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「ブンゲイって何だっけ?」

「高校時代、文芸部に所属していました。」
 就職活動の時「学生時代に打ち込んだ話」をするとき、決まって面接官は不思議そうな顔をします。
「ブンゲイってなんだっけ、えっと針と糸で洋服作ったりする。」
「それは手芸です。」
「あ、植木鉢で植物を育てる!」
「それは園芸です。」
 何のコントですかこれは。
「詩や短歌を書いたり、小説を書く部活です。」
 そこまで言ってようやく何か納得したような顔をされます。
「へー、なんかすごいね」
 この「なんかすごいね」というのは「なんか(よく分からないけど)すごい(って言われてるやつだ)ね」という意味です。お前、今テキトーに流しただろう。今何か書き込んだソレ「根暗そう」みたいに書いただろ!

 就職活動時代、文芸部に所属していたことを話すことが億劫でした。今思えばもっと良いプレゼンをすれば良かったですが、それでも私は『学生時代に打ち込んだこと』は文芸部の話をします。
 それは文芸部が「なんかすごい」からではありません。
 確かに文芸部って「何かよく分からないけど凄いって言われてるやつ」だと思います。マジで思います。

 文芸ってなにもすごくないんですよ。

 文芸を通じて大きな功績を残した人がすごいんであって、文芸自体は何もすごくない。

 文芸って、面白いんです。

 そう、私は文芸人。自称『文芸って面白いマン』です。
 あ、でも四六時中面白いわけでもないです。ぶっちゃけ〆切前とかアイキャンフライ!みたいな心境に陥ったりします。あと、本気で商業目指して頑張ってる作家及び、それで生計・ビジネスにつなげている方はあんまり面白い気分じゃないかもしれません。
 文芸って読む側・売る側で二極しかいないと思われがちですが、手芸を自宅でやってる方や、園芸を自宅でやってる方のように、文芸だって自宅でやってる人がいるんです。私のことです。
 ですので私は、極力自分のやっていることは『文学』ではなく『文芸』だとお伝えしています。これは手芸・園芸が放つ雰囲気と同様であるというささやかなる主張です。
 こんな事を書くと「お前、手芸・園芸ナメんなよ」みたいな凄い腕のスゴイマンがやってきたりするんですが、極めてる人はどの分野でもすごい! 怒らないで!

 文芸もその昔は華道・茶道に並ぶ良家の作法的な側面があったのですが、今はだいぶなくなってしまいましたね。(その昔は「歌道」が存在していましたが、今は和歌という形で残っています。天皇陛下の前とかで読むやつよ! かっこいいよね)
 文芸は「道」として追及するものなのか、私生活の傍らで自分の人生を豊かにしてくれるものなのか、長い歴史の中でもその答えが幾度となく出ては変わり、出ては入れ替わりを繰り返しているのです。数多ある芸術の中でもこの繰り返しを起こしているのは文芸ぐらいのものかもしれませんね。

 なんかちょっと脱線してしまいましたが、今回noteに登録いたしまして、私の文芸活動を通じて感じたよしなしごとや、文芸を通じないよしなしごと等をお伝えできたらなと思います。
 簡単に言えば「ブンゲイ旅行記」です。
 そうしよう!(今決めた)

 そんなわけで、今後とも宜しくお願いいたします。かしこ。