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小説 最後のミステリー5

世の中では、バーチャル恋愛が流行っていると誰かに聞いた。実際ちまたに溢れる、メッセージのやりとりが可能になったSNSの発展が原因だろう。オンラインゲーム、オープンチャットからTwitterに移り、やがてDM、Facebook。
アカウントさえつながれば、個人的なやりとりは日常茶飯事になった。
顔も本名も何も知らない相手に恋をするなんて、馬鹿じゃないか。正直僕はそう思っていた。
だが、オルガと小説サイトというステージで出会い、このような些細な事がきっかけで頻繁にやりとりを繰り返していくうちに…….オルガに恋をしてしまった。

オルガはミステリーを得意とするクリエイターだった。
「なんで、いつもちゃんと結末を書かないの?」
DM画面に僕の質問が表示されると、講釈を含むオルガの返事が届く。
「『あなたはどう思いますか?』と投げたいのよ。ほら、「犯人は〇〇でした!」と、暴くだけがミステリーじゃないでしょ?」
「いや、犯人わからないとモヤモヤするよ」
「全てをあからさまにすることは美しさじゃないのって事よ。人生もそうでしょ?」
「人生とミステリーは違うよ!笑」

僕はそんなくだらないやりとりが大好きだった。
オルガはどんな子なんだろう?年齢は多分、会話の内容から僕と同じくらいだと推測される。
女だと言ってるから女だと思う。オルガの書く文章は女性的な表現が滲み出ている。そこは間違い無いと思う。
オルガの事をもっと知りたい。

僕がそう思うのは自然な事だった。


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