輝き人! NO.14 桐嶋ノドカ / nodoka kirishima

桐嶋ノドカ
今年の7月にメジャーデビューし、今夏は数多くの音楽フェスに出演。
11月20日に、波瑠さん主演の映画『流れ星が消えないうちに』の挿入歌にも決定している配信限定シングル「柔らかな物体」をリリース。さらに来年3月には初めてのワンマンライブツアーも決定。
今後の活躍から目が離せない彼女が今思うこととは?
今回は輝き人!として桐嶋ノドカさんをご紹介します。

―PROFILE―
桐嶋 ノドカ
Kirishima Nodoka
1991年5月5日生まれ。神奈川県横浜市出身のシンガーソングライター。
小さい頃から音楽がそばにあって、中学・高校・大学と音楽に捧げ、音楽プロデューサー小林武史さんとの出会いにより、大学卒業後2年目となる今年の夏にメジャーデビュー。数々の音楽フェスにも出演し、今最も勢いのある輝き人!

interview

―僕たちは学生団体でして、主に学生に向けて情報発信をしているのですが、
まず初めに桐嶋さんの大学時代の思い出をお聞かせください。
桐嶋:たくさんありますね。どれを話そうかな?私は音大だったので、音大ならではと言うと、授業以外で何をするかが大事でした。私の場合だと、いかに曲をたくさん書いて、ライブを重ねられるかっていう感じで。授業で知り合った友達とバンドを組んで、学校外でライブをしたこともありました。
―学校内という感じではないんですね。
桐嶋:学校では演奏やレコーディングの授業があって、それを生かして、外で披露していましたね。印象に残っている授業としては、月に一回のレコーディングの授業で、ランダムに組まされた人と練習をして演奏するのですが、これが本当に難しかったです。当然気が合わない人もいて。たとえ性格が合わなくても、なんとか演奏して。そういう人との関わりを通じて、人間力の部分が勉強になりました。
―普通の学生だとサークルに入っていたりするのですが、桐嶋さんはどうでしたか?
桐嶋:音大ということもあって、周りの友達もあんまりやってなかったです。もちろんあったんですけど、普通の学生に比べたら、サークルにかける熱量は少なかったかもしれないですね。
―桐嶋さん自身はどんな学生でしたか?
桐嶋:孤独、だったと思います(笑)。友達はいたんですけど、ひとりでいることが好きでした。ひとりで何か考えて、練習して・・・という時間が必要だと思って、結果、単独行動が多かったですね。
―どうして、“孤独”な時間が必要でしたか?
桐嶋:人と一緒にいる時間も大事ですが、自分がしなきゃいけないことって、曲を書いたり、それを歌うことだから。それを高めることを考えると、自分に向き合って、自身を分かっていないといけないし、自分がどういう気持ちで、何を考えて、何を歌いたいのかを問いただし続けないとダメだなって。人前に出て歌を歌うならば、自分の核となるものを持たないといけないと思うんです。友達と話す時間も楽しかったけど、その後に帰ってひとりの時間を設けることが必要でしたね。
―自分と向き合うんですか?
桐嶋:人と会ってしゃべっていると、自分がどう思っているのか意外と分からなくなりますよね。そばで友達が「あの子イケメンだよね。」とか言って、頷いてしまう自分とか。他の人がそう言っているからそう思えたり、物事の善し悪しが自分の目や心だけで分からなくなっちゃうんです。だから、自分の表現をする上では、まずは自分が何の影響も受けずにどう思うか、誰にも聞かずに向き合うことが大切だと思っています。
―“孤独”が大事だと気付いたのはいつですか?
桐嶋:小学校の頃から単独行動は多くて、友達はいたのですが、みんなでワイワイしている場合じゃない!って高校の頃に本格的に思いました。中学校・高校と合唱部にいて、表現することに物凄く真剣に取り組んでたこともあって、“この曲をちゃんと表現するには”っていうことを常に考えていました。そのときに、やっぱり自分と向き合わないといけないなって。
―孤独って多くに人にとっては避けたいものじゃないですか?
桐嶋:もともと人見知りなので、寂しいとか、避けたいとはあまり思わないですね。でも、本当に寂しくなったら、人に会いに行きます。そうすると、反動ですっごい嬉しかったりして(笑)。人と関わりたくて関わるので、そこに意味がある気がします。

