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プロ直伝「美味しいコーヒー」との出逢い方 Ⅱ〜How to meet " your yummy coffee"

筆者yuutanpapaのコーヒー歴
・コーヒー輸入商社:10年 世界中のコーヒーをテイスティング♩           
              スペシャルティからコモディティまで
・コーヒー焙煎歴 : 3年 食材屋から、料理人の厨房の世界へ!
・喫茶店勤務歴  : 3年 厨房を抜け出して、お客さんへ笑顔を♩
皆さんのコーヒーライフのお手伝いが出来ればと思い記事をアップしました。ご参考頂ければ幸いです。

<こだわり派編>

1.スペシャルティコーヒー

最近、よく見かける「スペシャルティコーヒー」 って何?

ざっくり言うと、
*「顔が見える」コーヒー
*  評価基準=美味しさ
 ×従来の欠点をチェックする評価基準
 ○美味しさを積極的にプラス評価する基準(注※)
  注※:透明感/甘さ/酸味の質/質感/風味/後味/バランス
  ワインのように細かく味覚を審査する基準は実は未整備でした。

詳しく知りたい方は、下記URLをクリックしてみて下さい♫
ちょっと、馴染みのない表現なので難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが(^_^)

▼日本スペシャルティコーヒー 協会HP
https://scaj.org/about/specialty-coffee

「カップ評価基準はスペシャルティコーヒーの発展・変化に伴い随時修正する」という表記も面白いポイントだと思います。
つまり、裏を返せば「味の評価基準」は変化するとも言えるのです。
果たして、今の美味しいの基準は、100年後もそのまま続くのか!?

「スペシャルティコーヒー」 は全体の流通量の僅か数パーセント

出典:Doc specialty coffee roasters様facebook2020年7月4日記事より

スペシャルティコーヒー とは世界で生産されるコーヒーのうち、僅か数%(この図では5%と表記)と言われています。

「コーヒーの価格の決まり方」と「コーヒー危機」について

現在のコーヒー取引はニューヨークやロンドンにある国際先物取引市場において価格が決められています。そこでは需要と供給のバランスや金融ファンドによる先物取引によって価格が決まります。

が、生産のために投下した費用や生産者の生活費などは考慮されません。
従って、供給過剰などで国際相場が低迷し始めると、一部の例外を除いて小規模農家が多いコーヒー生産地では農家が丹精込めてコーヒーを栽培しても生産コストさえも賄うことも出来ず、来年の収穫に向けた肥料を購入することも、子供たちを学校に出すこともできなくなり、医療や衣食住にも困るといったことが往々にして発生します。

西暦2000年からコーヒー市場価格の低迷によって各国の生産者の生活が危うくなったいわゆる「コーヒー危機」の時代、中米の低地産などでは農園放棄などが社会問題になっておりました。

そのため農家や農園の生産意欲は減退し、コーヒーの品質も年々悪化していることが弊社内の日常業務の中でも肌で感じらました。

こうしたコーヒーの品質の悪化は、おいしいコーヒーを求める消費者を失望させ、世界のコーヒー業界全体が危ぶまれることも懸念されました。

ワタル株式会社HP 「フェアトレードの取り組み」一部抜粋

似たような話しは、(日本の卸売市場で取引される)野菜なんかでも耳にしますよね。
大豊作の場合は、「買い手市場」になります。
消費者にとっては野菜を安く手に入れられることは嬉しいことなのですが、生産者にとっては著しい価格の下落は死活問題に繋がります。
「今年はキャベツが採れすぎたから・・・」とせっかく丹精込めて作った作物をトラクターで潰す映像を見たことがあります。

市場価格に左右されない高品質なコーヒー作りを目指して

生産者はどうすれば、価格競争から逃れることが出来るのでしょうか?
例えば、「高品質」のものを作り、その品質に価値を見出して、この金額(市場価格より高い値段)で欲しいという買い手がつけば如何でしょうか?

従来通りに自分の農園で作ったコーヒーを仲買人や農協に持ち込み買い取ってもらうのではなく、「おらが農園ブランド」として世界中のコーヒーロースターに売り込むことが出来たとしたら?

「コンテスト」を開催して、「オークション」を通して売る仕組み

皆さんは、「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」の称号を冠したコーヒーを見かけたことはありますか?
「コーヒーコンテスト」で「激ウマ!!」と認められたコーヒーにだけ贈られるタイトルなのです。
まだ飲んだことがなければ、一度、試してみる価値はあると思います♫
(フルーティーなコーヒーが好きな人に特にオススメです!)

毎年、主要コーヒー生産国では「コーヒーコンテスト」が開催され、どの農園のコーヒーが一番美味しいか競われます。

▼コーヒーコンテスト主催者Alliance for Coffee of Excellence  HP
https://allianceforcoffeeexcellence.org/

<コンテストの流れ>
*参加を希望する生産者は、生豆のサンプルを提出(数百の生産者が参加) 
*生産国の国内審査員による審査
 ・事前審査:最大通過数〜150
 ・味覚審査×2回:最大通過数〜40/スコア86点以上
*国際審査員による審査(注※)
 注※:消費国である欧米や日本などから
 ・味覚審査×2回:最大通過数〜30/スコア87点以上
         →「激ウマ!!」の称号授与
 ・最終味覚審査:選ばれたトップ10を再審査&順位付け
         →スコア90点以上=「神レベル!!」の称号授与
*オン・ライン・オークション開催(対象ロット:COE/最大〜30)
 ・全世界同時配信のインターネットコーヒーオークション。
 ・参加者:各消費国のバイヤー(ロースター/輸入商社etc)

このコンテストで選ばれた生産者は、結果として各国のロースターに認知され、発展するば継続的な取引にも繋がります。

今、スペシャルティコーヒー を生産する有名農園は、世界中のバイヤーが買い付け合戦を繰り広げていると聞きます。

2.コーヒーの味はどうやって決まるか?


