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AIソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブ クリア感想

 PS4版にて難易度は1番易しいストーリーでクリアしました。前作はクリア済。他の打越氏の作品は未プレイ。
 続編ではあるが前作とはまた毛色の違うものを出してきたなぁ、というのがまず出てくる感想。当然、前作したほうが良いことに変わりないが、やらなくても問題ないくらいキャラ以外の繋がりは薄い。
 前作同様に魅力あるキャラクターと人間ドラマにギャグのメリハリは健在で、事件もプレイヤーを巻き込むように視覚やオカルト用語等で撹乱させつつも、多少(?)のご都合はあれど筋の通ったものになっていると思えるもので面白かったし楽しかった。

難易度選択

ストーリー

 前作がベテラン捜査官であったのに対し、今作は新人捜査官、更にはダブル主人公という構成。1人は新キャラである龍木とAIのタマ、もう1人が前作に登場したみずきとAIのアイボゥとなっており、時間軸が6年前と現在とそれぞれが捜査に当たった時の視点で展開される。みずき推しのワイ歓喜。

 世界観は前作同様に現代よりの近未来SFで眼球型AIと夢の中に入って真相を探るpsync装置に加え遺伝子工学や私にはよく分からないオカルト要素が軸となっている。

 前作はcero Zに相応しい猟奇的殺人事件を扱っていたのに対し、今作はグロテスクな描写はほぼないに等しく流血表現も控えめで数える程度しか出ない。まぁ、死体が縦真っ二つに切り裂かれた状態の片割れが発見、という状況だけ文字で書けば十分残酷なんだけど、流血は一切ないので残酷さより奇妙さや気持ち悪さが上回った。

 このハーフボディ殺人事件と呼称される事件の捜査を行うわけだが、先が気になる展開は前作同様に秀逸。ただ、個人的には前作がクライムサスペンスの色合いが強いのに対し、今作は劇中に出るサイケデリックな動画や先述した死体に主人公・龍木に対しての不安感情によりサスペンスホラーに近いものを感じた。真相が明らかになるまでトリックはあるのかすら疑うくらいには奇妙なストーリーだった。

急にこんなん怖いわ

 登場人物みんな嫌味がなく好感は持ちやすいように思える。一部はゲスいやつや畜生行動するやつがいるものの、キャラの性格や背景がしっかり反映されてのことなので、練られているという意味では良い塩梅か。逃げ場がなく追い込まれた人間に為すすべがないのだろうか。ただ、共通していえることが1つ。お前ら素直に吐けや。

 残念な点としたらアクションパートか。よく挙げられるコメディパートは下ネタは多いものの、私自身は前作から気に入っている派なので全然気にしていないのだが、アクションシーンには頭抱えるくらいに呆れた。端的にいえばDBZ。何十といる銃持ちの敵に何で鉄パイプや銃一丁で無双できるんすかね。前作はこのアクションパートはコメディだと思いこませたのだが、今作は真面目に戦っているため飛んだり跳ねたりされるとその都度なんでやねんとツッコんでしまった(今作でそのパワーの秘密は明かされる)。なのでラストのカタルシスは前作のほうが遥かに上回るかな。

捜査パート・ソムニウムパート

 前作に引き続き現実世界で固定視点から現場を調べたり聞き込みを行う捜査パートと夢の中で真相を探るソムニウムパートに、今作はVRモードにて現場を再現して龍木やみずきを操作し現場検証を行う拡張視覚パートが追加された。

 人によっては面倒なシステムかもしれないが、ゲームとしては遊びの幅が広がったし、何より難易度選択ができるようになっているので極力ストレスを減らすこともできるようになっている。

 とはいえ、基本的には正しい選択肢を見つけるためのトライ&エラーであることには変わらない。私もあまりこれでハラハラ体験はしたくなかったので難易度を下げてストーリーに没入できるようにした。ちなみに今作もギャグは健在。

あの、大丈夫なんですか!?

総評

 終盤にかけて明かされる真実にコロッと騙されたとはいえ、トリックとしては辻褄は合うのでこういう表現の仕方もあるんやなと感心はした。正直、そんなんあり?と思わないこともないが、裏のメッセージを汲んでみると、あぁこういう表現がしたいんだなと腑に落ちるので、まさにシナリオライターの手のひらの上で踊らされる良作とも怪作ともいえる作品だと思った。しっかし、前作からこの謎設定は作者のメタ表現なのか、作中世界観の秘密なのかが判断に困る。

どう解釈すべきか悩む
一応、トロフィーは全部獲得した

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