郡司トレードに新天地での活躍を祈る

6月19日、中日ドラゴンズの郡司裕也・山本拓実選手と北海道日本ハムファイターズの宇佐見真吾・斎藤綱記選手のトレードが発表された。
正捕手・木下拓哉の長期離脱に伴う捕手の緊急獲得と、リリーフ左腕を補強したい中日の思惑に日本ハムが応えた形だろう。
対して日本ハムはすでに20登板以上の投手が6人と一定の投手に登板が偏りがちということで、さらなるブルペン陣の底上げとして山本を補強できたのは大きいだろう。

郡司の起用方法に注目したい

さて、注目すべきは郡司の起用方法だ。
中日では捕手を断念したかと思いきや急遽捕手としての役割を求められたりと、チーム事情に振り回された感は否めない。仙台育英高校時代は甲子園準優勝、慶応大学4年時には三冠王を獲得し、卒業論文ではパワプロを題材にして優秀賞を獲得している。個人的にはその卒論めっちゃ読みたい。

ところで現状日本ハムの捕手陣は昨年最多出場の宇佐見がこのように放出になるほど様変わりした。
中日から移籍したマルティネス、オリックスからFA移籍した伏見寅威、生え抜きの清水優心を含めた3人が盤石。郡拓也、古川裕大、田宮裕涼、梅林優貴といった才能豊かな若手捕手も控えており郡司がどうやって割って入っていくのかは見ものだ。運用面から見ると、日本ハムでも捕手というよりは打者としての役割を求められる機会のほうが多そうだ。

四球獲得能力は折り紙付き

大学時代から選球眼の良さは定評があり、その能力はプロに入ってからも遺憾なく発揮している。
四球獲得率(四球獲得数÷打席数)は、以下のようになっている。

2軍
2020年 15%(46打席数7四球)
2021年 18%(174打席数31四球)
2022年 12%(218打席数26四球)
2023年 14%(107打席数14四球)
通算 14.3%(545打席数78四球)

1軍
2020年 12%(76打席数9四球)
2021年 13%(15打席数2四球)
2022年 10%(48打席数5四球)
2023年 -----(1打席数0四球)
通算 11.4%(140打席数16四球)

https://baseball-field.com/

2軍であれば2試合に1回、1軍であれば3試合に1回は四球を選んでいるぐらいの計算だ。じっくりボールを見極めるタイプということで同時に増えるのが三振だが三振率(三振数÷打席数)は以下のようになっている。

2軍
2020年 24%(46打席数11三振)
2021年 20%(174打席数34三振)
2022年 10%(218打席数22三振)
2023年 13%(107打席数13三振)
通算 14.6%(545打席数80三振)

1軍
2020年 25%(76打席数19三振)
2021年 20%(15打席数3三振)
2022年 25%(48打席数12三振)
2023年 -----(1打席数0三振)
通算 24.3%(140打席数34三振)

2軍では初年度こそ三振率が高かったが、年を追うごとに着実に数字を減らしている。一方で1軍では昨年までで20%以上を毎年記録している。
主力級のボールを見極めるのに苦労しているという印象を数字からは受ける。

出場機会の増加こそが、活躍への道標

郡司が入団した年はコロナウイルス蔓延元年で、本来開幕するはずの3月下旬は練習試合となってしまっていた。そこで郡司はスタメンマスクをかぶり、相手先発の大瀬良大地から値千金のフォアボールを選んだことが記憶に鮮明に残っている人も多いだろう。
しかし120試合に減少したレギュラーシーズンでは木下拓が正捕手の座を射止め、郡司が表舞台で輝く機会は限られてしまった。守備面でのミスも重なり、昨年は2試合しかマスクをかぶる機会がなかった(いずれも代打からの途中出場)
それもあってか、今年は捕手登録でありながら出番に恵まれず、外野手や一塁手としても到底出られるチーム状況ではなかった。出番に恵まれなかったのは郡司が緊急時の捕手としての役割を求められていたことであり、それであるが故にビシエドやアキーノの不調時にも容易に郡司というカードを切ることができなかったことだろう。出番がなかったのは不遇ではあるが、郡司の存在そのものはチームにとって大きかったに違いない。

バッティングにおいて2軍で改善すべき部分はもうないといっても過言ではないだろう。そうなると残すは1軍で結果を残すところになる。
今年の交流戦期間中のほとんどを1軍で過ごし、ベンチからではあるが間近でパ・リーグ投手陣のボールを実感できたはずだ。交流戦明けからはその秘めた打棒を開花させ、日本ハム後半戦のキーマンとして輝いて欲しい。

この記事が参加している募集

#野球が好き

11,283件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?