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インナーゲームは、なぜメンタルを改善するのか?

1976年発売時のタイトルは『こころで勝つ!!インナーゲーム』。
2000年の改訂新版でも『心で勝つ!集中の科学 新インナーゲーム』。本表紙がテニスボールなので、スポーツのテクニック本っぽくみえますが違います。
この『勝つ』というのは、相手に勝つだけではありません。

負けたらどうしよう・・・という不安。
大勢の観客の前で戦うプレッシャー。
ここで勝たないと・・・という力み。
なんで思ったところにボールがいかないだ!というイライラ。
今日は勝てそうな気がする・・・という楽観。

私たちの心では、こうした変化が常におきています。
それらに惑わされることなく試合に集中し、勝利する。のがインナーゲームです。
なので、試合に勝つことよりも、『心の調整』がメインです。


メンタルといっても色々です。
精神的な障害、根性、執念、気合い、平常心、不安、負けない心、プレッシャー、トラウマなどいろいろありますが、全て心の中。
インナーゲームも、心のコントロール法です。
なので、スポーツだけでなく、仕事を扱った『インナーワーク』、ストレスを扱った『インナーストレス』といった本も出ています。


そもそもなぜ、こうした心の変化が起こるのでしょうか?
インナーワークではこのように書かれています。

 たとえば、バックハンドが苦手だと自覚しているプレーヤーを例にしよう。バックハンド側にボールが飛んでくるのを見ると、その瞬間に彼は言葉で『おい、難しいショットが来るぞ』と考える。ボールを見ただけで、彼の内部にはこの考えが閃くのだ。ボールはミサイルではない。実際には、何の害もないただの黄色いボールなのだが、彼はそれを『脅威が空を飛んでくる』と感じてしまう。体内にアドレナリンが充満し、ラケットをおずおずと後方へ引き、足をもつれさせるようにして後退し、避けられない運命的な失敗を少しでも送らせようとする。そして最後になって、その遅れを一気に取り戻すような勢いでやけ気味にラケットを前方に振り下ろすのだが、当たり損ねたボールは弱々しく舞い上がり、相手がボレーを打ちやすい方向にゆっくりとネットを越えていく。
 セルフ1はこのチャンスを待ちかまえていて、すかさず自己非難を開始する。『なんてひどいショットだ、どこを探したってこんなへたくそはいない!』こうしてプレーヤーは自信を失い、次に来るバックハンド側のボールに恐怖感は倍加する。自己妨害が、自力で悪循環を開始する。
 セルフ1は、家屋修理業の腕利き営業マンだ。『お宅のここが、壊れかかっていますよ』。あらゆる動作に、ゆがみを見つけてくれる。自分のイメージのゆがみは、認識作業にもゆがみを誘発し、ものごとを正常に捉えることができなくなる。当然反応もゆがむ、結果もゆがむ。その事実が、自分のどこかがおかしいのだという自己イメージのゆがみを確信させ、この悪循環は加速する。

インナーワーク―あなたが、仕事が、そして会社が変わる。君は仕事をエンジョイできるか!


テニスでは、苦手なコースにボールが来ると、
・苦手なコースだ
・うち損なう可能性がある
・構えないと
・ボールをよく見て
・失敗するんじゃないぞ
・だからあれほど注意しろと言ったのに
と心が騒ぎ、黄色いボールから『脅威のボール』に変化します。

これが『認識のゆがみ』です。

苦手なコースに来たとしても、それはただのボールです。
試合を見ている人には、黄色いボールにしか見えません。
しかし、選手はボールが『脅威』に感じます。

この認識のゆがみが起こるために、心の中が騒ぎ、自分自身をコントロールしすぎて力みが生じ、思ったところにボールがいかず結果がゆがみます。


メンタルの問題も同じではないでしょうか?
・能力のない『自分』
・失敗ばかりする『自分』
・苦手な『人』
・恐い『人』
・嫌いな『人』
・やりたくない『仕事』
・失敗できない『仕事』

こうした認識のゆがみが、『自分』も『相手』も『物の見方』もゆがめてしまい、心がゆがみます。
インナーゲームは、こうした認識のゆがみを正し、物事をあるがまま見る方法を教えてくれます。

すると、
・自分
・相手
・仕事
と、あるがままの状態を見ることができるようになります。
認識がゆがまないので、心では妨害が発生せず、問題が起こりません。


メンタルを鍛えるとは、強い心を作るのではなく、何が起きても物事をあるがまま見ることができる能力です。
強い心は経験したことしか対処できません。もっと大きな脅威がくると、心は大きく騒ぎます。
しかし、あるがまま見ることができれば、経験がなくても対処できます。

ポジティブ思考ができても、認識がゆがんでいれば、結果もゆがみます。
思っていることと、感じていることがズレると、心の妨害が生まれます。
その埋まらない差は、いずれ大きな問題が起こります。
過度なポジティブ思考もまた危険なのです。


インナー=心です。
心のゲームに勝つ、がインナーゲームです。
それは、あなたの色々な問題を解決する可能性があります。


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