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サッカーとは11vs10のスポーツである。

サッカーは11vs11で行われる。それは皆さんもご存知の通りです。22人でボール1つでゴールが2つあってゴールの数を競うゲーム。この条件は変わりません。そしてフィールドプレーヤーは10vs10。キーパーの方々には申し訳ないですが、20人で戦術的なプレーをやり合うのがサッカー。現代サッカーでは、DFラインの裏のスペースのケアをキーパーが積極的にカバーしたり、ビルドアップ(DFラインから組織的にボールを繋いでいくこと)に参加したりなど、キーパーに求められるものは確実に増えています。が、それにもやはり限度があります。なぜなら、ゴールを守らないといけないから。ゴールを留守にしちゃうと簡単にゴールを決められる。という、リスクといつも紙一重でキーパーはプレーしていますし、しなくちゃいけない時代になってきています。

この前提を踏まえた上で、下の画像をご覧ください。

青チームのキーパーがボールを保持している状況です。この時、もちろんフィールドプレーヤーは10vs10です。陣形は青チームが3421で赤チームが442としました。

上の画像の黒丸で囲んだ青チームのDFライン(赤チームのFWライン)では3vs2の数的優位が生まれています。

そして、両チームの中盤ラインでは4vs4の数的同数になっています。

そして、青チームのFWラインでは3vs4の数的不利が生まれています。

この人数配分が基本形です。守備側はDFラインに人数を1枚多く配置してカバーできる選手を置き、安全を確保します。

しかし、サッカーはフィールドプレーヤーが11人に増えるわけがなく10人に変わりはないので、数的優位を生むということは、どこかで数的不利が生まれます。それをゴールから一番遠いFWラインにするのが基本です。

こうやって、サッカーは列ごと(ラインごと)に考えて攻略していくことが重要です。どこにどうやって数的優位を生むかです。

守備側がハイプレス(積極的に相手のDFラインにプレスすること)する場合、話は変わります。

上の画像のようにマンツーマンか、マンツーマンに近い形で相手のDFラインに数的優位を生ませないようにします。先ほどの場合、青チームのDFラインで3vs2の数的優位が生まれていました。そして、キーパーもビルドアップに関わることができるので実質4vs2で2人の数的優位が生まれます。よっぽど、チーム力に差がない限り2人のフリーマンが生まれるわけですから、ボールを失わずに繋ぐことが可能です。それをさせないために、マンツーマンに近い形で相手をハメにいくのがハイプレスになります。キーパー以外のフリーマンが発生していませんね。

しかし!!

相手がハイプレスに来た場合でもフィールドプレーヤーに数的優位を作る方法、できる瞬間があります。それがいつなのか皆さんも考えてみてください。



わかりましたか?

それは下の画像の時です。

そうです。相手のFWがキーパーにプレスをかけてきた時です。キーパーと相手のFWで1vs1が生まれています。さっきまでマークを付かれていた青チームの中央のCBがフリーになっています。10vs10が10vs9になっています。言い方を変えると、11vs10になったと言えます。キーパーに相手がプレスをかけてきた時は、一見危なくリスクがあるように見えますが、そのリスクを回避したその先には明るい未来があるのです。ここから1人の数的優位を生かして擬似カウンター(ビルドアップで相手のプレスを上手く剥がし、カウンターを発動すること)や、ビルドアップの続きを行うことができます。

なぜ11vs11と表現できないかと言うと。これも皆さん考えてみてください。これは簡単です。



分かりましたか?

下の画像のように、キーパーが相手のFWにマークに付くことは不可能だからです。マークに付いてしまうとゴールがガラ空きになりますからね。攻撃側のキーパーは相手を引き付けて、時間とスペースを味方に生むことが可能ですが、守備側のキーパーはDFラインの背後のスペースのカバーが限界なのです。

余談というか補足をすると、この相手を引き付けて味方に時間とスペースを作るのはキーパー以外のフィールドプレーヤーでも超重要になります。この原理と全く同じです。メッシやイニエスタ、久保建英が1人どころか2.3人の相手を引き付けている時がありますが、それを剥がすとその先の未来がどれだけ明るいかは想像できますね。僕が常々言っている、ボールホルダーはフリーになってはいけない、とはこのような背景があります。

そして、Jリーグでこの原理をチーム全員が理解し、監督もしっかりチームに落とし込んでいるチームが片野坂監督率いる大分トリニータです。あのチーム、監督は本当に勉強になります。

この本もしっかり購入しました。日々勉強です!

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