冷凍保存のニュースを聞いて




先日、ニュースを観ていて知ったのですが。

何の話かって、癌などの病気で抗がん剤治療が必要な若い女性を対象に、将来的に子どもを産むために卵巣が傷つかないよう、一時的に卵子を冷凍保存する病院設立の話です。



この話を聞いて、私が思ったこと。
思いついまんまに整理しないでバーーーッと書いたので、順序も何も行ったり来たりすれ違い、内容も飛んでイスタンブールくらいぶっ飛んでると思います。


と、その前に。
私は子どもを産むどころか結婚もしていません。若い時に大病などで、「もしかしたら子どもを授かれなくなるかも」という恐怖に直面したこともありません。
なので、そんな私がこう言った問題に対していうことに、色々と思われる方もいらっしゃるでしょうが、あくまで私『だけ』の『個人的』な考えです(当たり前ですが)。



基本的には、私は『手を加えて授かる』ことには否定的なんですよね。
それでも、『ちゃんと排卵してるかの検査』と『精子が造られているかの検査』までは、まあギリギリ許容範囲内です。


で、この冷凍保存に関して、ですが。
正直に言うと、微妙です。

でも、もし。
自分がまだ10代・20代で病気になって、生きるための治療を行なうことによって、「将来、あなたは子どもを産めないかも知れないよ」と言われたら。その時に、「確実ではないけど、こういう方法があるよ」と言われたら。

『自分が結婚するかどうか』とか、そういう問題はとりあえず脇に置いておいて、きっとすごく心が傾いたと思います。その選択を選んだかも知れないことは否定できません。



だけど、ですね。
私はもっと根本的なところで、男性にも女性にも若いうちに、もっともっと保健の知識を全体的に植え付けておくべきだ、と思うのです。

ぶっちゃけ、この手の話って話す方も聞く方も、多かれ少なかれ照れが入ると思うんです。若くても、ある程度の年齢になっても。マジメな話なのに、マジメに話せば話すほど、聞く方は照れたりしちゃう。話してる方だって必死かも知れないのに。
ヘタするとタブー視して、極度の拒否反応を示す人もいます。チャラけて冷やかす人もいたりします。

私が小・中・高校生の時を振り返ってみて、確かにある程度の時間は設けられていました。

小学校でも、高学年で林間学校などに行くようになる頃には、女の子はかなりの確率で『女性』の身体になりかかってますから、事前に必ず説明会などがありました。他の学校はわかりませんが、私たちの学校では、男子生徒も一緒に説明を受けました。

中学生になれば『保健』という授業がありました。
何故か印象に残っているのは、『男の神経を糸だとしたら、女の神経はワイヤーロープ』とかいらない情報をくれた先生のことですが。

高校生の時は、たぶん私たちの年代だと女子は家庭科の授業で、ある程度の話を聞きました。結構、生々しい話まで。
他に当然『保健』もあり、その時の担当は男の先生でしたが、避妊具の使用法まで実物を持って来て試験管を使って説明してくれた記憶があります(もちろんチョー真面目な顔で)。


ちなみに、私は父が人体に関わる仕事をしていたことも関係があるのか。
保健に関わらず『人体』『骨格』『身体の機能・構造』などに関する話や本は、当時の同級生よりは聞いていたかも知れません。父が『女性の生理』について、あの年代の男性にしては理解度が高かったのも影響していると思います。それには、母の身体の事も関係があったと思いますが、これはまた後で触れることにします。


話が逸れましたが、それだけではなくて。

他にも、若い子に教えておいて欲しいことがいっぱいいっぱいあります。
いや、私の学校では教えてくれなかっただけかも知れません。
今の学生は教わっているかも知れません。

でも、ニュースを観ていると、案外、無頓着だったり知らなかったりする子も多い気がします。
スポーツをやる子に関しては特に、もちろん本人の勉強不足もあるでしょうが、指導者の指導不足としか言いようがない話も聞きます。
基本的に女の子は、年頃になるにつれ体脂肪率がある程度まで高くなっていくのが当たり前です。身体の状態は、男性よりもかなり脂肪に左右されます。