―集団の中での桐嶋さんとひとりでいる桐嶋さんで違いはありますか?
桐嶋:昔の話になるのですが、中学・高校時代は違っていました。みんなと一緒にいると、みんなが私に対して持っているイメージでふるまわないといけない気がして。面白い人だと思われていたら、面白いことを言わないといけないし。でも、最近は全く気にならなくなったし、その方が楽かな。変とか思われても別にいいやって思えるようになりました(笑)。そうしたらなにもかも無理がなくなって、自然に笑えるようになりました。
―世間が抱く桐嶋さんのイメージと本当の桐嶋さんとのギャップはありますか?
桐嶋:あると思いますよ。世間の人にどう見えてるかは分かりませんが、本当の私って私の近くにいる人しか知らないだろうし。でも、私から発信するものは誤解のないよう間違いなく見せられるようにしていきたいですね。正しく伝わった上で、それに対してどう思われるかは、あまり気にしなくていいのかなって思っています。
―自分を発信するうえで工夫していることはありますか?
桐嶋:私にとって大事なことは歌を受け取ってもらうことだから、それに邪魔になることは必要ないのかなって思っていて。私は楽しいことが大好きだし、普段はふざけたりするけれど、歌を発信する時にはあまり出さないようにしています。大事な歌の部分をきちんと届けたいから。
―アーティストとして伝えて行きたいことは何ですか?
桐嶋:ずっと思っていることは、“ちゃんと真実を見極めないといけない”っていうことですね。これは何にでも言えるのですが、何も影響されないで、自分で見て、考えて、感じて、ということが今の社会ではなかなか難しいように思うんです。テレビやネットなどがあるから経験しなくても分かったつもりになってしまいがちだけど、自分で見よう、分かろうとする姿勢を大切にしてほしくて。社会、恋愛、人間関係など含めて、自分で見つけた真実を大切にしようって思います。
―桐嶋さん自身はそういったもの(メディアからの情報など)に影響されますか?
桐嶋:もちろんされますよ。影響されないのは無理なんじゃないかな?自分が影響されているなと思う時は、意図的に情報が入らないようにして、自分の意見をじっくり確認しています。
―情報化社会にいて、情報が山のように溢れていて、それが重宝されている社会から一線を引くことに不安や怖さはないですか?
桐嶋:あんまりないですね(笑)。社会の傾向は速く、正しくが重要っていうのがありますが、それってそんなに必要なのかな?って。自分が必要なものを手に取ることが大事だと思うんです。受動的に与えられた情報をひたすら受け取るのではなくて、それを吸収することが必要だと思っていて。そう考えると、必要なものってあまりないのかな?だから、今はテレビもあまり見ないですね。高校の頃は6時に家に帰ったら、6時から12時くらいまでテレビを見て、最新のことを知りたがっていたのですが (笑)今はどうでも良くなりました。
―そう思うようになったきっかけは何ですか?
桐嶋:大学に入って、家にいる時間があまりなくなって、情報に触れること自体が少なくなりました。その時に、“必要だったのかな、あの情報の波って?”と疑問に思ったんです。もしかしたら、それらは要らなくて、もっと他に必要なものがあったんじゃないのかなって。
―他に必要なものは何ですか?
桐嶋:音楽や本ですかね。自身の人生を充実させる必要不可欠なものだけあればいいかなと。
―では、音楽と本だけあれば良かったという感じですか?
桐嶋:どうなんだろう、ニュースを見るのも大事だとは思っているのですが、受動的である必要はなかったかな。必要な時に必要な情報があれば良くて。一つ一つ吟味することが出来れば、大量には必要ないと思います。何でもそうだけど、服も毎日違った新しいものを着なくてよくて、新しいiPhoneを持つ必要もなくて。そんな感じで、情報も同じことが言えると思います。

