマウントです。36mm径は他にない径なので、ミラーレスで使うにしてもマニアックなレンズなのでアダプタがありません。(その後FOCAスクリュー→M42のアダプタを仕入れることができましたのでこちらで販売中です。)
フランジバックの関係でM42化してヘリコイドアダプタを入れる余裕はない状態でしたので今回はライカの「L39→M」のアダプタに直接埋め込む処理を行い、「ライカM→Fuji Xマウント」のヘリコイドアダプタで使用することにしました。
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フランス産白昼夢レンズ
レンズの傷といい、コーティングの劣化といい、撮る前からモヤけることは予想済みであったのですが、いざ撮ってみるとかなりのモヤモヤ加減でした。しかし、ハイライトの飛び方や色の拾い方が大変素晴らしく、すっかりハマってしまいました。
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ボケがリング状になるのが特徴のようです。
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直射光が入るとフレアが出てコントラスト低下が起こる
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直射光を遮った状態
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個体の状態が影響している可能性が高いものの、ソフトフォーカスレンズのような味わいのある描写で、色の拾い方は上品。
逆光ぎみのシチュエーションでその真価を発揮するようです。
レンズ自体もコンパクトなので、これからも常用レンズとして活躍してくれそうです。
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