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ディオフィールドクロニクル クリア感想

 PS5版を難易度ノーマルでストーリークリア、および無料DLCの追加ストーリーである「ワルターキン編」のストーリークリアまでしました。

 販売元はスクウェア・エニックス(以下スクエニと略称する)となっているが、実際に開発したのはランカースという会社。直近の代表作は販売元・フリューからモナーク、販売元・バンダイからは機動戦士ガンダムエクストリームVSシリーズ等となる。私はランカース作品はモナークのみプレイしたことがある。

 本作はRTS(リアルタイムストラテジー)を採用したシミュレーションRPG。シミュレーションゲームはいくつか手を出しているが私はこれが初めてのRTSゲーム。あえて近しいものを挙げるならコーエーのPS2ソフト・「決戦Ⅲ」以来かなぁ。

 スクエニが新規IPを乱発していた最後の年に出されたもののうちの一本だが、この年は評判の良い作品が比較的多く、本作も例に漏れず良作になり得るポテンシャルがあった作品だったと思う。不幸なところは発売の半年ほど前に同社からトライアングルストラテジーが、わずか2か月後にはタクティクスオウガ・リボーンが発売と、同ジャンルの目玉タイトル2作に発売日が挟まれたことだと思われる。ちなみに私はPSP版のタクティクスオウガ・運命の輪をプレイしたことがあるが、女王帰還あたりで放置してしまった。

 では前置きはこのくらいにして感想を。


ストーリー

ディオフィールド島にある王国が戦乱に巻き込まれるのが始まり

 本作の話の進め方は、例えるなら大河ドラマではなく歴史ドキュメンタリーのような感じ(私は「その時歴史が動いた」が好きだったなぁ)。前者の例としてタクティクスオウガや他社開発のファイアーエムブレムシリーズのように登場キャラが主導して話を進めることがそれに当たると思うが、本作は主にナレーションが話の出来事を語って進める。なのでシナリオの圧縮率が高い分、キャラゲーとしては薄味。空白の期間を半年後という感じで飛ばされたり、ドラマチックで重要なシーンがナレーションによる語りで済まされることもしばしばある。あのキャラはムービーまで用意されているのに。

 ただ、人間ドラマがないかと言われればそれもまた違う。主人公のアンドリアズを中心に幼い頃からの友人・フレドレット、自由騎士を名乗る弓の名手・イスカリオン、貴族のじゃじゃ馬娘・ワルターキン。この4人を主軸に戦記物としてのドラマが展開されるので、決してドラマ性が弱いわけではない。何より声優も豪華。

メインは岡本信彦、諏訪部順一、福山潤、水瀬いのり
特に水瀬さん、高飛車な演技ができるとは知らなんだ

 また、傭兵団の仲間になるキャラとの交流も主人公と1対1のみではあるがサブイベという形で会話・イベント戦闘にて補完されるので、キャラの作りこみが甘いというのは感じなかった。キャラデザもタクティクスオウガのように硬派で個人的に好みではある。特に女性陣は肌露出が少ない分、服装がおしゃれだったり男と見紛うほどの麗人であったりと個性がある。私のお気に入りはワルターキン、シーヴァット、トレミナ・・・おっと、気の強いお嬢様ばかり並びそうだ。

 メインの4人の主義主張たまにワルターキンの横柄な態度による関係性の変化を見せるドラマ、目まぐるしく変わる戦況をドキュメンタリー風に地図付きで分かりやすく説明してくれるナレーション。戦記物としてはなかなか面白いと思うが、ファイアーエムブレムのようにキャラを愛でたい人には物足りないかもしれない。

意外と資料に量はある

 しかし、ストーリーの前半は丁寧だったものの後半は駆け足となっただけでなく、結末も決してスッキリするものでもなかったのでモヤっとしたのは個人的に不完全燃焼。4人のうち主人公だけ設定が複雑で説明の尺が足りなかったせいかと推測。正直、最後の章は録画禁止にする必要あったのかな。シナリオは良作になりそうな素養はあったし、もっとボリュームがあればストーリーに深味が出そうな伸びしろがある気がしてもったいないと感じた。

まぁ要するにコレでこじれる

戦闘

 今作のRTSの操作性はとても快適でテンポも良く、何よりも直感的に分かりやすい。RTSゲーム入門にうってつけのゲーム。攻撃スキルの追加以外に戦闘で足されるシステムがないので、体験版をやれば大方の判断材料となると思う。

 何よりサクサク進められて、シミュレーションRPGにしては戦闘が短時間でクリアできるコンパクトさが良い。シミュレーションゲームって1つのステージに30分~1時間以上かけてクリアするなんてザラだと思うけど、本作は通常で5分~15分、長くても20分~40分、レベル上げ作業も難易度を下げて戦闘スピードを2倍にすれば3分以内のクリアも可能。もちろん難易度を上げたり敵とのレベル差や装備が劣ると流石にもっと時間はかかるが、それでも短い方かと思われる。