『体脂肪率が低すぎると生理が止まる可能性が高くなる』
『生理が止まったら骨が脆くなる』

この程度の認識すらないって、正直、私には驚きでした。
これはスポーツをやらない子でも同じですが、スポーツして身体を鍛えようって子が、その子たちを育てようって指導者と呼ばれる人が、あまりにも無知過ぎるのではないかと。
見た目や体重を気にするあまり、本来、これから子どもを産むための身体になっていく準備期間中に、過度なダイエットなどを行なえばどうなるか、くらい勉強して欲しいと思います。
今はいろんな情報を簡単に手に入れられるんですから。


そして、さらにその後です。

不安を煽るワケではなくて、やっぱりどうしても『子どもを産む適齢期』ってあると思うんです。
『不可能だ』とか『ダメだ』っていうのではなくて、です。
構造上、20代過ぎくらいから30代半ばくらい。どうあがいても、この辺りが一番いい年齢だっていうのは否定しようがないと思うんです。

もちろん、若ければ経済上とか精神成熟上とかいろいろ問題あったりするかも。
30代くらいになれば、内面も生活も成熟してきて余裕が持てるかも。

それは確かに人それぞれです。
何歳であろうとも、うまく行く人は行くし、行かない人は行かないです。
同じ40歳代でも初産の人と経産婦の人では違うでしょう。


でも、事実として。
『不安を煽らないで欲しい』などとテレビでよく聞きますが、30代以降、年々『妊娠する可能性』は低くなって行き、いろいろな意味での『危険度』は高くなって行くと言われています。
もちろん、かなりの高齢になっても産む方・産める方もいます。逆の言い方もあります。
でもやっぱり、一般的に男性と比べたら格段にタイムリミットは早い。これは仕方のない事実なんです。

そりゃ、ぶっちゃけて言えば、私だって今だって産める可能性はあるんです。授かれる可能性は既に限りなく『0パーセントに近い』、けど、『0ではない』、そーゆうレベル。

いくつであっても、何の問題もなく妊娠・出産できる方がいる一方で、年齢を問わず、これだけ不妊治療が行なわれている事実を考えれば、やはり出来る限りの準備だけはしておくに越したことはありません。
私の場合はただ単に、もはやそのための努力を『これから』するなんて、そんなラインとっくのとうに踏み越えているだけのことです。

もちろん、万が一、何かの間違いというか手違いというか、で授かったとしたら、そりゃ全力を尽くしますよ。そりゃ、そうです。
でも、今からそのための努力をする、という段階は飛び越えてるって考えてるだけの話です。


そして何より、身体に何の問題もなくても、子どもを授かれない人だっているんです。

現に、私の母方の叔母がそうだったようです。
義叔父にも叔母にも大きな問題はなかったそうですが、結局、子どもを授かることはありませんでした。
叔母は地方で暮らしていて、義叔父は長男ですから、やはり子どもを授からないことでいろいろあったとは思います。
私はうっすら聞いただけですが、その後に子宮筋腫がどうとかの問題で、治療するのか全摘するのかの騒ぎもあったらしいです。
ただ義叔父が「もういい!子どもなんかいらね!」と。
そのたったひと言、でも重いひと言を、義叔父が自分の両親の前で言ってくれたことで、叔母の心も少しは救われ、2人の夫婦関係も続いています。

それを考えたら、ホントに奇跡なんだと思うんです。


先に少し述べましたが、私の母は初潮を迎えた時、中学から歩いて帰れないほどの生理痛で、母親(私の祖母)に背負われて帰宅したそうです。以来、ずっと生理痛に悩まされていました。
私がいうのもナンですが、母はかなり痛みに強い人だと思います。他のことであれば、みんなが「ひーっ!」というようことでもガマン出来る人です。
そんな母がごくたまにですが、私が学校から帰ると俯せに寝たまま身動きひとつしないでいることがありました。当時は幼くてわかりませんでしたが、後々考えてみると、あれはお腹が痛くて動けなかったのだとわかるようになりました。

