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№3 -不思議な巡り合わせ お産のこと -memory of birthing-

安定期に入った頃に、戌の日のお参りをどこにするか悩んでいた。
主人と一緒にインターネットで京都で有名な安産祈願の神社を探していて、「由岐神社」が目に止まった。
由岐神社は鞍馬寺の参道にある神社で、私たちが付き合いたての時にデートで訪れた場所だった。
そこで手を合わせた時に、夫が「子供がやってくる」と言った。
まだ付き合って少しだし、私は子供がくるなんて信じられなくて、フーンと聞いていたけれど、
気持ち良い感覚の中で手を合わせていたのを覚えている。
その神社で安産祈願ができるということで、ここにしようと決めた。
そして、その月の戌の日を調べてみると、5月18日。
なんと1年前に由岐神社にお参りした日と同じ日だった。
ちょうど1年前の同じ日付に、主人はたまちゃんのエネルギーを感じ取っていたんだと驚いた。
そしてたまちゃんも、その時から「今か今か。いつ入ろうか?」と状況を見定めていたのだろう。

そのような、時間を超えた不思議な巡り合わせは妊娠中に幾度か起こっていた。

主人が佐賀県の出張中に借りて来た本があった。
出張先のご家族が過去に自宅出産をしており、その時に勇気付けられた本らしい。
「自然に産みたい」という本で、著者は5人のお子さんを全て自宅でとりあげており、
その体験を綴った本だった。
とっても面白くて、夢中で読みすすめていった。
章ごとに各子供の名前がつけられていて、4人目のお産の話、”朋果”の章になった時に
「あれ?友人のトモカちゃんと同じ名前だ〜」と思った。
何気なく、著者を見てみると、「橋本ちあき」と表紙にある。
その友人の旧姓は「橋本朋果」だった。なんと、その友人のお母様が書いた本だった。
私たちは、朋花ちゃんから助産師さんを紹介してもらっていた。
朋花ちゃんは、お母様ちあきさんに見守られながら、自宅出産を果たしたのだった。

なんとも不思議な巡り合わせに驚いた。
その佐賀県から渡って来た本は、助産院で産むことを決めた友人のもとに渡っている。
いまは絶版になったその本は、自然に産みたいと決めた人の元に、必要ある人の元に、旅をしていくのだろう。

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