タロット霊解【5 法王】
社会のルールと教育の象徴
真逆の性質を持った女帝(母親)と皇帝(父親)から学んだ愚者は、教皇の元にやってきました。これは学びの場が家庭から社会に変わったことを意味します。教皇は社会の秩序やルール、教育の象徴です。女帝や皇帝からは現実世界について学びましたが、教皇からは霊的世界についても学びます。ただ、それも教皇の背後に描かれた宇宙からも分かるように、霊的世界と言っても宇宙の法則のようなものです。真の意味で霊的世界を知るのはカードの後半からです。
愚者は家庭と社会からこの世界の信念体系をしっかりと植え付けられます。この段階では、家庭や社会のルールに対する疑問や疑いなどはありません。
素直さと批判能力
教皇のカードは女教皇のカードとセットのカードです。女教皇のカードの神殿の柱は白と黒の柱で世界の二元性を表していましたが、教皇のカードは白の柱だけです。これは、愚者はまだ素直にこの世界の仕組みやルールを学ぶ段階にあることを表しています。世の中にはさまざまな考えがあることを知ることや、批判能力を身につけるのは次のステップからです。人間にとって素直さは非常に重要です。初めからすべてを疑ったり否定したりする人は自分の世界を広げることができません。批判能力は大切ですが、素直さはもっと大切です。
5という数字の意味
皇帝のカードでは、絵の中に「4」という数字がパターンとして織り込まれていましたが、法王のカードでは、「5」という数字が二本の柱の上部のポイント、二人の弟子の頭で作る四角形、そして法王の胸の十字架で構図されています。
「5」という数字は、五体や五本の指、五感など人間と深い関係にある数字です。また、魔術で使われる五芒星も、地・水・火・風といった四大元素に霊を加えたもので、人間を象徴しています。したがって、「5」という数字は人間の象徴となるものなのです。
牡牛座の金星
タロットカードには12の星座が割り当てられており、その中で法王は牡牛座に対応しています。牡牛座の支配星である金星は美や愛を象徴し、法王からは慈愛が滲み出ており、法王が説く宇宙の法則や教義には洗練された美しさが宿っています。
幸せの青い鳥
幸せの青い鳥が法王の椅子にとまっています。まるで法王の説法を聴いているかのようです。法王のカードに描かれる幸せは素直さから生まれるものです。疑いや否定、批判のない信仰の世界はこの世の天国とも言えます。広い世界を知ることで批判能力が身についていきますが、素直さを失ってはいけません。愚者はここで素直さや心の柔らかさがもたらす幸せを学ぶのです。
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