百戦錬磨の男、健在

我が家の視聴環境は昨年DAZNからJスポーツ系のチャンネルに移行した。引っ越しがありBSが映らないということでJ:COMを契約したためでもある。会社に出勤した帰り道に映像を観られなくなったのは非常に奥ゆかしいが、昨日や一昨日の試合ならまぁ別に…といったところでもあるか。

そんな中在宅勤務は悪くない。リビングに行けばプレイボールの瞬間から野球を楽しめるからだ。
だが繁忙期がそれを許さない。一通りの作業を終え仕事部屋からリビングに移った時、高橋宏斗は6回を投げ終えていた。
経過は手元のスマホアプリで追っていたためリードしていることなどは判っていたがやはり映像が欲しくなる。理想の環境にはなかなか上手くは行かないものだ。

ロドリゲス不在のまま進むシーズン、その不在を痛感するには充分な試合展開が早々に訪れた。7回表に登板したのは砂田毅樹。だがあっさりと村上に出塁を許してしまう。
ここで中日ベンチがさらに動く。オスナのところで田島慎二を起用。田島は木下拓哉の意図通り、低めに、丁寧にボールを投げ続けた。
最後のボールだけやや甘く入り、サード・カリステの横を抜くツーベースとなってしまった。ノーアウト2・3塁。昨年までリーグを連覇、そして今シーズンも開幕から負けなしと波に乗っているチーム相手にかなり厳しい展開になってしまった。
迎えるは内山壮真。高卒3年目ながら出場機会数を増やしており、注目の若手株だ。余談だが私は高校1年生夏に甲子園に出ているショート・内山を観て「2年後のドラフト指名を」と願っていたくらい当時から惹かれていた。

一時はどうなることやらと思った挟殺プレーで1つ目のアウトを取ったときの田島の表情を見たとき、私は無失点で終えられるような感じを覚えた。
もちろん根拠も何もない、単なるオカルト的なものだが、百戦錬磨をくぐり抜けた男の表情だった。

時は2017年に遡る。在りし日の東京ドーム。
1点リードを守り切る為に9回のマウンドに登ったがピンチを作ると、あとワンナウトのところで岩瀬仁紀に最後を託すことになってしまった。
その時マウンドに登った岩瀬の「何としても抑えてやろう」という表情を、今日の田島はしていた。

高めのボールが好きなサンタナに対しては高低を上手く使い、長岡秀樹にはカウントを悪くするもライトへのフライに打ち取るとベンチ前までは笑顔なく戻っていた。いわゆる「戦う表情」が抜けきらなかったとでも表現しようか。

昨年までで428試合に登板し24勝39敗75セーブ106ホールド。
全登板のうちの57%で勝利・敗北・セーブ・ホールドを記録していることから田島がどれだけ重要な場面で投げ続けてきたかがわかる数字だ。敗戦数を抜いても48%だから、田島のチームへの貢献度は計り知れない。

百戦錬磨を経験してる男の力強い眼が、今日の勝利を大いに近づけた。

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