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#007 The Men With GOLDEN CAM "Welta PENTI" 

■Welta PENTI
製造 VEB Welta Kamera-Werk(東ドイツ)
製造年 1959年
使用フィルム 35mm(ラピッド)
画面サイズ ハーフサイズ(18×24mm)
シャッター 1/125 1/60 1/30 B
露出計 なし
レンズ Meyer-Optik Trioplan 1:3.5 f=30
ピント 目測

007シリーズの”黄金銃を持つ男”。敵のボス、スカラマンガが使う分解式の金色の銃が印象的です。
あの黄金銃を彷彿とさせる、黄金カメラ。
戦後東西に分割されていたドイツの東側で作られた機械式カメラです。ご婦人向けに造られたカメラで、ハーフサイズの小型カメラとなっています。
カラフルで素敵なケースも多種製造されました。
フィルム巻き上げは本体横から飛び出すプランジャーを押し込むことで、シャッターと同時にチャージされます。

メーカー名は本体下に控えめに書かれています。
レンズは東ドイツの名門Meyer-Optik Torioplan。
ぐるぐるぼけが出やすいトリプレットタイプです。
右の棒がプランジャー。これを押し込むとシャッターチャージとフィルムが巻き上げられる。
シャッターを切るとまたこのプランジャーが飛び出てきます。
フィルム装填には裏蓋はこの裏蓋を引っ張って外すだけで、ロックはありません。
実際に使うときはテープなどで貼ったほうが良いかもしれません。
開けるとこんな感じです。フィルムを装填した後に、銀色のカバーをつけて裏蓋を閉じます。

今回の個体は、シャッター不良とプランジャーの不良が起きていました。
簡単な作りとはいえ、さすがに1959年製造とあって、機械類の動きが鈍くなっているようです。
分解して修理することにしました。
PENTIの分解方法は少し特殊なので紹介したいと思います。

レンズのピントリング横にある芋ネジを外します。3ヶ所で押さえられているので、全てを外します。そのままレンズユニットを外すことができるので、まるっと外します。

レンズユニットを外したところ。
シャッターリングは特にねじ止めされていないのでそのまま外します。
表のパネルも特にねじ止めされていません。ここまでネジを使わずに作ったことがすごいですね。軽量化とコストダウンといったところでしょうか。
ちなみにシャッターユニットも止められておりません。笑
シンクロ用のコードは外しても外さなくても構わないですが、修理の邪魔になりそうな場合は外します。
シャッターユニットを外し、左右のマイナスネジを外すと、周囲の枠から内部を外すことができます。この時点で、ファインダー清掃、シャッターユニットの修理が可能です。
開口部が広くあるので、プランジャーのギアもある程度の清掃が可能。
通常、ここまで分解する必要はほとんどないですが、今回はプランジャーの不良を見るために外してみました。
巻き上げはこのようなシンプルな構造です。
不調の原因はこのギア類の摩耗とオイル切れのようです。一度オイルを清掃して注油したらスムーズに動くようになりました。

続いてシャッターの調整をいたします。
まずは銅のシャッター速度伝達用のプレートを外します。


シャッター羽根のカバーと羽根を外します。
うっかりシャッター羽根の写真を撮り忘れたので、こちらはPENTI IIのものですが、ほとんど内部は同じ内容です。シャッター幕は恒例のベンジン浴です。

シャッター部分も油が回ってしまっているのでベンジンで丁寧に清掃します。
組み付けはシャッターなどの構成を間違わないように組み付けます。

RAPIDフィルムは現在販売されていませんが、普通の35mmフィルムを詰め替えることで使用可能。ハーフサイズなので、35mm版の倍の枚数を撮影できます。
まだまだ使えるカメラなので、動態保存できるようにしたいと思います。

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