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イース・オリジン(Ys ORIGIN) クリア感想

 PS4版にてクリアしました。難易度はノーマル×3人分。

 私のイースシリーズのプレイ歴は、7(PSP版) → フェルガナの誓い(PSP版)  → 1&2クロニクルズ(PSP版) → セルセタの樹海(PSVita版) → 8(PS4版) → 9(PS4版)、という順番。

 本作は「君はアドル・クリスティンを知っているか?」という始まりのナレーションでお馴染み、ゲームメーカーのファルコムの看板タイトル・イースシリーズの1つだが、その不動の主人公であるアドル・クリスティンが不在という珍しい作品。

 戦闘はフェルガナの誓いのシステムを受け継いでおり、次回作のイース7で3人1組のパーティバトル導入によって一新するまでの、操作キャラ1人で敵と戦うシングルバトルの最後の作品にもなっている(2024年6月1日現在)。

 フェルガナの誓いの後継作なだけあって、2006年発売の作品と思えないくらいに戦闘は面白くて楽しめたが、人によっては戦闘はもとより、ストーリーの構成やダンジョン探索あたりで好みが分かれそうな気はした。

 私個人としては、本作は好意的な評価をしているし、何より空の軌跡からファルコム作品に入った身としては、この人形みたいなキャラを動かせただけで懐かしい気持ちになった。

 なお、イース・オリジンはイース1及びイース2から700年前の話なため、1と2に言及する際は私がプレイしたことのある1&2クロニクルズでまとめて呼称させてもらいます。(・・・言えない。記憶がおぼろげで、フィーナやレア、それからドギの青髪たち関連イベントと、サントラで聞きまくったBGMを通してでしかゲーム画面が思い出せないなんて。)


ストーリー

 1&2クロニクルズにて、アドル・クリスティンが古代イース王国の謎に迫る冒険を繰り広げる時代から遡ること700年前が本作の舞台。(・・・一体どのくらいの人が知っているのかな。「イース」というタイトルはこのイース王国から取られていて、3作目以降のイースはタイトルとは全く関係ないストーリーである、という豆知識を。)

 おおまかなあらすじとしては、天空に浮上したイース王国から姿を消した双子の女神の行方を追うために捜索隊が結成され、魔物で蹂躙されている地上へと派遣した最中、とある塔へ双子の女神が入っていったという情報を得てそこに向かう、となる。

全体の構成

 まず、イース・オリジンはユーゴ、ユニカ、鉤爪の男の3人の主人公それぞれの視点から話を進める形になってはいるが、これらは時系列の交わらないパラレルワールドとなっている。

 つまり、
「ユーゴが1人で塔を登った場合のお話」

「ユニカが1人で塔を登った場合のお話」

「鉤爪の男が1人で塔を登った場合のお話」


と各々が独立した話になっている。

 で、どうなったかというと、パラレルワールドとはいえ双子の女神の捜索という大筋の話は共通となっているものの、イベントによっては配役やセリフに違いを出して差別化が図られていた。また、キャラの生死が異なる、もしくは不明のまま終わるところにも違いが出ていた。

 一例として、下のように3人とも同じ場所で必ずイベントが起こるが、配役や会話内容が異なる。

ユーゴの場合は、敵1人と対峙
ユニカの場合は、敵2人に舐めプされる
そして、鉤爪の男の場合は・・・

3人で異なる個別のストーリー

 では、3人の主人公は全く同じストーリーなのかと聞かれれば、上のスクショのように違うと言い切れる。双子の女神の捜索の話とは別に、3人の主人公それぞれにスポットを当てた話も並行して展開される。

ユーゴ=ファクト
 ファクト家の息子であり後継者、そして天才魔道士である。一方で、冷静ながら傲岸不遜な態度により周囲から怒りを買うことも。彼がなぜそのような性格になったのか、なぜ強さを求めるのか、そして彼が嫌悪する兄の存在とは。そんな葛藤を抱えながら塔を登る。

ユニカ=トバ
 神官の家系に生まれながら魔法が使えない落ちこぼれの天真爛漫少女。双子の女神から妹のように可愛がられたことがきっかけで神殿騎士の見習いになる。そして女神の捜索隊に強引に参加し、その持ち前の怪力を遺憾なく発揮しつつも、未熟な自身に思い悩みながら塔を登る。

鉤爪の男
 捜索隊の敵として立ちはだかる男。上記2人の主人公をクリアすれば解放される隠しキャラ。とはいえ、公式ホームページで第3の主人公として紹介されているので隠れてはいない。唯一、物語の真相が語られ、かつ正史のようなストーリーなので、まぁ語るのも野暮だろうから、なんやかんやあって塔を登る、ということで。

 また、主人公が3人になったことにより脇役たちとのイベントも分散して描かれ、互いのストーリーの補完になっているのもポイントとなる。

ユーゴは魔道士たちのイベントが多め
ユニカは神殿騎士たちとのイベントが多め

 こういった構成となっているので、3つのストーリーの違いを楽しめるし、ユーゴとユニカのストーリーが補完的な役割を果たしているからこそ、3人目の主人公ではキャラの関係性を把握したうえで、あの2人の物語を深く味わえたともいえる。

ボイスが欲しかったなぁ

戦闘

 ここは安心安定のイースシリーズの王道アクションゲーム。

 基本は通常攻撃を連打し、敵の弱点や状況に合わせてスキルを使う。無論、主人公3人は使用武器だけでなく、スキルも全くの別物となっているので、戦闘で飽きるということはまず無いと思われる。また、各フロアには様々な種類の敵と固有の攻撃パターンが用意されている。なので、ユーゴの時は安全圏から攻撃できたけど、ユニカはスキルで対処しよう、みたいな楽しみ方もできる。

