僕の好きな本
図書館のイベントで、「ビブリオバトル」というものがあります。
本を紹介し合って、その場で一番読みたいと思った本の多数決を取り、チャンプ本を決めるという書評合戦です。
自分もやりたくなっちゃって。
ビブリオバトルの原稿みたいなものを考えてみました。
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みなさんの、「好きなもの」ってなんですか?
僕は、卓球が好きです。
作家の、住野よるさんが好きです。
住野よるさんの小説の中でも、この本、『麦本三歩の好きなもの』という本が好きです。
この本は、主人公である麦本三歩の日常を描いた、短編集になっています。
小説、というより、三歩のエッセイ集のような印象です。
僕がこの本を読み始めて、なんとなく読みづらさを感じました。
それでも読み進めていくうちに、この物語は日常の細かいところまで表現されているんだな、と気づきました。普段、過ごしている時には意識しないようなところです。
それが、「読みづらい」と感じた理由だと思います。時間の流れがゆっくりというか。
例えば、「麦本三歩は今日が好き」というタイトルのお話は、こんな感じ。
冬の朝。布団の中にいる三歩は、なかなか布団から出られません。「布団から出たくない。」「めんどくさい。」なんてうじうじ考えています。
それでも出勤時間は迫っています。
覚悟を決めて、布団から出る三歩。
しかし、寒さに負けて布団に戻ります。
結局、布団から飛び出ることはできず、妥協案としてタオルケットを体に巻いて朝食の元へ向かいます。
この日の朝食は三歩が大好きなチーズ蒸しパン。
紅茶と共にチーズ蒸しパンを食べ、至福のひと時を過ごします。
それから朝の支度をしているところで、ふと目にとまったチラシに、「プリン値引き」を発見します。
そうして、今日の帰りのコースを決める三歩。
このほのぼのとした感じ。
「何の話だ?(笑)」って思いませんか?
「三歩の日常」は言葉の通り、「日常」です。
でも。
布団から、チーズ蒸しパンへ。
そしてプリンへ。
「好きなものから好きなものへのバトンタッチ」
三歩はこうして、今日一日を楽しみにします。
この小説を読み終えて、何気ない日々の中に「小さな幸せ」を探している自分がいました。
幸せに大小はないと思っていますが、「小さな幸せ」という表現がぴったりな本だと思います。
なんでもないような時間や風景が大切なものだと感じるようになりました。
自分の好きなものは、すぐ近くにたくさんあるんだなって思いました。
ぜひ、みなさんも、三歩の日常をのぞいてみませんか?
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改めて。
みなさんの、「好きなもの」ってなんですか?
僕は、晴れの日、空色の中に浮かぶ真っ白な雲が好き。
僕は、朝聞こえてくる小鳥のさえずりが好き。
僕は、雨上がりの、緑の匂いが好き。
僕は、自転車で、颯爽と走っている時に感じる風の涼しさが好き。
僕は、炊き立てでほっくほくのご飯を頬張った時に感じる米の甘みが好き。
僕は、『麦本三歩の好きなもの』を読んで、三歩の人生や考えをじっくり聴くのが好き。
僕は、子どもたちの好きなものの話を聴きたい。
一人ビブリオバトル。
ただのオススメ本の紹介文。
ビブリオバトルの詳細はこちら。