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『ホタルトモスヒ』 螢が初夏の風物詩だと知った時は驚いた。何故って、お盆にしか…
『若桜』 若い桜を見下ろす。君が産まれた頃に植えられた桜も、年毎、見事に花を吹雪かせる様になった。けれど昨年まで共に眺めた君は、今年は隣にいない。成長した君は、まるで花びらか綿毛の様に未来へ飛び立った。私より遥か上空にいるはずの母さんと話しながら、今年はひとり桜を眺めるとするよ。
『熱冷え12』 ソ・コ・ニ・イ・タ・ノ・ニ──唇が動き、体が傾いだ。己が冷めた分、相手の熱量は増していた事に今気づく。だがもう遅い。こうなるしかなかった。そのまま重なった体が、その熱量とは裏腹に冷たくなって行く。薄れ行く意識の中、涙に濡れた微笑みは今迄の何よりも愛おしかった。~終