 レベル上げに関してはステージごとに決まった経験値を出撃した人数分で一括平等に与える仕様なため、キャラ固定で運用していれば時間はあまりかからない。なので、このキャラのレベル上げたいから最後のトドメはこいつにしよう、みたいな気の遣い方をせずクリアを目指すだけでいいのは楽かなと思う。

リザルト画面

 移動指示やスキルコマンドを開くときはポーズ画面のようにゲームが一時停止されるので、マップを動かしつつ俯瞰的に見て考えてから行動できるようになっている。また、どのくらいの範囲内なら敵に攻撃スキルが届くか、もしくは範囲攻撃の大きさや持続はどのくらいか、同じように敵のスキル攻撃の範囲とスキル発動までの猶予といったことも分かりやすく視覚化されているので、こういった見ただけで理解できるシステムが直感的な操作が可能となっている要因と思う。

 この敵の攻撃スキルが面白さに一役買っており、発動猶予の間にこちらのスキル攻撃でキャンセルさせるか、もしくは移動で範囲外に逃げるかの選択を迫られるので、ただ攻撃のやり取りを眺めるようなプレイにさせない作りになっている。また状態異常がボス相手にも普通に付けられるので、積極的に狙いに行けるのも良い。

 ただ、長所にも短所にもなるのが出撃数の少なさと難易度による歯ごたえかと思われる。まず、出撃数は一貫して4人までと決まっている。仲間は合計15人ほどいるが強制出撃イベントもほぼないに等しい。1人につき1人の副官をつけられるが、内容としては副官の攻撃スキルの使用が反映されるのみ。なので部隊を二手に分けるような戦術はできず、常に4人で行動することが前提になる。

 難易度に関してはレベルと装備で何とでもなるのがRPGらしいところだが、それでも歯ごたえに関しては物足りないかもしれない。私は高難易度は求めないプレイヤーだが、難易度ノーマルでやっててもそう思えるくらいに易しめかと。ただし、高難易度ステージはワルターキン編で十二分に味わえるようにはなる。また、バックアタックによる攻撃力の倍率はあれど、シミュレーションゲームによくある地形による能力補正もない。

 何だかんだと言いつつも、埋もれさせるにはかなりもったいないと思えるほどよくできたシステムだと感じた。このシステムを流用して別のゲームとして出してほしいと思うくらい良かった。

そのほか気になった点

 ストーリーや戦闘以外で気になったところでいえば、
・育成はキャラのレベル上げのみ(私は育成重視していないのでそんなに)
・攻撃スキルに必要なポイントは終盤には余る
・お金は節約すれば終盤にはカンストできる
・キャラ固有アビリティのポイントはレベル上げか周回しないと足らない
・武器開発に必要な素材は周回しないと足らない
・魔煌玉(いわゆる召喚獣)に必要な素材も周回しないと足らない
・周回するメリットは上記のやり込みと難易度を上げて再挑戦
というところか。

DLC・ワルターキン編

 こちらは第5章以降にプレイ可能となっているが、難易度的にはクリア後推奨の実質エンドコンテンツとなっている。ただ、本編に全く関係のないストーリーで展開され、あくまで在籍中に専用装備を手に入れる過程を描いているだけなのが個人的に不満ではある。まぁ、歩くと思った以上に腰をフリフリするワルターキンが操作できたし、彼女なりにリアズにぞっこんだったことに対してニヤニヤできただけでも良しとするか。

 このDLCの真骨頂はやはりワルターキン専用装備を携えての数少ない高難易度ステージを味わうことか。無論、これもレベルを上げれば難易度は下がるが、一部サブステージにて推奨レベルと同じレベルで挑んだ結果、推奨レベルを大きく越えるレベルの怪獣もとい魔物たちの物量で押し込まれ初めてしんどい目にあった。6体一斉はあかんて。まぁ、このおかげで最後のベヒーモス戦の前にレベル上げて楽にクリアできたけど。ただ、強化ベヒーモスは諦めた。ちなみにワルターキン専用装備ですが、そもそもワルターキン自身のレベルが低かったのであまり試せてません。

クリア時

総評

 パッケージ版の値引きが大きいときに購入できたので、値段相応に私は結構楽しめたかな。特に戦闘システムは良かった。終盤はストーリーやその他調整が大味になってしまったが、もとが良かったからこそそれが惜しいと思うようになったので、できれば違う形でもいいので同じシステムで何か出してくれないかぁ。他社が開発してるから無理かなぁ。もしくはワルターキンを正ヒロインにして覇道を目指そうぜ。ああいうラストにしたかったのは分かるけどほんともったいないよ、ワルターキンの扱い。

戻ってきてよ


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