ユーゴの通常攻撃は遠距離射撃
ユニカは何と斧を振り回す

 スキルは風・雷・火の3つがあり、敵にはそれぞれ弱点が設定されているので、通常攻撃を連打するより楽に倒せることもある。

ユニカの火のスキルは、唯一の遠距離攻撃
鉤爪の男の火のスキルは、上空へ舞い上がる

 スキルに関しては塔の探索でも使用するのだが、そこにも差別化がなされている。

ユーゴの風のスキルは、ジャンプするとしばらく滞空できる
ユニカの風スキルは、ジャンプの距離を伸ばせる

 そして、今では当たり前にある回避や防御というものがないのも特徴(例外としてスキルで代用できる主人公はいる)。移動とジャンプで敵に対処という、求められる操作が少ないという意味では、最新のイース作品よりもアクション初心者に優しいといえるし、逆に言えば楽に攻撃を防ぐ手段がないともいえる。でも、個人的にこれはこれでプレイヤースキルが求められてて楽しいかな。

 そして、やはり戦闘の醍醐味はボス戦にある。

 ボスの行動パターンを覚え、攻撃を避けながら、隙を見せたらこちらから攻撃を叩き込む。アクションゲームの王道の攻略方法ながらやり応えはあり、爽快感と達成感も満たされるので、ここは流石イースシリーズといえる。クリア後のボスラッシュも程々に楽しませてもらいました。

 難易度選択ができるのはもちろん、主人公のレベルを1つ上げるだけでも攻撃力と防御力が格段に強くなるので、自分の戦闘スタイルに合わせやすい調整になっていると思う。

音楽

 随所に1&2クロニクルズのアレンジBGMが流れて懐かしい気持ちになった。久々に1&2クロニクルズのサントラを聞きたくなったわ。

気になる点

 これは決してマイナス要素になるとは限らないが、人によってはそうなりそうなものをピックアップ。

・実質、周回3周
 ストーリーで察した人もいるでしょうが、いくらストーリーは三者三様であろうとも、塔の攻略は残念ながら全て同じ。細かな攻略の差異はあれど、それは誤差の範囲。

攻略の
手順も
同じ

 他にも宝箱の配置場所やスキル獲得タイミング、大型の魔物ボスの戦闘タイミングも同じ。2周目からの塔攻略はちょっとしたRTAチャレンジに。

この時は初見です
2度目だけど、ユニカは近距離攻撃型だから実質初見
ボスラッシュの予行練習になってもらおう(舐めプ)

 個人的には、3人とも戦闘スタイルが違うから攻略方法にも変化が出るし、人型含めた全てのボス戦が一緒というわけではなく、各主人公のストーリーに合わせて変わるからそこまで気にしなかった。まぁ、初見のボスが出た方が興奮するけどね。

 塔の攻略に関してもほぼ一本道でトラップ解除も易しいから、プレイ時間や操作で煩わせられることがないし、各フロア攻略もそこまで長くないからこれもあまり気にならなかった。何より、私は過去に真・三国無双3で全キャラをストーリークリアして楽しんだ身なので、この周回システムならまだ楽しめる範囲ではあった。

・連打が大変
 いくらスキルがあるといっても、基本の攻撃方法は通常攻撃。ボタンを押す感覚が短いと攻撃間隔も短くなるし、特に遠距離攻撃が基本のユーゴは安全圏から攻撃できるのが楽なので1番連打を頑張った。通常攻撃とスキルをバランスよく使う機会は、近距離が基本のユニカと鉤爪の男に軍配が上がるかな。

タンタンタンタンタンタンタン
タタタタタタタ

・ムービー
 イベントムービーが粗い。特にCGがこのゲームで唯一古い時代を感じた。いや、そりゃあ些細な事なんだけど、ゲームスタートした直後にオープニングムービーが流れたときは、「このゲーム、大丈夫か?」って心配しちゃうレベルだったんよ。杞憂だったけどね。

こういうセル画やイラストはともかく
地上風景やイース王国のCG画が粗い

・音楽
 個人的に唯一の不満点。

 BGMがちっせぇ。そして効果音の方がおっきぃ。 ボリュームMAXにしても物足りず、自前のスピーカーの音量を普段の倍近くに上げてようやく満足いくボリュームに上げられた。ファルコムのBGMはガンガンに鳴らしたいんだよぉ。

総評

 2006年のゲームとはいえ、今も色褪せることのない良ゲーだった。通常攻撃の連打が忙しくはあるけど、各主人公の固有スキルはユニークで、敵の種類が豊富に用意されており、ボス戦を攻略できた際の達成感を十分に味わえる王道のアクションゲームだと思う。求められる操作が少ないわりには爽快感があるので、敷居は低く万人にもおすすめできる。

 ストーリーは3人の主人公の時系列が交わらないパラレルワールドとはいえ、文字通り三者三様のストーリーが楽しめ、各キャラクターもボイスがないのが惜しいくらいに脇役含めて非常によく立っていると思う。1人当たりのプレイ時間も10時間以内、上手くいけば半分くらいに短縮できるほどのボリュームなので、お手軽ではあるかな。私は鉤爪の男とあの人のお話が特に大好物でした。

 塔の攻略が実質周回3周するというのさえ気にならなければ、フェルガナの誓いに次いでイース入門に最適だし、アクションゲーム好きにも勧めやすいかな。

初見は丁寧にやってクリアまで約8時間
休日に一気にやって約7時間でクリア
効率良くできたので約5時間半でクリア

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