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神のお遊びが創ったもの

 その昔、神はこの世に「人」というものを創った。この地球を発展させるため、飛び抜けて知能の高い生き物が欲しかったからだ。

 「人」は、よく働いた。神の命令に忠実に従い、地球はみるみる発展していった。しかし、発展させ続けるためには、神が創る「人」だけでは足りなくなってしまった。そこで、神は、「人」に「人」を創る力を与えた。こうして、地球は発展を遂げ続けた。神は、自分の創った素晴らしい生き物にとても満足した。

 だがある時、神に従わない「人」が現れた。それはみるみる増え、地球の発展の大きな弊害となった。神には、なぜこうなったのか分からなかった。全知全能な神でさえ、分からなかった。美味しいご飯を食べさせ、疲れすぎないように休憩時間も設けた。それでも、従わない「人」は増えていった。遂には、地球の発展が完全にストップしてしまった。

 神は悩んだ。全知全能である神にとって、悩むというのは初めての経験だった。初めての経験に神は興奮した。「人」という生き物は、自分の知らないなにか大きなものを与えてくれる。そう考えた神は、「人」の近くで生活することにした。同じものを食べ、同じ時間に休み、同じ時間に働いた。しかし、なにも不自由は感じなかった。いくら考えても「人」が神に従わない理由が分からなかった。

 そうして何日かたった頃、1人の「人」が、神に話をしに来た。その「人」は、怯えながらも意を決したような顔で、
「私が産んだ子はどうしているのでしょうか」
と聞いてきた。神は、
「そんなことを聞いてどうするのだ」
と言った。すると「人」は、
「どうもしません」
「ただ、気になるのです」
と言った。神にはこの「人」の考えることは分からなかったが、この「人」が産んだ子に会わせてやることにした。

 次の日、神はその「人」の元に「産んだ子」を連れてきた。すると、「人」はその子供を見るや否や走って駆け寄り、「怪我はしていないか」「疲れてはいないか」「会えて嬉しい」などと物凄い勢いで子供に話しかけるのだ。神は、「人」に聞いた。
「なぜそんな事を気にするのか」
と。すると「人」は、
「自分の子だからです」
と答えた。神はその時気づいた。
『私が創ったのは「人」ではなく、「愛」だったのだ』
と。怪我や疲れは、治療すれば簡単に治る。会えたからと言って、自分の仕事が進む訳では無い。それでも、会いたい。辛い思いをさせたくない。そう思うのは、「愛」があるからだ。

 それから神は、「人」に「愛」を教えてもらった。会いたいと思うことも「愛」。心配をすることも「愛」。時には叱ることも「愛」。

 こうして「愛」を知った神は、「人」から好かれるようになった。神に従わない「人」は、いつの間にか居なくなっていた。

 こうして地球は元の勢いを取り戻し、再び発展していった。

 「愛」を知った神は、もう「人」に命令するのを辞めた。神にとって、「人」は子供同然だったからだ。大切な子供の成長をそっと見守るため、神は天に帰って行った。

     ┈┈┈✄┈┈┈キリトリ線┈┈┈✄┈┈┈

 いかがでしたでしょうか。ついさっき浮かんだものをそれっぽく物語にしてみました。なんだか、道徳の時間に読みそうな作品になったような気がする。

 みなさんには、「愛」をもって接したい「人」はいますか?あなたも、その相手も、素敵な「愛」に恵まれますように🍀

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