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腐れ縁

あいつとはもう7年の付き合いになる。そのくらいじゃ腐れ縁とは言わない、と思う人もいるだろう。ただ、中高を共にしてきたあいつとの7年間でそう思う何かがあったのは、紛れもない事実だ。

あいつと出会ったのは、中1の入学式。私は地元の中学には進学せず、私立の中高一貫に行くことにした。かなりの期待を胸にまだ13歳の少女は入学式へと向かった。昇降口にクラスが張り出されていて、自分の教室へと向かった。塾が同じ子達が何人かいたため、不安はそこまでなかった。
席順は勿論、名前の順。あいつは私の2つ後ろの席だった。初めて見た時、「こいつと仲良くしたい、絶対に気が合う」と直感で思った。(かなり身長が高かったから、めちゃくちゃ大きい子がいるもんだな、とも思った。)

それから私の直感通り、クラスが違くなっても毎日音楽の話をしたりバカやったりライブに行ったりいろんなことをして高校最後の年になった。2023年。コロナはまだ依然として流行していたが、高校最後の文化祭は開催できることになった。高校ではバンドを組もうと話していたが、コロナで休校、オンライン授業、文化祭中止になっていたため、実現しないまま高校最後まで来てしまった。

今年こそは絶対にやる、ということで彼がGt.&Vo.  私がDr. そしてGt.とBa.は同級生を誘って文化祭限定のバンドを組んだ。しかし、母校の軽音部は軽音部と言っていいものなのかかなり怪しく、組織化がされておらず、ほぼ同好会的なものであり、世間一般の軽音部のイメージからは程遠いものであった。あいつはそんな軽音部に入っていたため活動ができず、私も中1の時から吹奏楽部に入っていたため、バンドでの活動など右も左もわからなかった。勿論、他の2人のメンバーも同様である。
しかし幸いにも、母親が軽音出身者だったため、どうやって練習するかなど教えてもらうことができた。そんなこんなで、最後の文化祭に向けた練習が始まった。その期間なんと3ヶ月。かなりの期間を練習に充てていた。

6月某日、文化祭当日。体育館のステージ。目の前には友達、保護者、後輩たちなどたくさんの人。ステージに立つことはもう慣れていたから緊張はしなかったし、同じような感覚なのだろうと思っていた。間違いだった。吹奏楽のコンクールや演奏会では味わったことのない感覚。全身が震えた。緊張じゃない。自分の中の何かが壊れた気がした。演奏終了後、観客からの拍手喝采、ステージからの景色、本当に私が望んでいたことはこれだったんだと、実感した。あいつとこんな景色を見ている場面が脳裏に鮮明に浮かんだ瞬間でもあった。

この時、世界一のバンドになると決めた

あれから一年の時が経ち、大学は離れてしまったが同じインカレサークルに所属することになった。あいつは自分の大学の軽音サークルに入るつもりだったらしく、友達もできておりバンドも組む直前だった。それなのに、私が他大学のインカレサークルに入ると言った時、あいつは積み上げたもの全てを壊して同じサークルに入ることになった。あいつがバンド組もうと思ってると聞いた時は正直めちゃくちゃ悲しかった。だけどやっぱりなんだかんだ結局は同じとこにいるんだな。お前とは。

それから間も無くのこと
「バンドやろうぜ」
あいつとそんな話をしたのは

それからベースも見つかり、3ピースロックバンドが始動した。

そう、それが Lily Light
そして、腐れ縁のあいつは我らがフロントマン、田村蒼。

死ぬまでバカやり続けような


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