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ようやっとる?今季の中日のブルペン事情を調べてみた

中日のブルペン陣が頑張っている。昨年のシーズンホールド数は119、今年は122試合消化時点で111を記録している。昨年よりも勝率が悪くなりホールドが記録される場面が減っている中、同点~リードの場面でしっかり各々が仕事をしている証拠でもある。

先発の平均投球回は5.73回。昨年の5.82回からは減っているが、これは6イニングは当たり前のように投げる大野雄大の離脱が大きく響いている。単純に大野が今シーズン無事に投げ続けていれば平均投球回数は6を超えることも想定されるだけに、わずか1試合での離脱は非常に痛い部分でもある。

昨年から減った平均0.11イニングは1試合で見ると大したことないが、シーズントータルで約15イニング分の負担増になる。しかもこの15イニングは先発が降板した後の勝敗を左右するような場面にも影響してくる。そこを今年のブルペン陣はロスにしないよう踏ん張っている。

調子の良い選手が担う「勝ちパターンローテーション」

今年中日で2桁ホールドに到達しているのが6人。今年首位を走る阪神と同じ人数だ。しかも斎藤とマルティネスが8、福が7、フェリスが4と9月7日現在で1軍登録されている選手が到達する可能性も多い。仮に全員が達成した場合、10ホールド以上を挙げた選手が10名にまで上る。当然そのようなチームは過去に存在しない。
いかにしてこの数字が作り上げられているのかを調査してみたところ、今年の中日のブルペン起用に特徴が見られた。それが中タイトルに示している「勝ちパターンローテーション」だ。

表現の仕方が正しいかは一旦置いておくが、7回・8回に投げる投手を固定せず、その時々で状態が良い選手を当てはめている。以下は見にくくて申し訳ないが、中継ぎ投手が登板した時点での点差をまとめた表だ。

登板時点差状況の一覧表

投手の登板時の点差をセーブ圏外(4点以上リード)、セーブ圏内(1~3点差リード、調査の便宜上ランナー状況による4点差以上の場合は含まない)、同点、被セーブ圏内(1~3点ビハインド)、被セーブ圏外(4点以上ビハインド)という5パターンに分け、それを月別にまとめたものだ。これを月別に分けて見ていくと傾向が見えてきた。

3・4月

僅差リード時には田島・清水が起用されていた。主に7回を田島、8回を清水が任された格好だ。ビハインド時には勝野や祖父江を中心に、大量ビハインドでは鈴木・山本が投げた。砂田は場面に関わらず左のワンポイントとしての登板が多かった。

5月

4月27日に清水が離脱し、同日に田島が2点のリードを守りきれず同点とされると序列が入れ替わり、田島はビハインドでの場面が増え、祖父江が8回を主に任せられるようになった。勝野は7回を任されつつも僅差ビハインドでは早いイニングから投げることもあった。
砂田に代わり左投手の補充で福が昇格。復帰後の清水はビハインドで様子見となった。鈴木の先発調整等で大量ビハインドには橋本が抜擢された。

6月

6月に入ると一転して今度は祖父江の状態が悪くなり、清水が再び勝ちパターンに組み込まれた。福が6月の勝ちパターンに食い込み、勝野は相変わらず便利屋的存在として働いた。ビハインドでは橋本・山本の代わりに上田が投げるようになった。ビハインドで投げる藤嶋の存在も大きい。

7月

6月後半に福が脚の痺れで登録を抹消されると、勝野が勝ちパターン専任に昇格。ビハインドの場面では藤嶋、岡野、上田が奮闘。松山は同点~僅差ビハインドでの登板となり、この時点で評判は高くなっていた。
マルティネスは初めて4点差以上での登板になったがこれは9回のセーブシチュエーションからの登板。

8月

無失点記録を続けていた清水と、勝野が打ち込まれるようになり、中盤から代わって勝ちパターンに入ってきたのが松山と斎藤。それに伴い藤嶋がビハインド専門から僅差リード時にも投げるようになり、序盤の勝野ポジションに収まった。再昇格後の祖父江、田島はビハインドからやり直し。田島は同点の場面で投げざるを得なくなり仕事を果たせず再度二軍落ちとなった。

