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詩 クリスマスに

今年も惜しみなくクリスマスだ
もみの木から飾りが溢れ落ちている
僕は君らを楽しませることに気を取られていて
詩を拾いあげる頭も失っちまいそうなんだ

今年もありふれてクリスマスだ
ところどころにうしろめたさが転がっているのは
傷ついていく人々の頭
それら踏んでゆく足々
気づきもしない
軽快なステップ

今年もあてどなくクリスマスだ
もみの木を中心にして
人がまわりを踊っている
これはなんのおまつりだろう

今日も今日とてクリスマスマーケット
オンステージのミニスカート
サンタの格好のまばゆい足が
丹念に蹴っ飛ばしてゆくラインダンスもろびとの靴下の中で
冷えた答案用紙が
丸まってゆく

今年も寄るべなくクリスマスだ
柔らかい蛍光灯に
絡まってゆく微熱
きっと君の夢のなかでは
広場のツリーは絶え間なく膨張するし
部屋の電球も屹立しつづけるんだろう

まってくれ、君、
もうすぐ詩がでてきそうなんだ

今日も頑なにクリスマスだ
もみの木を中心として
人がまわりを踊ってゆく
生がまわりを巡ってゆく
これはなんのおまいりだろう

むかしね、僕がだれか男の首を絞めたことがあるような気がしてきた
絞めるたび顔は赤青く鮮やかに膨れ上がり
やがて穴という穴からステンドグラス色の海を発し始める

干からびてくらげくらげ

そこに俺は四つ葉のクローバーを見出すのだ
焼け爛れた腕に
燃えてゆく本に
枯れ果てた詩(うた)に

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