タロット霊解【愚者】
変化する神
タロットは愚者が主人公の物語です。神が愚者=人間となり、人間界での経験を通して再び神になるという物語です。元の神に戻るのではなく進化を遂げた神になるのです。人間界での経験が神に刺激を与え、神に進化をもたらします。
タロットの物語はループします。それは神の進化に終わりがないことを意味しています。神は変化することのない完全な存在ではなく、変化し続ける存在なのです。その神とはあなたのことです。
無と空
愚者は空や無を象徴する存在です。スタート地点である砂漠もまた空や無を表しています。無はゼロでもあり無限でもあります。空は有と無を包含する最上位の概念です。愚者や砂漠は空や無の象徴であり、空や無は神の象徴です。また空や無はゼロからのスタートという意味も込められています。
スタート地点
愚者の表情は、これから始まる旅にワクワクしています。砂漠という無の世界から人間界というバラエティに富んだ世界に行くことは心が躍ります。
けれども、左足のブーツには荊が巻き付いています。これは茨の道の暗示です。想定外なことが起こるのが旅の醍醐味ですから、それを含めてこの旅を楽しみにしているのです。
ゴール後
タロットはループするので、最後のカードまで行ったら、また最初のカードに戻ってきます。砂漠はスタート地点でもありゴールした後でもあるのです。
後ろを振り向いている姿も、今まで通ってきた道を振り返っていると見ることができます。そして表情も、満足した顔をしています。収穫のある楽しい旅だったことを表しています。
左足のブーツに巻き付いている荊は、人間界での経験を記憶にとどめるためのものと考えることができます。この荊は15番目の「悪魔」のカードに出てくる荊なのです。愚者にとっては悪魔のカードにおける経験が非常に重要だったということを意味しています。
愚者の服装
愚者の羽織っているマントには21番目の「世界」のカードの太陽系模様が入っています。
その裾から覗く服の柄には2番目のカードの「女教皇」や3番目のカードの「女帝」の衣服の模様が、また6番目のカードの「恋人たち」に出てくる葉っぱの柄も描かれています。これは愚者が1番目から21番目のカード全てをくぐり抜けてきたことを意味しています。
青い鳥のタロット
また愚者が帽子に指しているのは青い鳥の羽根です。このタロットカードは『青い鳥のタロット』と言い、メーテルリンクの『青い鳥』の物語と大アルカナカードの物語を融合させたタロットカードなのです。
ですので、このタロットカードのほぼ全てに幸せの青い鳥が描かれているのです。幸せは身近なところに常にあることを思い起こさせてくれます。
知恵の神トート
またこの鳥は知恵の神トートでもあります。この知恵の神が愚者と共に旅をするのです。というよりも、愚者は実は知恵の神なのです。ドラクエでも遊び人が賢者となるように、愚者というのは賢者と表裏一体の存在なのです。大愚こそ大賢なのです。本当に智慧ある人はその智慧をひけらかすようなことはしません。
愚者のパートナー
ツァラトゥストラのパートナーは勇気や誇りの象徴である鷲と、賢さの象徴である蛇でした。愚者のパートナーは知恵の象徴である鳥と、忠誠心(誠実さ)と素直さの象徴である犬です。鳥も犬も飼い主に懐く動物です。鳥も犬もご主人さまのことが大好きなパートナーなのです。
犬は英語でDOGですが、これをアナグラム的に逆から読むとGOD・神になります。愚者が賢者=神になれるのは犬の性質である誠実さと素直さがあるからだとも言えます。
統合
鳥も犬も愚者の分身なのです。だからこそ相性の良いパートナーになれるのです。彼らは精神の成熟と共に本体に統合されます。ただ必要に応じて現れたりもします。
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