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四国犬の蘭

3年前 脳梗塞にかかり入院しました。
左半身が麻痺して、顔も左半分が動きませんでした。
このまま寝たきり生活になってしまうのか、不安しかない入院生活 来週からリハビリを始めると 担当療法士が報告に来ました。

口もきけないし、自分でトイレにも行けないのに リハビリなんてできるのか!?
希望も持てず、眠れないまま横たわっていると スマホが鳴りました。
誰だ、こんな深夜に…

『もしもし わしや 進や、元気にしてるか!?』
懐かしい 幼少の私に合気道を教えてくれた祖父の声でした。
脳梗塞で 入院して 動けないことを伝えました。

『そうか、大変やろうけど 自分が無力な弱い人間になったやなんて
思うたら あかんで』
『でも じいちゃん 俺なにしゃべってるか わからんやろ!?』
『わかるで。 ええか 言葉なんちゅうもんはな、真剣に聞けば 何言うてるかわかるんや。 せやから、お前もゆっくり真剣にしゃべれ!!
蘭も心配して ここにいてるで。』
蘭は 6年前に死んだ先代犬です。
このあたりで これは夢なんだと気が付きました。
『蘭じいちゃんとこ行ってるんや…元気なん?』
『元気やで、 まさ ゆっくり元気になりや、まだ先は長いんやから』
秋田犬と暮らしてた犬好きの祖父に 四国犬の蘭を合わせたいと思っても、30年以上前に 祖父は亡くなってました。

そして また眠りにつきました。
きっと 先代犬の蘭が 私を元気つけようと、人生の師匠である祖父を連れてくれたのでしょう。

翌日から 点滴しながらの リハビリが始まりました。


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