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クリームソーダの力で、バス待ちの人と友達になった話

真夏の暑い日には、空と海を思わせる青色のクリームソーダが食べたくなる。

今日もお目当てのクリームソーダを目掛けて、朝からクリ活(クリームソーダ活動)に勤しんでいた。
昨日は飲み会だったから、なんとなく体が重い。お酒よりもクリームソーダの方がよっぽど元気が出るのに。

向かった先は、埼玉の「玉川温泉」。
旅する喫茶」という、全国を旅しながらその土地に合ったクリームソーダとカレーを提供するユニットがある。
彼らが埼玉にやって来ると聞き、埼玉県人としては限りなく嬉しかった。

クリームソーダマニアとしてはなんとしても行かなければ。という使命感に駆られ、疲労感たっぷりの体で向かった。

「玉川温泉」は、昭和レトロな内装からちょっぴり有名になった。
地域の人であろう常連さんや、昭和を懐かしむ方、レトロに魅了された若者など客層はさまざま。
温泉の泉質はアルカリ性で、お肌がつるつるになる美肌の湯として知られている。

東武東上線の武蔵嵐山駅からバスに揺られること20分。バス停からさらに徒歩で15分。灼熱の太陽。日陰ほぼなし。
汗を洗い流して入った温泉は、かなりぬるめの温度に設定されていたようで、夏の温泉にぴったりだった。そして気持ちばかりお肌がつるつるになった。

そしてお待ちかねのクリームソーダ。
玉川温泉はもともと金魚鉢のクリームソーダを提供しており、今回の旅する喫茶限定クリームソーダも金魚鉢タイプだった。

深く爽やかな青色は、まさに「青夏のクリームソーダ」。
視覚から、味覚から。全身に夏が溶け込んでいくように感じた。
柑橘系で爽やかな味は、湯上がりの喉を潤すのにちょうどいい。

ふと周りを見渡すと、女性一人で来ている人もちらほら。
お隣の女性からは、カシャっとカメラのシャッター音が聞こえた。

皆クリームソーダに魅せられている仲間だと思うと、嬉しかった。

帰り際、のどかな町のバス停でぼんやりとしていると、女性が一人、私の後ろに並んだ。
確かお隣でクリームソーダを撮影していた彼女。その瞬間、私は謎のコミュ力を発揮したのだった。

陰キャの国代表の私は、知らない人に話しかけることは滅多にしない。
また、コミュ障の挙句お酒にも強い。
昨日の飲み会だって、必死に笑顔で乗り切っていたようなものだ。

そんな私が、バス停で並んでいただけの人に話かけた。奇跡とも言える。

その女性とは、電車の途中駅まで話続け、SNSを交換するに至った。
なんとカフェ巡り、写真好きということで、趣味が合うのも嬉しい。

クリームソーダが結んでくれたご縁。
友達を作る際には、お酒ではなくクリームソーダの力を借りる方が合っているのかもしれない。