9月

松山とフェリスが現状の勝ちパターンとして起用、続いて斎藤・藤嶋が続く形に見える。上田は抹消されたがビハインドロング要員で福谷も控えており、福が再昇格を果たした。

まとめ

勝ちパターンで投げられる投手を多く用意し、その中から状態の良い選手を起用するという、非常に面白いベンチワークをしていると感じた。
はじめは「リードしていてもビハインドでも同じ投手が出てきて管理できていない」というような印象を持っていたが、調べてみると実に早いスパンで役割を入れ替えることで、ブルペン陣のマネジメントがしっかりできていたことがわかった。
これを可能にしたのは、松山、斎藤、フェリスといった途中からチームに加入した選手の活躍があったからに他ならず、彼らが加入していなければ不調の選手で勝ちパターンを回し続け、より悲惨なチーム状況になっていたことも想像できる。
また、ビハインドの投手が入れ替わっていくなかでしっかりと己の仕事をし続けた藤嶋の存在も非常に大きい。かつての祖父江は「勝ちパターンに組み込まれると打たれる」と叩かれていたが、それを克服しホールドのタイトルを受賞するまでになった。藤嶋もここまで同じ傾向が見られるだけに、今回の飛躍をきっかけにワンランク上の投手になって欲しい。

投手別起用の変化)
マルティネス…同点~セーブシチュエーション限定での登板。「4点リードだけど作ったから投げさせる」展開は今年は一度もない
清水…8回を担っていたが離脱し、復帰後はビハインドで様子見。祖父江に替わり再び8回を投げるようになるも8月に状態を崩し現在はビハインド。
祖父江…開幕からビハインドでの登板が多かったが、清水の離脱後から8回を任されるように、交流戦中盤に打ち込まれるようになりビハインド起用に、状態が上がらないため二軍降格後8月末に再昇格。現在はビハインド。
勝野…リードからビハインドまで幅広い展開で起用。福の入れ替わりで勝ちパターン固定になり、8月中旬に故障離脱。現在は二軍。
田島…開幕から僅差リード時で起用も4月に3度めの失点でビハインド要員へ。その後故障離脱すると7月に再昇格。ビハインドでの起用も同点時に不安定な投球を続け再び2軍落ち。
松山…支配下登録後交流戦終盤に一軍登録、はじめは大差ビハインドからの登板。一度故障離脱するも再昇格後は自分の手で勝ちパターン入りを掴んだ。
斎藤…トレードで加入後すぐに一軍登録。最初はビハインドからのワンポイント起用が多かったが最近では1イニング任されるように。
藤嶋…開幕時は故障離脱していたが5月に登録されるとビハインドで好成績を残し続け8月より序列アップ。現在は僅差ビハインドでの展開が主。
フェリス…途中加入で8月に一軍登録されるとタフな場面での投球が光り早速勝ちパターンに組み込まれる。
福…開幕時は故障離脱していたがすぐに二軍で登板を果たす。砂田と入れ替わり一軍に合流すると同点~ビハインドの展開から6月は勝ちパターンに組み込まれた。故障離脱で二軍に落ちるも先日一軍に合流した。
砂田…開幕時は左へのワンポイントとして重宝されるも結果が残せず5月に二軍落ち。7月に再昇格するもビハインドでの起用に終始し、最終的に二軍に。
岡野…6月に一軍昇格すると主に大量ビハインドの場面での登板。田島が作ったピンチを抑えた延長での登板が唯一のホールドシチュエーション。
上田…鈴木、山本が担ったビハインドロング要員。7月は僅差ビハインドも投げるように。同点以上での登板はなかった。
谷元…清水の離脱と入れ替わりで一軍昇格。主にビハインドで起用されるもピリッとせず5月には二軍降格。
鈴木…開幕からビハインドロングで待機。5イニング1失点が評価され先発も経験。
福島…8月に一軍昇格しプロ初登板。4試合すべてビハインドでの登板に。
福谷…開幕ローテ入りも思うように結果が残せず現在ブルペン待機。ビハインドロングの役割か。
近藤…故障者多発の中昇格も1イニング10失点で即登録抹消。もう一度這い上がって欲しい。

山本…開幕からビハインドロングの役割。日本ハムにトレード。

出典)
集計 スポーツナビより独自に集計
https://baseball.yahoo.co.jp/npb/
勝敗数 nf3 https://nf3.sakura.ne.jp/index.html

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