「人生、山あり谷あり家族あり」

『ユースケの読書感想文』

今回の本を読書するに至った経緯
2022年3月に高校教師を退職し、4月以降、本当にいろんな方との素敵な出会いがあります。その一つに、沖縄でフリーのウェディングフォトグラファーとして活躍している方との出会いがありました。今回の書籍は、その方が表紙カバー写真を担当していることで、本のことを知るきっかけとなりました。私自身、高校教師として担当していた科目が「福祉科」という科目で、高齢者福祉や障害者福祉を主に授業で教えてきていたので、今回の書籍の表紙カバーの中から「車椅子」「ダウン症」のワードを見て、どのような人生を歩んでいる方なのかと興味を持ち、気がついたらAmazonで「ポチッ」と購入していました。今回はその本を読んでの感想を感想文のように、私が感じたことをそのまま書いてみました。内容に関してはこれから読む人のためにもあまり書くことできませんので私の感じたことを中心に書いてみました。できるだけ簡潔に書いてみたので、最後まで読んでいたたければ幸いです。

第1章【私の人生を変えた3つの出来事】


早速本を読み始め、第1章。背表紙にも書いてある、岸田さんの人生の中での大きな3つの出来事「障害がある息子の誕生」「夫の死」「突然あるけなくなったこと」が凝縮されて第1章に書かれていますが、この第1章だけをみても壮絶な人生を歩んでいることが伝わり、この章だけでも私自身の人生の歩み方を考えるきっかけとなる内容でした。今の自分が生きている日常が当たり前ではない。今と同じ状況がいつまでも続くわけではない。そう考えさせられる章でした。ですが、これほどの大きな出来事がある中でも随所から岸田さんの前向きな気持ちや、娘さんの強い気持ちが伝わってきました。闘病生活を送った病院での生活においても非常に前向きに物事を捉え、できないことに目を向けるのではなく、「今の私に何ができるか」を探し続けている岸田さんの強い気持ちが感じられました。この章を通して、どんな困難な状況においても「何ができるか」または「したいこと、やりたいこと」を考えることで、困難を前向きに捉える事ができることを感じました。また、「夫の死」については、私自身、岸田さんの情報は全くわからない状況で本を読み始めたので、急に命を終えるエピソードが書かれていて衝撃でした。私自身も小さい子供がいる一人の父親なので、家族との別れが急に訪れることを想像するだけでとても辛い気持ちになりました。正直、第1章の時点で少し涙してしまいました。そのような中でも、岸田さんが前向きに子育てに向き合っている姿勢を見て、私も一人の親として子どもとの向き合い方を改めたて考えさせられました。とても内容の濃い第1章でした。

第2章【いつも家族を笑顔にする優しい長男】


これまで高校教師として授業の中で様々な障害について教える機会があり、同時に私自身も学ぶことが多くありました。今ではダウン症の親の会やコミュニティがSNSを通じて情報収集しやすい時代になりましたが、岸田さんが長男の良太さんを出産した時には、情報も少なかったかと思います。実際に、出産直後に岸田さんが育児に対して大きな不安を抱えていたことが伝わってきました。周囲の人からも、慰めや励ましの言葉を聞けば聞くほど、それがプレッシャーになり岸田さんの気持ちが後ろ向きになっていく過程もすごく理解できます。その中で、夫の一言で岸田さんの気持ちがフッと軽くなる会話を見て、こんな時こそ一番理解してくれている人がそばにいる心強さを感じました。この状況で夫までも周囲の人と同じように、岸田さんに慰めや励ましの言葉をかけていたらさらに苦しくなったと思います。その中での夫の存在はとても岸田さんの心の支えになっていたんだなと強く思いました。(私ももっと妻の気持ちに寄り添えるようにしようと反省しました・・・笑)
そのような支えがあったからこそ、岸田さんは良太さんの日々の小さな成長を大切にするようになったり、「何とかなるんじゃないか」といったような肩の力を抜いて向き合えるようになったのかと思います。
良太さんを育てていく過程や、アメリカでの学びの中で「特別な存在」にしないための「特別な支援」をする。という考え方のもと、小学校でも多くの友人に囲まれて楽しく過ごしている様子が伝わりました。また、スイミングスクールに関してのエピソードも強く感情を揺さぶられました。良太さんのダウン症という特性でプール側がそれぞれ異なる対応をすることでいろんな可能性を広げることも狭めることにも繋がります。岸田さんの思いがあったからこそ、良太さんは素敵なスイミングスクールに出会えたのだと思います。岸田さんの良太さんに対しての教育方針は、障害の有無にかかわらず子育てをしている親にとっても学びの深い方針だと思いました。