その原因(と思われるもの)がわかったのは、母が父と結婚し、私を妊娠・出産する時になってからでした。母はそれまで、生理痛なんて個人差があるから仕方ないと思っていたんです。

実は母の子宮は、『双角子宮』という奇形子宮の一種です。

双角子宮の場合、大抵の場合において『妊娠しにくく、流産しやすい』という特徴があるのだそうです。

一般的な『双角子宮』というのは、子宮の内部が半分に分かれていて、当然片方ずつは半分くらいの大きさしかありません。例え受精卵が着床したとしても、内部が狭くて胎児が成長できないため、ほとんどの場合は流産してしまうそうです。

ところが母の子宮は、ちょっと特殊な双角子宮だったそうで、普通の大きさの子宮の入り口付近に、小さな粒くらいの小さな子宮がもうひとつある、というものだったらしいです。
産婦人科の先生の見立てによると、生理の時に恐らくその小さな子宮からも出血していて、それが極度にひどい生理痛の原因なのではないか、ということだったらしいです。

しかも超音波ではよくわからず、最初は腫瘍かも知れないと思われていたそうです。
そう思われていた理由が、私が成長するにつれ当然子宮が大きくなって行くワケですが、大きな子宮と共にその小さな子宮も大きくなって行ったこと。
いつまで経っても胎児が降りて来ないのを不思議に思って調べたら、小豆くらいの大きさになり、子宮口を塞いでいたそうです。

で、切腹ですよ。帝王切開です。
普通、帝王切開は局所麻酔で行なわれますが、母は全身麻酔です。もし、それが腫瘍だったならば、一緒に摘出するつもりでの手術だったそうで。

開いてみた結果、子宮だということがわかり、そのまま残したそうですが、母は生理痛のことを考えて「取ってくれれば良かったのに」と思ったそうで。でも、やはりまだ若かった母に、いろいろ不具合が出ることを懸念した先生の決断だったようです。

その数年後、母はもう一度妊娠しましたが、残念ながら流産でした。
ホントに私が生まれたのは奇跡だったのだと思います。

私が、今、ひとつだけ悔いるとしたら。
そんな風に両親からもらった命を、次に繋げることが出来なかった、その可能性すらプレゼント出来なかった、という事実に対してだけです。
だからと言って、自分が出産して母親になったところなど億万光年彼方の想像も出来ないのですが。


だからこそ。
近い未来、遠い未来、子どもを授かりたいと、例え漠然とでも思っている人に。

いくら条件が揃っても、授かれる保証はどこにもないのだから、せめて『その時』が来た時になって慌てなくていいように。
準備だけは整えておくに越したことはないよ、と言いたいです。
月経不順を放置しておくなんてトンでもないですよ。

例え、結婚していなくても。
例え、お付き合いしている人がいなくても。

「彼氏もいないのにそんなこと調べんの?」なんていう人のこと気にしなくていいから。

ちゃんと排卵しているのか。
ちゃんと麻疹なんかの免疫があるのか。
何か妨げになるような病気なんかはないか。

調べておくことに関しては、男性諸氏にも奨めたいくらいです、ホントに。


いざ、「子ども欲しいです」ってなった時に、

実は無排卵でした。
実は精子が極端に少ないです。
実は免疫がありませんでした。

この治療してるだけで、ヘタしたら1年、2年あっという間ですよ。
治療を始めた時に40歳近かったとしたら、タイムリミットを超えてしまう可能性すらある、ということです。


仕事も何も大事だけど、締め切りがある仕事があるように、タイムリミットがあることです。

どんなに努力しても、ダメな時はダメです。
でも、無頓着に放置して来て土壇場で後悔するよりはマシだと思う。
やれるだけのことはやったけど、それでもダメだったのなら仕方ないですから。
(努力したのにダメだった方がイヤだという人は別です)



とにかく、老婆心から申し上げたいのは、『産みたいと思った時に、いつでも産める』とは限らない、ということです。
いつか『出会いたいその子』のためにも、自分自身のためにも、自分の身体を守れるのは自分だけなのだ、と肝に命じて欲しいものです。







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