―では、桐嶋さんが今必要なものは何ですか?
桐嶋:食べ物と自然と家です。
―自然というのは?
桐嶋:都会が苦手で、何でも良いのですが、せめて植木鉢など植物があると、心が落ち着きます(笑)。
―都会は落ち着きませんか?
桐嶋:うーん、都会の匿名性というのは落ち着くかな。どう思いますか?
―僕は目の前にはこんなに多くの人がいるのに自分はただひとりという気がして、落ち着かないです。
桐嶋:そっか。でも今思ったのは、都会の雑踏の中にひとりでいても、自然の中でひとりでいても、そんなに変わりがないんじゃないかなって。自分が結局すごくちっぽけで世界が遠くにある感じはどこにいても同じだなって。ひとりでいるのが好きだから、やっぱり自然の方が好きです。
―自然ですと視覚的に孤独を感じますが、都会ですと、人も多かったりして、内面的に感じる部分が多い気がします。
桐嶋:都会にいると遠くが見えないですよね。狭いし、ゴミゴミしていて、迫りくる何かと戦う気持ちになります。でも、自然の中にいると客観的になる瞬間があって、自分を見返したり、私が普段いる環境を見つめたり、遠い視線で何かを考えることができます。だから、自然の中にいる孤独が好きです。自分自身の性格がとてもスローなので、都会の早さに着いていけなかったりもして。
―自然の中で考えることは何ですか?
桐嶋:何だろうな~。自分のことを見つめるというのが基本にあるので、“それで、じ
ゃあ、どうしていくか?”、“どういう歌を歌ったら良いか?”、“今私が出したい感情
は何なのか?”、“どういう風に頑張っていけば良いか?”っていうことをぼーっとし
ながら考えてますかね。
―楽曲も自然からヒントを得ることもあるのですか?
桐嶋:風景みたいなものを思い浮かべながら書くことが多いです。なので、都会のシチュエーションよりかは自然の中のシチュエーションの中で考えることが多いですね。
―ご出身は横浜ということで、都会ですよね。
桐嶋:そうですね。ただ、横浜とはいえ私の地元はあまり都会ではないんですよ。鳥がさえずり、山があって、少し行くと海があって。横浜なんですが、自然があるところで育ちました。時間の流れがゆっくりしていて。そこから都会に出かけて、帰ってきて、ギャップがありますね。
―横浜も広いですよね。
桐嶋:結構広いですよね。私の地元はいわゆる“横浜”というところではなくて、土の匂いがします(笑)。
―ところで、いつ頃からアーティストになろうと思ったのですか?
桐嶋:小さい頃から思っていたのですが、本当に決意したのは高校生になった時です。私は中学受験だったのですが、中高の友達は大学受験するのが当たり前で、私もその流れに乗ると思っていたのですが、自分が将来どうしたいのかって考えた時に、音楽がやりたいって思いました。
―趣味を仕事にしたり、特に芸能の世界だと、見る人あってということで、リスキーだと思うのですが、どうしてその道を選んだのですか?
桐嶋:たしかにそうですね。ただ、私の性格的に「やるべきこと」と「やりたいこと」があったら、私はやるべきことを先にやらないと気が済まない性格だったんです。でも、やるべきことって日々たくさんあって、それをこなしていたら一生やりたいことなんてできないなと思って。だから、やらなくちゃいけないことを取っ払って、やりたいことを一番最初にやっていこうと決めて音楽大学への進学を決めました。そうしないと、歌を本気でやる瞬間って一生無いから。
―趣味で始めた音楽と思うんですが、それが仕事と感じるようになったのはいつですか?
桐嶋:今年の7月にミニアルバムでメジャーデビューしたのですが、それを出すと決めたぐらいから、本当に仕事だと思いました。
―何か心境に変化はありましたか?
桐嶋:私は歌を歌うだけだと思って日々生きているので、とくになかったですね。仕事だと結果を残さなくてはいけないと思うんですが、結局は自分のすべきことは変わらず歌を歌うことだし、自分と向き合うことだし、やるべきことは変わらないのかなって。
―聞く方々を意識するあまり、そのニーズに合わせようとして、自分自身が空洞化してしまうことに関してはどうですか?
桐嶋:世の中が好きって言う音楽が良いと思っていた時期はありました。流行っているものは何かとリサーチしたり。でも、それだと自分が音楽を全然楽しめてないって思ったんです。誰にでも好かれようと思っていたのは虚しくて、ありのままの私を好きって言ってくれる人がいたら、感謝すればいいだけの話だなと。もちろん、ライブでお客さんの聞き方なども考えて曲を作ることもありますが、まずは自分自身に正直に。歌っていて幸せかどうか、音楽を楽しむことが大事だと思っています。
―貴重なお話をありがとうございます。そろそろ、お時間のようですね。
最後に同世代の方に向けてメッセージをお願いします。
桐嶋:私が言えることは、自分のオリジナルの生き方を開拓していって欲しいということです。私の同世代の友達だと、就職していたり、学生だったりするのですが、オリジナルの生き方をしている人は輝いているし、とても尊敬しますね。何でもいいから、小さくてもいいので、型破りで、みんなとは違っても“私はこれがいい!”っていうものをやっていた方が、これから先に楽しい社会が作られていくんじゃないかなと思います。これからの社会は私たちが作っていくので、みんなが活躍していくべきです。
―貴重なお話をありがとうございました。
桐嶋:こちらこそ、ありがとうございました。

取材協力:株式会社OORONG MANAGEMENT、株式会社A-Sketch
桐嶋ノドカオフィシャルサイト:http://www.nodokakirishima.jp/

取材:梶裕太 編集:高橋祐貴 

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