第3章【顔も心もパパと瓜二つな頼りになる長女】


著者である岸田さんの考え方や思いが柱になる書籍ですが、その中で長女の奈美さんの存在はとても大きなものだと感じました。岸田さんと奈美さんの思春期特有のやり取りは、本当にどこの親子にも見られるようなことも多いではありますが、その中で、随所に岸田さんの教育方針が垣間見えました。その思いがあるからこそ奈美さんも、困難を前向きに捉える力や、そもそも困難を困難として捉えないエネルギーを備えているのではないかと感じました。もし私が10代の時に、父親が亡くなり、母親が重度の病気になってしまったら、奈美さんのようには行動することはかなり厳しいと感じました。本当に母親である岸田さんにとって、存在の大きい娘さんなんだなと思いました。
また、奈美さんのお父さんとの別れのエピソードの時には、私自身も非常に辛い気持ちになりました。大事な人と交わす最後の言葉が選べるなら、もちろん感謝の気持ちを伝えると思います。しかし、それがいつやってくるのかは誰にもわかりません。だからこそ、日々の会話を大切にしようと強く感じました。
奈美さんの大学選びや、大学に通いながらの仕事も始めるという行動力は本当に尊敬いたします。岸田家の大きな存在なんだなと強く思いました。

第4章【案ずるより産むがやすし、横山やすし】


この章では日々の関わりや岸田さんの子育て方針について書かれていますが、ものすごい学びになった文章がありました。「機嫌がいい時にしてほしいこと、やっちゃいけないことをしっかりと伝えることです。」です。岸田さんが良太さんに対して関わる中でその場で叱るのではなく、言葉が入ってくるタイミングで必要なことを伝える。シンプルなことではありますが、我が家の子育て方針にも活かしたいと思いました。また子育てだけでなく、大人同士のコミュニケーションの場でも大切な考え方かもしれません。今後のコミュニケーションで活かしていきたいです。
岸田さんの多様性を尊重する、物事や事実を一つではなく多くの視点で見ること。この意識が「優しい人」と言われる岸田さんのベースになっているのだと感じました。この視点は私も大切にしていきたいです。

第5章【岸田家のコロナ物語】


世界全体に今も大きな影響を与えている新型コロナ。岸田家にも同様に影響を及ぼしたとのことでした。特に良太さんにとって日々のルーティーンとなっていた作業所がお休みとなり、平日休日問わず家にいることは、これまで身につけてきた習慣が変わり、とてもストレスになったかと思います。ですが、そこでも岸田さんの良太さんに対する向き合い方によって、良太さんも新しいルールをもとに落ちついて過ごすことができたのではないでしょうか。この時期は本当にどの場所においても、これまでと違う生活スタイルが求められてきました。岸田家にも多くの変化がありましたが、「変化は悪いものではなく、大切な気づきを自分に与えてくれると思えばいい。」という考え方のもと、日々の課題を解決していく様子が感じられました。

第6章【「死んでもいいよ」から「生きるんやで」へ】


コロナ時代においても、岸田さんの前向きな考え方のもと、日々を過ごしてきた岸田家にとって再度訪れた困難は大きな衝撃でした。岸田さんに再び訪れた大きな手術。命に関わる手術の中、私もどのような展開になるのかと考えさせられ中での奈美さんの言葉かけ。「生きるんやで」この短い言葉にどれだけ岸田さんが力づけられたのかは計り知れません。ここに強い家族の絆を感じました。度々訪れる困難を乗り越えていく岸田家のエネルギーを感じさせられる最終章でした。

【感想のまとめ】


久しぶりに人生の価値観を考えさせられる良書に出会いました。シンプルに岸田家の日常を描いた書籍になるのですが、私にとっては数々の非日常な出来事でした。困難が起こった時の物事の捉え方、子育てなどの教育方針、理解してくれる人がそばにいることの大切さなど、本当に多くのことを学ぶ事ができる書籍でした。表表紙に「元気おすそわけエッセイ集」とあるように、元気がもらえます。困難なことを乗り越える数々のエピソードを読んでいく中で、これからの自分にいろんな困難が訪れても、不思議となんでも乗り越えられそうな気にさせてくれる書籍でした。この本を読んだ事がきっかけで、家族との時間、妻への言葉掛け、子どもとの向き合い方を改めて考えていこうと思いました。

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