コーヒーの味 = 生豆の品質 ×  焙煎(技術/焙煎度合い)×  抽出

原料がいくら高品質の生豆(スペシャルティコーヒー )であっても、焙煎や抽出の技術が適切でなければ、当然、そのポテンシャルは引き出されません。

昔、若気の至りで、バーで「振り方で味って変わるんですか?」と質問をしたことがあります。
「試してみよっか。」と笑顔のマスターは、同じ分量の材料を入れたシェーカーを2本カウンターに用意してくれました。

「せ〜の」でマスターと同時にシェーカーを振ったのですが、結果は一目(一口!?)瞭然。
マスターのカクテルはキリッと冷えて、角が取れたまろやかな味わい。
一方、私のと言えば、シャバシャバで素材の一体感なし・・・カクテルでない味わい。

粋なマスターが教えてくれた「プロの技」でした。

3.焙煎技術って何?

「焙煎の技術」とは、一体どういうものなのでしょうか。

皆さんは「茹でガエルの法則」を聞いたことありますか?
「カエルをいきなり熱湯につけると熱くて飛び出してしまうけど、常温から入れて徐々に温度を上げていけばカエルは気持ちよくて茹で上がって死んでしまう。」という噂のアレ。

私は、焙煎の技術をその例え話で教わったことがあります。
つまりは、コーヒー豆もいきなりアッチッチの釜に入れてしまうと表面だけが焼け焦げてしまうけど、コーヒー豆が’気持ち良い’と感じる温度で火力を調整して上げてあげると、ふっくらと美味しいコーヒー豆に焼きあがる(芯まで熱が通り、十分に化学変化が引き起こされる)ということです。

当然、その日の天候(温度/湿度/風向きetc)、焙煎機(釜)の能力(パネル操作後に豆に熱が伝わる反応速度)、投入する豆(量/火の通りやすさetc)などにより、火力の調整方法は変化します。

だから、釜の中の温度をイメージして、火力をあげた後は豆の「反応」を観察すること、豆が熱を吸収したから再び火力を上げることなどが大切になって来ます。

原料にスペシャルティコーヒーを使う人と、スペシャルティコーヒー 以外の豆を使う人とでも、焙煎に関する考え方やアプローチは異なるかもしれません。

例えば、スペシャルティコーヒー は品質が高いので、素直に芯から焼き上げてあげれば美味しい味に仕上がると思います。
しかし、スペシャルティコーヒー が日本に流通する以前の時代は、(限られた品質の原料を)焙煎に工夫を凝らして味作りをしていた時代です。
そして、当時の時代背景としては、ロースターの「浅煎りコーヒー」のアンチテーゼとして、「深煎り自家焙煎コーヒー」が流行りました。
和食で素材を活かした味(フルーティー)に仕上げるか、フレンチのようにソース(焙煎)を工夫して仕上げるか・・・みたいな違いとでも言いましょうか!?

確かに、一般の消費者の方でも、スペシャルティコーヒー が好きな人と、従来の深煎りネルドリップコーヒーが好きな人を比べると、そもそもの好みが異なるような気がします。

ただ、どっちが美味い不味いの簡単に片付く話しではないのではないと思っています。時代によっても、「美味しい」の定義は変化するのですから。

4.「こだわり派」にオススメしたい道具

ちょっと、マニアックな話が過ぎました(笑)。

自宅でコーヒーを楽しむために一番オススメしたい道具は、ズバリ「コーヒーミル」です。

お店でコーヒーを「豆」の状態で購入して、その都度、挽くことをオススメします。もちろん、手間はかかりますけど!
オススメの理由は、「酸化(劣化)」が緩やかになり、長期間「香り」を楽しむことが出来るから。

手動式

 予算:2000円〜
 good point:壊れにくい
    week point:挽く手間がかかる
 one point advice:ホッパー部分に蓋付きのタイプがオススメ
         (豆が跳ねこぼれない)

電動式/プロペラ式

予算:3000円〜
 good point:廉価
    week point:挽き目の均一性が低い
 one point advice:メーカー品だと初期不良時の交換がスムーズ(!?)

電動式/カッティングタイプ

予算:2万円〜
 good point:挽き目の均一性が高い
    week point:高価
 one point advice:数年前から5万円以上の後継機種もありますが・・・。

 裏技として、「粉」の状態でも美味しく飲めるのが、ドリップバッグ(但し、窒素充填加工タイプに限る)。
ドリップバッグを製造する際、窒素を充填して製品内に酸素が残りにくい状態にします(ワインの空気抜きと同じ考え方)。
フレッシュな原料を適切に製造していたら、製造後3ヶ月くらいは十分過ぎるほど美味しく頂けます!もちろん、それ以上でも美味しく飲みます♫

5.自分の感性でコーヒーを味わおう


昔、「マツコの知らない世界」(TBS系、火曜午後8時57分)にコーヒーの達人さんが登場した回がありました。

しかし、達人さん一押しのコーヒー(私もオスススメの店)を飲んだマツコさんの反応はイマイチでした(達人さんと同じ熱量で美味しいと言っているようには見えませんでした)。
マツコさんは、きっと、「自分の好み」がはっきりとしているんだろうな・・・と、逆に私は好意的に解釈しました。

いいんですよね〜、それで💕

自分ファーストで美味しさと巡り逢うことが出来たら幸せですよね♫

但し、「美味しさ」には色々な基準があるし、その基準も変化します。
またの機会があれば、そのお話しも、ぜひ!

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