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「エロス」を創るにあたって作家・演出家の想うこと。

友人の遺志を受け継いでというともっともらしく聞こえますが、やはり僕自身が芸術界の末席にいる身であります以上「エロス」とは無縁でいられません。


万を期して正面から向き合ってみようと試行錯誤していますが、これが驚くほどペンが進みません(言葉の性質上そう書いていますがパソコンで打っています)


子供の頃、映画館が近所にあってそこに足蹴しく通っていましたので所謂『日活ロマンポルノ』に憧れていたものです。大人の象徴でした。
ちなみに『日活ロマンポルノ』とは1971年(同い年というのも因縁を感じる)に倒産寸前だった日活撮影所が生き残りをかけて量産された18禁映画で「エッチなシーンがあって予算を守れば何でも良し」という制作体制が後の日本映画を支える大巨匠たちを生み出す場になった映画群です。


映画館の横を通って目にするのはそうした煽情的なポスター群。
今だったら絶対アウトですよね(笑)
「大人になったら」と思っていましたが、残念なことに僕が18歳になった年、つまり昭和最後の年にこの『日活ロマンポルノ』はアダルトビデオに奪われてしまい終了することになります。そう、僕はリアルタイムで見れなかった世代です。


その後、ビデオやDVDなどで拝見しましたが、これがめっちゃ深みのある映画になっていて驚いたものです。


作品本数は(純粋に日活で制作されたものだけでも)1133本。


もちろんエロだけの作品もありますが、多くの映画人が「作るべきものをフリーダムな場所で創る」という姿勢で制作されただけに意欲作・傑作のオンパレードでした。


皆さんもご存知の大ベテランが出演していたのも驚きます。
そんな世界に憧れて『ロマンポルノ』終焉後に立ち上げられて新しいレーベルの『ロッポニカ』に参加しようとしましたが、それも叶わず『ロッポニカ』は数作の知られざる傑作を生みだしただけで終了しました。


『日活ロマンポルノ』は二週間に三作品を上映するというものすごいペースになるので制作は常にハイペース。なので駄作とか傑作とか言ってられないのが現実ですのでどんどん野心的な作品が公開されました(もちろん野心的すぎて会社で怒られることはあったそうです)
後に『Shall we ダンス?』で有名になる周防正行監督はデビュー作『変態家族 兄貴の嫁さん』(これ正確には日活の映画ではありません)で敬愛する小津安二郎作品のように静かなタッチで創り会社の上訴部に叱られたそうです。
ちなみにこの作品は2018年のベルリン国際映画祭で上映されるほど評価が高い作品です。
出演は今は亡き名バイプレーヤーの大杉連さんです。


「人間」を描くとなると、エロスを外す方が不自然になることが多くて文芸作品でも語られることは多いです。
あと映画人の視点から言うと35mmのフィルム撮影なんですよね。今の日本映画はほぼデジタルなので、その映像の作り方だけでも若い方々は勉強した方がいいと思っています。

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